【社説】天安問題をあいまいにすれば6カ国協議に悪影響
米国務省のアインホーン不拡散・軍縮担当特別補佐官兼対イラン・北朝鮮制裁担当調整官は2日、「北朝鮮の状況に見合った制裁を行う」と発言した。これについて同調整官は韓国政府関係者に対し、「北朝鮮による通常兵器の輸出入、偽造紙幣の流通、ぜいたく品の輸入などに関する金融取引を阻止する新たな行政命令を発動し、また国連安全保障理事会による北朝鮮制裁決議第1874号と、米国国内の従来の行政命令13382号の適用を強化する」と説明した。
アインホーン調整官は「(海外にある北朝鮮の資金源を締め上げる)今回の措置を通じ、(北朝鮮の権力層に)北朝鮮が非核化の義務を果たすべきことや、追加の挑発は行えないことを理解させることができるだろう」と述べた。米国は北朝鮮の状況について、「金日成(キム・イルソン)・金正日(キム・ジョンイル)親子に続く3代権力世襲に向け、これに必要な軍、党、官僚集団の忠誠心を引き出すための統治資金が、これまでになく必要な状況」と見ており、「北朝鮮の海外資金源を締め上げれば、北朝鮮は6カ国協議に応じるだろうし、哨戒艦『天安』への攻撃のような挑発行為も取りやめる以外にないだろう」と考えているようだ。
このような思惑に基づく米国の制裁が成功するかどうかは、中国にかかっている。北朝鮮の主な金融取引は中国を通じて行われており、また北朝鮮が挑発行為を行えないよう影響力を発揮できる国も、中国しかないからだ。しかし中国は、天安沈没事件では一方的に北朝鮮を擁護し、韓米合同軍事演習にも強く反発している。このような中国の態度を変えられない限り、北朝鮮への制裁が効果を発揮するのは難しいだろう。過去のケースを振り返っても、北朝鮮は自分たちに対する外からの圧力が強くなった場合、より大きな挑発行為で対抗することが多かった。北朝鮮の労働新聞は2日付で、「全面戦争であれ核戦争であれ、われわれはあらゆる準備ができている」と主張し、これとは別に新しい方式の核実験を行うことも公言している。
米国による今回の制裁の名分は、北朝鮮に対し、天安を沈没させた責任を追及するためであり、同時に北朝鮮に圧力を加え、6カ国協議へと再び引き出すことも重要な目標だ。一方、韓国にとっては、天安問題にはっきりと決着をつけ、北朝鮮が二度とこのような挑発行為ができないようにしたいところだ。また、制裁によって、北朝鮮を新たな挑発行為に走らせないようにしなければならない。そのためには韓国軍の力量を強化し、万一北朝鮮による追加の挑発があった場合には、韓米両国が自動的に反撃に乗り出す、という決然とした意志を示すべきだ。
北朝鮮の核問題解決のためには、何としても北朝鮮を6カ国協議へと再び引き戻さなければならない。しかし、北朝鮮に対する天安攻撃の責任追及が、一種の通過儀礼のようになってしまっては、これもまた誤ったメッセージを送る結果となりかねない。そうなると、間違いなく6カ国協議にも悪影響を及ぼすようになるだろう。