2009-04-19
5対25の法則 “三河屋商法”の戦い方
勝手口から現れて醤油や味醂などの注文をとっていき、配達をしてくれる御用聞きですが、最近の都会では見かけることがめっきり少なくなりました。大型SCに押されていますが、いまでも裏口からやってくる“三河屋さん”の存在は大きいです。
☆5:25の法則:顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%改善されるという法則
一般に、企業にとって新規の顧客を獲得するために必要なコストは、既存の顧客に新たな商品を販売する5倍かかると言われており、新規開拓するよりは既存の顧客へ対する売り上げを増加させた方が利益を挙げやすい。
顧客離れの5%を改善した場合、そのために必要であった努力やサービスの向上により既存の顧客全体のロイヤルティも改善されるため、結果的に既存顧客からの収益が大幅に改善されることになります。
例えば「エアコンの調子が悪くなったから見にきて」と近所の電器屋さんを呼びます。電気屋さんは雑談でもしながらエアコンを直します。代金を支払い終わりではありません。そこには信頼という関係が生じています。
信頼関係は安心という目に見えない価値を生んでいます。特に心配事が生じる場合には次もその店で購入する可能性が飛躍的に高まります。娘が一人暮らしをするといえば、必要な家電をひと揃え注文してくれるはずです。
手間のかかる客を相手にして、採算効率が悪いのではと考えがちですが、実際は逆です。信頼が芋ズル式に利益を生む形です。同じ初対面でも、共通の友人の紹介ならば、警戒感を持たれることはありません。三河屋さんは「磯野さんが利用している店」として、近所の人にも信頼されています。
安い値段で大量に裁く商売が本当にこれからも続くのか。専門による御用聞きの能力を付加価値として上乗せされた商売が、巻き返しを図るのか。言い換えれば、値段は安いが1つは淡々と仕事をこなす人の店。値段は高いが自らのオススメを提案したり試作品の感想を求め改善を図るお店。次にどちらで買いたいかです。
専門性が高くなればなるほど、技術が発展すればするほど御用聞きの能力が必要とされる気がしないでもありません。潜在ニーズを汲み取るカウンセリングに対して対価を払うか否か。選択肢は個々人に委ねられています。
参考文献
- 作者: リチャード・セイラー,キャス・サンスティーン,遠藤真美
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2009/07/02
- メディア: 単行本
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