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【主張】「対日戦勝日」制定 歴史の歪曲なぜ抗議せぬ (1/2ページ)
このニュースのトピックス:主張
第二次大戦の降伏文書に日本が調印した9月2日を、「大戦終結の日」とする法案がロシアで成立した。旧ソ連による日ソ中立条約を破っての対日参戦や、北方領土の不法占拠を正当化するもので、断じて受け入れられない。
ところが驚くべきことに、武正公一外務副大臣は「対日戦勝」などの表現がないとしてロシアに抗議しない考えを示した。岡田克也外相も懸念の意を伝えるにとどまった。これではロシアの思うつぼだ。
ソ連は終戦間近の1945(昭和20)年8月9日、当時有効だった日ソ中立条約を破って日本を攻撃し、さらに8月15日の終戦後には北方領土を不法に占拠した。これらの歴史的事実は、ソ連による明白な国際条約違反であり、侵略行為である。
武正副大臣は記者会見で「ロシア側が一定の配慮を行った。日露関係に直接影響を与えることにならないよう期待している」と述べた。だが、ロシア側が原案の「対日戦勝記念日」を最終的に修正したのは、日本への「配慮」というより、日本からの批判を封じ込めるのが狙いだった。
そうしたロシア側の意図があるにもかかわらず、日本政府高官が、日露関係に直接影響が出ないことを期待するというのはあまりに腰が引けている。
「対日戦勝記念日」をロシアが制定したのは、日本が昨年6月、北方領土を「わが国固有の領土」と初めて明記した改正北方領土問題特措法を成立させたことへの報復との見方が出ている。