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収入格差の拡大、初めて国の責任認める 労働白書

2010年8月3日13時27分

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 厚生労働省は3日、2010年版「労働経済の分析」(労働経済白書)を発表した。不安定な働き方が増え、労働者の収入格差が広がったことについて、「労働者派遣事業の規制緩和が後押しした」と国の責任を初めて認めた。政権交代や、労働者派遣法改正案が先の通常国会に提出されたため、踏み込んだ表現となった。

 白書は雇用者の年間収入を、就業構造基本調査をもとに推計。1997年からの10年間で、100万円〜250万円の低収入層の割合が雇用者全体の25%から29%に増えたと指摘。格差が拡大した結果、消費が低迷し、産業発展の可能性を狭めた、と結論づけた。

 非正規雇用が増えた背景に、企業で人件費の抑制志向が強まり、じっくりと人材を育てるよりも即戦力の確保が重視されたことを挙げた。また、99年の派遣業種拡大や04年の製造業派遣解禁など労働者派遣事業の規制緩和が、「こうした傾向を後押しした」と認めた上で、「今後は正規雇用化を進めて技術・技能の向上と所得の底上げを目指すべきだ」と求めた。

 民主党に政権交代し、製造業派遣の原則禁止などを盛り込んだ労働者派遣法改正案が通常国会に提出されるなど、雇用政策は一変した。06年から白書をとりまとめてきた厚労省の石水喜夫・労働経済調査官は「これまでは構造改革がもたらした格差の是正を訴え続けてきた。今後は、長期雇用のもと技能や付加価値の高い人材を育てることで、所得の向上や経済の発展を目指すべきだ」と話す。(高橋末菜)

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