戦前や戦時中にフィリピンに移住した日本人を父親に持ちながら、当時の混乱で日本国籍を取得できなかったとして、国籍の確認を求める人たち9人が、3日朝、日本に向けて現地を出発しました。
3日朝、マニラの国際空港から日本へ向かったのは、戦前や戦時中にフィリピンに移住した日本人男性と現地の女性との間に生まれたとする65歳から83歳までの男女9人です。これは日本の支援団体の招きで行われたもので、こうした訪問は今年で5回目になります。来日する人たちは、父親が戦死したり、行方がわからなくなったりして、フィリピンに取り残され、当時の混乱で父親との関係を証明する書類を失うなどして、本来は持つことのできた日本国籍を取得できなかったとしています。フィリピンでは、日本人を父親に持ちながら、戦後60年以上たっても日本国籍を持たない人が400人以上いるとされ、このうちおよそ130人が国籍の確認を求めて東京家庭裁判所に申し立てています。沖縄県出身の父親を持つというマリア・フェ・カスミさん(67)は「私たちの長年の願いをくんで、早く国籍を認めてほしいです」と話していました。一行は、今月9日まで日本に滞在し、裁判所の面接や大学での講演を行う予定で、支援団体では「2世の高齢化が進み、残された時間は少ない。早期解決に向けて政府の支援を求めていきたい」としています。