10.07.30
(金)
今夏は「めんつゆ」選びで迷わない!食品添加物講座
暑い日のお昼は、そうめんで決まり。たっぷりの薬味とよく冷やしたつゆでズズズッと。ところでその「めんつゆ」の成分はご存知ですか? 「大地を守る会」の食品添加物講座より、最重要ポイントをお届けします!
今回のテーマは「調味料」
食品添加物講座は、これまで大地を守る会で何度も開催されてきた人気イベント。前回は2009年12月に「冬はお菓子が美味しいので」と「お菓子」の添加物を中心に解説したそうです。そして今回は「調味料」。「麺類が美味しい季節」という理由に加えて、「毎日使う調味料を添加物のないものにすると摂取量がおさえられるから」という意味合いも大きいようです。
そもそも食品添加物って?(ちょっとお勉強編)
本日の講師は大地を守る会・品質保証グループの南忠篤さん。食品添加物を説明するには「化学」と「法律」は避けて通れないため、初心者の私たちにわかるように解説してくださいます。
冗談まじりで、時々「ここだけの話…」と小声で本音トーク。南さんが実演販売したら、めちゃくちゃ売れそう!
食品添加物は、そもそも1947年制定の食品衛生法で規制されています。ちなみに『ALWAYS 三丁目の夕日』の舞台は1953年。その6年前ですから、冷蔵庫もまだ氷で冷やす方式が現役だった時代です。冷蔵・冷凍の技術も、食品加工の技術も、現代と相当違います。それでも、この法律の基本的なスタンスは1947年と変わっていないそうです。
その後1991年の改定で、「特定の種類の化学的合成添加物のみが表示の対象」だったものから、「添加物を含むすべての食品に対しては、例外はあるものの物質名を表示しなければならない」という表示制度になりました。
「例外はあるものの」って、どういう場合?とちょっとモヤモヤしますが、「栄養強化の目的で使用される添加物」「加工助剤」「キャリーオーバー」がそれにあたります。
「栄養強化の目的で使用される添加物」は、ビタミン類・ミネラル類・アミノ酸類に見られるケース。たとえばL-アスコルビン酸を酸化防止剤として使用する場合は「酸化防止剤(ビタミンC)」と表示する義務がありますが、同じ成分を栄養強化の目的で使用すれば、表示免除になります。しかし栄養強化の効果を見込むには相当量を入れなければならないはず。「多量に入れるほうが表示免除なんて、逆転していますよね」と南さん。
「加工助剤」は、次の3つに該当する場合に表示が免除されます。
(1)食品の完成前に除去されるもの
(2)最終的に食品中にごくわずかな量しか存在せず、その食品に影響を及ぼさないもの
(3)最終的に、通常含まれる成分と同じになり、かつその成分量を増加させるものではないもの
「キャリーオーバー」は、東京都が挙げている例で説明すると、保存料の安息香酸を含む醤油でせんべいの味付けをした場合に、安息香酸を表示しなくていい、というもの。つまり食品の原材料(=醤油)に使用された添加物(=安息香酸)が最終的に効果を発しない(=醤油の保存に効果があったが、せんべいの保存には効かない)場合に、表示が免除されるというもの。
南さんが「東京都は例を出して説明しているので、わかりやすいですよ」とおっしゃっていたので、サイトを探してみました。なるほど、これなら私でも読めます!
日本人は体重50kgで計算
続いて、ちょっと化学的な話。食品添加物については、次のような評価を基にその使用基準が設定されています。
「食品添加物の安全性は、物質の分析結果、動物を用いた毒性試験結果等の科学的なデータに基づき、 食品安全委員会の行う食品健康影響評価(リスク評価)によって審議されます。具体的には、各食品添加物毎に許容一日摂取量(ADI)が設定されます(厚生労働省のホームページより)」この中で許容一日摂取量の単位はmg/kg体重/日となっていて、日本では体重50kgで計算をします。
ところで、子育て中の方は子供が大人顔負けによく食べることをご存知でしょう。では体重は? 文部科学省の2006年の調査では、7歳の男の子の平均体重は24.2kg。食品添加物の基準体重50kgの半分弱です。子供の許容量は大人の場合よりも少なくなるということに加え、別々の食品でも同じ添加物を含んでいることもあります。体の小さな子供が偏ったものを飲食していれば、気付かないうちに使用上限量を越えてしまう危険性があります。
食品添加物は安全性が認められているといっても、それは「偏った食べ方をしないこと」が前提です。しかし加工食品の原材料表示では、使用量の多い順に表記することが決められていますが、添加物の具体的な使用量まではわかりません。また、店頭でバラ売りされているものやお店で飲食するものには、そもそも添加物の表示義務がありません。食べる側である私たち自身が摂取量をコントロールして身を守ろうとしても、現行の法律では必要な情報が得られないわけです。
豆腐やこんにゃくの凝固剤のように、製造上必要不可欠な場合もありますし、私たちが暮らしていく中で、食品添加物をまったく口にしないわけにはいきません。上手な付き合い方を身につけようではありませんか。
いよいよラベルチェック!(実践編)
できるだけ食品添加物を使っていない食品を選んだほうがいいという理由がわかってきたところで、いよいよ実践編です。配布資料とプロジェクタを使って、南さんと一緒に今回のテーマ「調味料」のラベルを見比べていきます。
とくに食品添加物を使った製品が多いのは、「めんつゆ」「だしパック」などのダシを含むもの。なぜなら、超メジャー級食品添加物の「化学調味料」、うまみ成分の添加物の出番だから。同じメーカーでも使用しているものも使用していないものも製造している場合があるので、メーカー名だけでは判断できません。表示をよく見ましょう。
ドレッシングは、うまみの増強に加えて、とろみが必要と考えられているのか「増粘剤」が使われているものをよく見かけます。水分と油分をまぜるための「乳化剤」で添加物が使われるのでは思ったのですが、「卵黄」を使っているものが多いそうです。卵黄にはレシチンという物質が含まれていて、乳化作用があります。マヨネーズの酢と油が乳化しているのも卵黄のおかげだそうです。
以下、当日の配布資料の写真より。
「酸味料(アミノ酸等)」が食品添加物。アミノ酸は正式名称「グルタミン酸ナトリウム」と表記されることも。
添加物「グルタミン酸ナトリウム」は昆布のうまみ成分、イノシン酸は肉系のうまみ成分として知られているもの。うまみ系の添加物が勢ぞろい。
「蛋白加水分解物」は分類上「食品」のうまみ成分。これでは牡蠣の味か、蛋白加水分解物・アミノ酸の味か、わからないような。
大地を守る会で扱っている製品は、原材料名がシンプル。
さっそく自宅の調味料も調べてみました。
九州ではおなじみの「さしみ醤油」は、アミノ酸でうまみ、甘草で甘味を増強していました。これでお刺身食べると美味しいんですけどね。
中濃ソースは増粘多糖類、甘味料入り。アミノ酸液は大豆の蛋白質を分解したもので分類上は「食品」。
ケチャップは添加物が比較的少ないそうだが、ピザソースには増粘剤はじめ複数の添加物が。ていうか奥さん賞味期限切れてますよ!
韓国料理のスンドゥブの素。酵母エキスは蛋白加水分解物と同様、分類上は「食品」で、うまみのために添加される成分。
麻婆豆腐に使う豆板醤。なんだかアミノ酸や増粘剤が入っているのが当たり前のような気さえしてきますが……
こちらはわが家の無添加調味料の一部。左上から時計回りに醤油、ぽん酢、すし酢、めんつゆ。大地を守る会で買った調味料は「できるだけ添加物は入れないのが当たり前」!
「保存料無添加」のからくり
他にも食品添加物について気になったエピソードが。「合成着色料・保存料無添加」を謳い文句にしているお店や商品がありますよね。だからといって、食品添加物をすべて使っていないというのは誤解だそうです。食品添加物には「保存料」とは別に「日持ち向上剤」というカテゴリーがあるので、「日持ち向上剤」しか使っていなければ、「保存料不使用」となります。言葉のイメージって怖い……。
3点に気をつけて「安全で美味しい」食生活を!
まず注意したいのは「汎用性のある添加物」。たとえば「リン酸塩」は、ソーセージの結着剤、コンビニのおにぎりやご飯のPH調整剤など、目的・使用分野が多岐に渡ります。このような汎用性のある添加物は、気をつけないと摂取量が多くなりがちです。
日常生活では「同じものばかり食べる」のはおすすめできません。ある食品の味が好きになってそればかり食べていると、含まれる添加物の摂取量がオーバーしてしまうかもしれません。栄養バランスのために少量多品目を食べるとよいと言われますが、食品添加物の対策にもなりそうです。
そして南さんが一番強調されていたのは「毎日使う調味料を食品添加物のないものにして、口を慣らしていくこと」。昔ながらの製法や、安全な原材料で作られた調味料は、添加物がなく、味わいも素晴らしい! シンプルな調理法でも美味しく仕上がるので、料理の腕が一段上がったように感じます。ぜひみなさん、調味料を買うときはラベルの原材料をチェックしてみてくださいね。
大好評の食品添加物講座、次回は9月に「おそうざい」をテーマに開催されるそうです。大地を守る会の会員の方は、「大地を守る会NEWS 8月号」のご案内をお楽しみに。
さあ、今日のお昼はそうめんですよ~。
[お詫びと訂正]
一部、表現に誤りがありましたので、記載内容を修正しました。
読者のみなさまにご迷惑をおかけいたしましたこと、お詫び申し上げます(2010.08.03)
【参考サイト】
大地を守る会
【関連記事】
おいしくて安全なお米を食べ比べ!
大坪 有香 (おおつぼ ゆか) |
コメント