対北制裁:「厳しすぎても弱すぎても問題」(下)

国連決議の強化により核とミサイルの取引を遮断

 北朝鮮はすでに2回の核実験を実行しており、国連決議第1718号と1874号で制裁を受けている。しかし、中国など一部の国が人道支援という名目で北朝鮮の退路を開いているため、制裁の網には穴が開いている状況だ。そのため米国は今回、従来の国連決議による制裁も強化する方針だ。アインホーン調整官は「北朝鮮の顧客や潜在顧客には、武器やミサイル、そのほか危険な物品の購入を中断するよう求める」と述べ、国連決議の履行を改めて強く求めた。

 アインホーン調整官は中国について、「北朝鮮への金融制裁を行うには中国の支持が必要だ。責任ある役割を果たしてくれることを期待する」と述べた。国連決議に反して北朝鮮との取引を続ける国があった場合、米国はその国に担当者を派遣し、違反の根拠となる資料を突きつけることも検討している。

外交面での説得と金融システムで補完

 米国による追加制裁は、イランへの制裁のように強制力のある法律ではなく、施行令に近い行政命令という形を取っている。そのため北朝鮮との違法な取引を行う第3国に対し、制裁を加える強制的な手段はない。これについては、アインホーン調整官も韓国政府当局者に対し、「今回の制裁はそれほど厳しいわけではないが、弱いものでもない」と説明したという。

 米国はこれを補完する方法として、外交面での説得と米国の金融システムの力を利用したい考えだ。アインホーン調整官は、「違法取引に関与する北朝鮮企業や個人が必要な財政支援を得られないよう、米国は主要国の政府に求める」と述べた。特に北朝鮮による通常兵器取引やぜいたく品の輸入を禁じた国連決議第1718号と1874号は、国際法と同じ効力があるため、国連加盟国に徹底して履行を求める根拠となっている。

 米国が制裁の効果を期待するもう一つの理由は、米国の金融システムの力だ。2005年に北朝鮮が保有する2500万ドル(現在のレートで約22億円)を凍結したマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)方式の制裁も、「腕力」ではなく、米国主導の国際金融システムが力を発揮した。クレーザー米国務副次官補は、「北朝鮮と関係する個人や企業は今後、国際金融システムにアクセスすることが難しくなるだろう」と発言したが、これも、このようなことを念頭に置いた発言だ。ある外交筋は「米国の要請を拒絶した銀行は、今後長期にわたり国際的な金融活動が困難となる見通しだ」と述べた。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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