2009-06-16
バランスシートがいい椅子を教えてくれる
簿記(booking)
企業が日々行う取引から、貸借対照表や損益計算書を作成するための総勘定元帳を作ることです。単式簿記・複式簿記とかもあくまで方法論。ただ、企業組織の場合は家計簿とは違い、発生したお金の結果だけではなくその原因について因果関係を踏まえて帳簿をつけていかないと、プラスとマイナスが正しく管理できません。
会計(accounting)
総勘定元帳から、その会社に沿った基準に沿って、貸借対照表や損益計算書を作成する理論及び一連のプロセスのことを、会計と呼びます。
減価償却費を定率で行うか定額で行うか、棚卸資産を原価法で行うのか低価法で行うのか、簿価で計上するのか時価で計上するのかという話も、会計の領域です。
財務(financial)
会計が経営状況を説明するための計算手法であるのに対し、財務とは資金の管理手法のことです。キャッシュの入出を取り扱うのが会計と大きく違う所です。
会社は収益が赤字だろうが資金繰りが回っていれば存続可能です。逆に言えば収益が黒字でも現金不足で不渡りで倒産、いわゆる黒字倒産という現象が起こります。
バランスシートをご存知でしょうか。B/Sといわれる企業が決算とかでつかうものです。貸借対照表とも言います。左右に分けて資産状況を記述する形になっており、左には「資産」の内訳を、右には資金の調達の内訳、「負債」と「資本」の内訳を書きます。こうすることで、どのように資金が調達されていて会社としてその資金をどのように活用しているのかが分かります。バランスシートを見れば「企業がどのような資金を調達し、どのように資金を使っているか」を把握することが出来ます。
契約社会では、現在所有するものだけではなく将来所有するもの、逆に失うものを考慮する必要があります。約束は履行されるにはかならず時間差があります。この約束を伸ばしたり、縮めたりすることで資産や資金が変化させることもできることが可能です。これを把握するために。バランスシートはこの契約社会において必要不可欠なものなのです。
時間を上手くやりくりして資産を活用することが企業の会計、財務の仕事です。簡単に言えば、支払いは遅く、手取りは早くです。これを意識するだけで手持ち資金がかなり増えます。これを何に活用するかは、来年のバランスシートを作ってから逆算して考えるそうです。
このバランスシートの考え方は、社会一般を構成するものすべてに当てはめることが出来ます。カネ、モノが動くものすべてです。家計簿をつけるときから、国が発行する国債まで幅広く応用することができます。
たとえば、国は国債という債券を発行しています。これを分析してみますと国債がどのような形で受け渡しされていくかによって世代間の負担が変化していくことが分かります。つまり将来世代にとって国債の負担が生じないといえるためには、国債相当額の資産が無償で次の世代に継承されていくことが前提となることがバランスシートから読み取れるのです。
この条件が成立しなければ、国債は現行世代が将来世代から所得を奪うことになります。国債の償還のための増税が現役世代に行われるか、現役世代が子孫のことを配慮して国債の償還に必要な額の資産をタダで譲り渡さなければこの不均衡は是正されません。明らかに不健全な状態に陥っていることが分かると思います。にもかかわらず、国債を発行し続ける政府と日銀は未来に対する責任を放棄しているとしか思えません。その負担は自分達にのしかかってくるのですから若年者は無関心ではいられないはずです。
健全か不健全かを見極めるには、簿記・会計・財務といった手法を用いて数値化し、「過去、現在、未来」を比較することです。バランスシートを活用して、現在のあるべき姿を浮き彫りにして、正面から向き合っていかなければ未来はありません。契約社会は信用がすべてです。この信用が失われた場合、待ち受けているのは保身と疑念のみのギスギスした社会です。もうすでに、そのような社会に突入している感が否めません。
バランスシートを活用できることは大きな武器です。自分のポジションを理解してより有利なイスに座るためには必須だと思います。
バランスシートの存在意義
約束を「交わす」のと「守る」の間には、時差が生じる。この時差を記録するために、バランスシートがある。
左側:すでに交わしてきた約束の結果=資産。
右側:これから守るべき約束=負債
差=資本。
約束が存在しなければ、複式簿記は不要ですし把握が非常に簡単になります。
ニコニコ現金払いは強いのです。
参考文献
- 作者: 石島洋一
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2009/05/02
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参考記事
http://d.hatena.ne.jp/nightshift/20090121/1232521713