哨戒艦沈没:魚雷推進部の文字が消えなかった理由(下)

KAIST宋泰鎬教授、「週刊朝鮮」に論文を公開

厚さ5センチの鉄板を熱するには140秒必要

 膨張したバブルが魚雷推進部位に到達するまでの時間はおよそ0.0071秒。このときのバブルの温度は604度。宋教授は「高温ではあるが、バブルが到達した地点は、1番の文字が書かれた推進部位の後部ではなく前部だ。バブルが推進部位をしばらく温めなければ、インクには何の影響もない」と説明する。

 宋教授の計算によると、厚さ50ミリの鋼板状推進部位の後部にまで熱が伝わるには140秒かかる。これに対し、魚雷の爆発とバブルの膨張が起こった時間は、長くても1-2秒だ。宋教授は「推進部位の前面に3000度の熱が加わったとしても、1秒後の後部の温度は1億分の1度も上昇しない。これは、石こうボードの上に一瞬高熱が加えられたとしても、その裏側では熱を感じないのと同じ理屈だ」「イ・スンホン教授らが犯した二つ目の過ちは、すなわち推進部位の前面から後部に熱が伝わるのにかかる時間をまったく考慮していない点だ」などと指摘した。

同僚の教授ら26人が論文を追認

 宋教授は「1番の文字は当然焦げつくはず」という主張に配慮し、この点を最大限計算に反映させた。魚雷の爆発時に推進部位が後方に押し出されたため、熱の影響を受けなかったという合同調査団の説明はいったん排除し、推進部位が本来の位置で熱に露出されたと仮定しただけでなく、弾頭部から推進部位までの円筒型空間も存在しないと仮定し、熱が伝わる際の最適な状況を仮定した。

 宋教授は「そのように仮定しても、推進部位の前面の温度は0.0145秒後には5.46度まで上昇し、これが徐々に冷やされた。そのため1番の文字が書かれた後面では、温度の変化そのものが起こらない」という結論を下した。

 KAIST機械工学科に所属する26人の同僚教授らから追認を受けた宋教授の論文は、KAISTの熱伝導研究室サイトでも公開されている。宋教授は「専門家なら、誰もがこの研究内容について検討してほしい」と述べた。

李竜洙(イ・ヨンス)記者

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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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