大阪市西淀川区のマンションで同居していた小学4年の松本聖香さん(当時9)を虐待して死なせたなどとして、保護責任者遺棄致死と死体遺棄の罪に問われた無職小林康浩被告(40)の裁判員裁判の判決が2日、大阪地裁であった。樋口裕晃裁判長は「日常的に強烈な虐待を繰り返した」と述べ、懲役12年(求刑懲役17年)を言い渡した。
判決によると、小林被告は昨年3月中旬以降、内縁関係にあった聖香さんの実母の松本美奈被告(35)=一審・懲役8年6カ月の実刑判決=と共謀。聖香さんに1日におにぎり1個やバナナ1〜3本しか食べさせなかったうえ、ベランダに寝かせるなどして衰弱死させた。さらに、美奈被告と知人の男性(42)=有罪判決確定=とともに遺体を奈良市内の墓地に埋めた。
判決は、聖香さんへの虐待は小林被告が主導したと指摘し、「被告が主張する『しつけ』の範囲から大きく逸脱していた」と判断した。そのうえで量刑に関し、「殺意が認められない他の虐待事件と比べ、検察官が今回の事件の何を重視して懲役17年という重い求刑に至ったのかの説明が尽くされていない」と指摘。今回の評議では、量刑を決める際に検察側の求刑をあまり参考にしなかったことを明らかにした。
また、事件後も相次ぐ虐待事件を踏まえ、「児童虐待を早期に発見し、激化するのを防ぐ社会的な施策を確立することも重要だ」とも述べた。(岡本玄、野上英文)