現在の
バイクのエンジンは殆ど
OHV(スーパースポーツは
DOHC)です。
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しかし、1960年代頃まで
バルブ・スプリングの性能が不十分で
エンジンの回転は上げたくても
上げられませんでした。
エンジンの回転を上げる為には
ピストンが猛烈な速さで上下し、
バルブもそれに合わせて
開閉しなければなりませんが、
スプリングの能力が低いとバルブが
スプリングの力で
戻り切らない内にピストンが上昇して来てバルブとスプリングが衝突してエンジンが壊れてしまうのです。
対策としてはスプリングを強い物に変える事でしたが、今度はエンジン回転の抵抗を増やす結果となり、
あまり良い対策ではありませんでした。
現在ではスプリングの材質も良くなり、この問題はほぼ解決していますが、
イタリアの
DUCATI社は1956年に125ccGPレーサー用に有名な
デスモドローミック機構を採用し、
バルブの閉じ側もカムで駆動する方法で根本的解決を成し遂げました。
デスモドローミック機構![](/contents/041/823/838.mime4)
これを発明したのは
モンディアル社からDUCATI社に引き抜かれた
ファビオ・タリオーニ技師です。
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しかし、彼もいきなり
デスモを採用した訳では有りませんでした。
1954年に彼が設計した100ccのベベルギア駆動 OHCシングル レーサー
マリアンナは
スプリングを用いる
OHCエンジンでした。
マリアンナ 100cc シングル・レーサー (1954)
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しかし、天才、
タリオーニはスプリングに
普通のコイル・スプリングは使いませんでした。
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彼は
ヘヤピン・スプリングを採用したのです。
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デスモを採用していないモデルは
1970年代に入ってもこれを使い続けたそうです。
彼は
卒論でデスモを構想していましたが、いきなりそれに取り掛からず、まず、
今までのスプリング方式の
改良から始めたのです。
そして
デスモドローミックになってもこの
ヘアピンスプリングは装着され続けました。
バルブ全閉時の気密性確保のためです。
目的が違うので極
弱い物で良かったのでデスモやエンジンの作動の妨げにはなりませんでした。
技術は
地道な積み重ねによって発展すると言う良い見本です。