日本を代表する映画スター、健さんが大原さんと“再会”したのは昨年10月下旬。ひっそりと静まりかえる墓地で、墓の周りを掃除し、両手を合わせて頭を下げた。
時間にして約30分。寒空の下、大原さんと無言の会話を交わした。妙壽寺の関係者は「背中の大きな方でした。すぐに健さんだと分かりました」。3日の一周忌法要には参列しなかったが、弟の政光さんは「一周忌と新盆のお花はいただいております」と感謝した。
2人は1965年の映画「網走番外地・北海編」での共演を皮切りに、83年「居酒屋兆治」で元恋人同士、77年の高倉のテレビドラマ初出演作「あにき」で兄妹、92年「チロルの挽歌」で夫婦を演じた。
高倉は2006年11月に行われた天皇、皇后両陛下主催の文化勲章受章者・文化功労者を招いたお茶会に出席して以来、公の場に姿を見せておらず、久々に近況が明らかになった格好だ。また、普段、表立ってコメントなどはしないが、人一倍義理がたく、人情が厚く、一途で、90年の元プロ野球投手、村田兆治さん(60)の引退試合に感動し、面識もないのに、自宅を訪れたエピソードは有名。数々の作品で共演した“妹”の墓に直接足を運び、礼を尽くしたにちがいない。
法要には大原さんが「姉」と慕っていた浅丘のほか、89年のNHK大河ドラマ「春日局」で共演した女優、若村麻由美(43)らが参列。祭壇には大原さんがデビュー当時に愛用した緑色の着物、懇意にしていた石井ふく子テレビプロデューサー(83)や「すこし愛して、なが〜く愛して」のCMでおなじみのサントリーからの供花も飾られた。
昨年8月3日、自宅でひとり静かに息を引き取った大原さん。高倉やたくさんの人に今も深く愛されている。