池田信夫 blog

Part 2

2007年11月

2007年11月06日 18:24

ウェブ時代をゆく

年をとると、本を読むのが速くなる。書いてあることの大部分が既知の話なので、飛ばして読めるからだ。逆にオリジナルな学術書は、1冊読むのに1ヶ月かかることもある。だから私の場合、本の価値はそれを読むのにかかった時間にほぼ比例する。本書は、15分で読了した。何も新しいことが書いてないからだ。おまけに「リーダーシップ」だとか「ロールモデル」だとかいうありきたりな人生論が多く、ほとんど江原啓之化している。

『ウェブ進化論』のころにはまだ目新しかったシリコンバレーの世間話が、「またか」という感じで延々と続く一方、日本の現実への言及がほとんどない。彼が取締役をつとめている「はてなブックマーク」の人気記事から拾っただけでも、「どうせ理系出身者なんていらねえんだよ」「IT業界を不人気にした重鎮たちの大罪」「IT業界のネガティブイメージ 」といった記事が上位に並ぶ。PCでも携帯電話でもウェブでも世界から孤立し、3K業種として学生からも見放された日本のIT産業につとめる人々には、著者の「自分を信じろ、好きを貫け」という類の説教は何の足しにもならない。

日本には著者のほめるジョン・ドーアのようなベンチャー・キャピタリストはいないから、新しいビジネスと起こそうとしても担保がないと金を貸してくれない。P2Pのソフトウェアを開発すると警察に逮捕されるし、来年からはYouTubeからクリップをダウンロードしただけで逮捕されることになりそうだ。著者の期待する「1976年世代」の多くは、就職氷河期に遭遇してフリーターになり、「希望は戦争」だと叫ぶ。日本の名目成長率は、1990年代からほぼゼロで、主要先進国の「最貧国」グループに転落した。アメリカの成長の牽引力となったIT産業が壊滅したからだ。

こういう日本の現実は、著者の目には入らないのだろうか。あるいは、そういう現実を無視して「オプティミズム」だけを語ることが営業上得策だから、そうしているのだろうか(コンサルというのは会社の悪口を言ってはいけないと聞いたことがある)。こんな陳腐な「ウェブ人生論」に多くの若者が支持を寄せるのも、カルトのようで気持ちが悪い。救いのない現実から「あちら側」の世界に逃避する信者を作り出しているとすれば、著者の罪は江原氏より深い。
2007年11月05日 01:17
法/政治

小沢一郎氏の終焉

1993年6月18日、小沢一郎氏が宮沢内閣不信任案に賛成して自民党政権を終わらせた瞬間を、私は国会内の中継車で見ていた。歴史の歯車が回る音が聞こえたような気がした。自民党最大の実力者が党を割って出る決断力に感銘を受け、「リスクをとらなければ何も変わらない」と心に決めて、その1ヶ月後に私はサラリーマンをやめた。そのとき以来、小沢氏の動きにはずっと注目してきたが、細川政権の崩壊以後は、その決断がすべて裏目に出て、結果的に自民党を延命するという同じパターンの失敗を繰り返してきた。

彼の最初の失敗は、1991年、海部首相が辞任したとき、後継首相に党内で一致して推されたのを断ったことだ。当時49歳で党内の権力を握り、まだ何度でもチャンスはあると思ったのだろう。彼の持論は、自民党の福田派と田中派の流れが二大政党として政権交代を実現する保守二党論だったから、政治改革で主導権をとり、中選挙区制に固執する守旧派を追い出すつもりだった。しかし結果的には、彼が竹下派内の権力闘争に敗れて自民党を出るはめになった。

第2の失敗は、羽田政権の崩壊後、社会党を連立政権から追い出し、自社さ連立によって自民党の復権を許してしまったことだ。細川政権ができた直後から、自民党の社会党に対する工作は始まっており、変化をきらうことで一致する自社両党が国対ルートで連携し、それを武村正義氏が政治的野心に利用して「小沢つぶし」で手を組んだのだ。このときも、最初は渡辺美智雄氏を、ついで海部俊樹氏を党首に担ぎ出して自民党を分裂させようとした小沢氏の工作が、社会党の委員長を首相にするという守旧派の「まさかの戦術」に裏をかかれた。

第3の失敗は、1997年末に突然、新進党を解党したことだ。このときも小沢氏は、亀井静香氏や梶山静六氏などと保保連立を画策し、それが党内に亀裂を生んで「太陽党」や「フロムファイブ」(覚えてます?)などのミニ政党が次々に新進党から離れ、公明も「公明党」に戻ることを決めたため、保守勢力を「純化」しようとしたのだ。しかし結果的には、小沢氏についてきたのはわずか54人で、自由党もミニ政党になってしまった。

第4の失敗は、1999年に仕掛けた自自連立である。このときは前年の参院選で自民党が過半数を割り、今と似たような「ねじれ国会」になった。しかし民主党の菅代表が「金融問題を政局にしない」と政界再編に消極的だったことから、かつての仇敵、野中広務氏と手を結んで自民党と連立を組んだのだ。これで政権復帰は果たしたものの、自民党を割ろうという小沢氏のねらいは実現せず、逆に公明党を呼び込んで与党の絶対多数を回復してしまった。また連立を解消するとき、自由党の半分以上が「保守新党」に残り、自民党を補強する結果に終わった。

そして第5の失敗が、今度の代表辞任だ。今度は大連立で自民党内の小沢氏に近い勢力と組み、彼のきらいな社民系を追い出して首相にでもなるつもりだったのではないか。しかし、その「ひとりクーデター」があっけなく失敗して、また「切れた」わけだ。過去の彼の行動パターンからみると、また側近を連れて自民党と合体するつもりかもしれないが、さすがに今度はだれもついてこないだろう。

自民党の打倒を唱えながら、くりかえし保保連立を画策する小沢氏の矛盾した行動の背景には、自民党が分裂しない限り安定した二大政党はできないという信念がある。それはそれなりに筋の通った政治理念なのだが、彼はそれをいつも側近で固めて裏取引で合従連衡を進める派閥的な手法で実現しようとし、その独善的な体質が反発を招いて、失敗を重ねてきた。

日本にpoliticianはたくさんいるが、国家理念を語り実行できるstatesmanは小沢氏ぐらいしかいない、とかつてEconomist誌は評した。それぐらい国際的にも評価の高かった政治家が、同じ失敗を繰り返して自滅したのは、日本の政治のためにも残念なことだった。これで民主党もガタガタになり、小沢氏みずから言ったように、次の総選挙では惨敗するだろう。そして自民党の永久政権が続くわけだ。あと10年ぐらいして、まったく新しい世代が出てくるまで、日本の政治は変わらないかもしれない。
2007年11月04日 15:24
経済

クルーグマンの素人談義

ミルトン・フリードマンと一緒に記念碑的な大著『アメリカの金融史1887-1960』を書いたアンナ・シュワルツが、ポール・クルーグマンのフリードマン批判に、長文の怒りの反論を書いている。おばあちゃん風の口調で訳すと:
ポールのエッセイは、最初から最後まででたらめよ。あたしはミルトンと50年近く一緒に仕事をしたけど、彼のことを何も理解してないくせに彼を侮辱するのは許せないわ。

ポールのいうには、「通貨供給の成長率を固定する"*%ルール"がマネタリズムの根本命題で、それは今ではどこの国の中央銀行も採用してないから、ミルトンはまちがっていた」ですって? ミルトンは一度もそんなこといってないわよ。彼がいってたのは、貨幣的な制約がインフレをコントロールするための必要十分条件だということで、これは50年前から死ぬまで変わってない。制約の方法は通貨供給だけじゃなく、金利でもいいのよ。

もっと許せないのは、ミルトンとあたしの書いた本がまちがってて、ケインズが正しかったというポールの話よ。1930年代のFRBの金融政策が大恐慌の最大の原因だったというのは、今では金融の専門家がみんな認めてることよ。名目金利がゼロになっても、通貨供給で資産価格をコントロールできるし、資本注入で銀行の破綻や取り付けも防げる。それなのにFRBは、ことごとくその逆の政策ばかりとったから大恐慌になったのよ。21世紀に「流動性の罠」なんて石器時代みたいな話をしてるのは、ポールだけ。だいたい彼は、日銀を批判して「もっとジャブジャブに通貨を供給しろ」といって、流動性の罠なんかないことを自分で認めてたじゃないの。

ミルトンは、金融政策というものを幅広くとらえてたのよ。ポールみたいに、通貨供給はきかないけどインフレ目標はきく、なんて何の根拠もない話はしなかったわ。そのうえ、日銀がインフレ目標を設定しなかったのに日本の景気が回復したのはなぜか、とあたしがきいたら、ポールは「IT革命のおかげ」だって!

ポールの話は、こういう論理的な矛盾と初歩的な誤解だらけで、訳がわかんないわ。彼は金融の専門家じゃないんだから、素人はよけいな口出しするんじゃないの。
出所:Greg Mankiw's Blog

レディオヘッドのニューアルバム"In Rainbows"は、ウェブサイトで消費者が価格を決めてダウンロードするという新方式で発売された。その結果は、実に10日間で100万ダウンロードを超えたという。平均価格は9.1ドルと、普通のアルバムとそう変わらない。バンドの取り分は90%だというから、通常のCDのロイヤルティ(5%)よりはるかにもうかったことになる。

こういう場合、新古典派経済学では、ユーザーは価格ゼロを入力するのが「合理的」な行動だが、これだけ高い価格がつくというのはおもしろい。ただP2Pサイトなどから違法にダウンロードしたユーザーも、30万人いたようだ(*)。ちなみに、私は3ポンド払った。MP3でコピーフリーだから、どんなプレイヤーでも聞けるし、音楽的にもいいアルバムだ。

価格が市場ではなく消費者によって一方的に決まるメカニズムというのは、おもしろい社会実験だ。少なくともレディオヘッドぐらい質の高い音楽なら、著作権がどうとか下らないことをいわなくても、超効率的に音楽を売れることがわかったわけだ。これから、こういうレーベルを「中抜き」した音楽配信が増え、ウェブによってアーチストの表現方法も多様化するだろう。

追記:イーグルスの新譜も、ウェブサイトにある。アルバムは北米からしかダウンロードできないが、シングル曲"How Long"のビデオクリップは無料でダウンロードできる。

(*)コメントで教えてもらったが、これはBitTorrentなどのサイト経由の集計らしい。したがって、正規ダウンロード(価格ゼロも含む)のほかに30万ダウンロードあったということだ。

2007年11月03日 23:23

財投改革の経済学

著者(高橋洋一・内閣参事官)とは、十数年前に財投改革についての番組で取材したとき以来のつきあいだ。当時は大蔵省理財局の企画室長だったが、「霞ヶ関の金正日」とよばれる(顔が似ているだけ)名物男で、「財投300兆円を動かす世界最大のファンドマネジャー」と本人も豪語していた。話がとても官僚とは思えないぐらいおもしろいので、インタビューしようとしたら、理財局長に止められた。著者は大蔵省の公式見解なんか屁とも思っていないので、何をいうかわからないからだ。

経済学界でも彼は「洋ちゃん」として有名で、NIFTYでもQuarkというハンドルネームで、経済フォーラムなどで財投批判に反論したり、ケインズ政策を否定したりしていた。私とは意見がほとんど一致して、「リチャード・クーは経済学の学位もとれなかった落第生だ」などと言っていた。当時は「構造改革」派だったが、最近は恩師バーナンキやクルーグマンの影響で「インフレ目標」派になった。

そのころは知る人ぞ知る存在だったのだが、著者が一躍、有名人になったのは、竹中平蔵経済財政担当相の補佐官になってからだ。特に郵政民営化のシナリオは、実質的に著者が書いたといわれ、本書でもそれを認めている。ただ本書の内容は、意外に(?)オーソドックスで、竹中改革の中身をインサイダーが「本当の数字」を使って明らかにした点で貴重だ。

特に重要なのは、「郵貯の矛盾は90年代の財投改革で解決したので、郵政民営化なんてナンセンスだ」という通説に反論している点だ。著者によれば、逆に財投改革によって郵政民営化は不可避になったのだという。融資部門をもたない郵貯が銀行と競争できたのは、資金運用部から0.2%の金利上積みという「ミルク」を補給してもらっていたからだ。これによって財投の資金コストは上がるので、その融資先の特殊法人などは赤字になり、それを一般会計から補填していた。つまり郵貯がリスクなしで稼ぐ0.2%の利鞘を、まわりまわって納税者が負担していたのだ。

しかし、この「ミルク」は財投改革で補給されなくなったので、低金利の国債を買うだけの郵貯が赤字になることは避けられない。融資のノウハウをもっていないから、リスクをとって高い金利をとることができないのだ。市場で「自主運用」した年金資金運用基金(旧年金福祉事業団)は、6兆円以上の赤字を出して債務超過になった。郵貯も、民営化して運用の自由度を高めなければ、長期的には破綻するおそれが強かった。

おもしろいのは、道路公団の民営化の話だ。当時は、道路公団の「内部告発」で、公団は債務超過だという情報が流れたが、著者はこれをキャッシュフロー・ベースで計算しなおし、約1.9兆円の資産超過だという。その原因は、世界一高い高速料金だ。つまりここでも、国民に負担を転嫁することによって道路公団は利益を蓄積し、ファミリー企業にばらまいていたわけだ。

もう一つ驚くのは、塩川元財務相が「離れですき焼き」と評した特別会計の実態だ。財政融資資金特別会計23兆円をはじめ、総額で50兆円もの隠し資産があるという。ここにも、わかりにくい特別会計という形で資産を蓄積しておきながら、一般会計の赤字だけを見せて国民に負担増を求めるトリックがみられる。消費税の引き上げを議論する前に、この不透明な特別会計の実態を徹底的に解明すべきだ。

追記:週刊東洋経済の「ベスト経済書」のアンケートで、私は本書を第1位に推したが、驚いたことに全体の第1位になった。霞ヶ関の内部構造を知る上で、必読書である。
久しぶりに、自宅のコンピュータを買い換えた。デルの最低価格モデルで、モニタ付で6万4000円。デルは丈夫なので、前のマシン(MEモデル)は6年使ったが、さすがにハードディスクが飛んだので、買い換えた。OSはVistaだが、モニタが横長なので、字がみんな横長に見えて気持ちが悪い。恥ずかしながらVistaは初めてなので、久しぶりにサポートセンターに電話した。

私「字が横長に見えるんだけど、どうすればいいんでしょうか?」
サポート(中国語のアクセントで)「お客様、これからはワイド画面の時代だから、それ当たり前ですよ」
私「当たり前ってことはないだろう。だったら4×3のモニタに交換してよ」
サポート「・・・責任者に聞いて、こちらからお電話します」

・・・といったやりとりを何往復しても、らちがあかない。そのうち、画面設定を変更することに思い当たった。やってみると、さすがにVistaは、1440×900という横長モードがあったので、自力で解決したが、この間ほぼ半日。普通の技術的知識があれば、30秒で終わる話だ。これがサポートNo.1だったデルの評判を失墜させた、話題の大連サポートセンターか。

さすがに「日本語が通じない」という苦情が殺到して、最近は日本人スタッフを積極的に募集しているようだ。その求人広告を見ると、「年俸制5万元~」。1元=約15円だから、年収75万円だ。「バス運賃=1元、食堂での昼食=5元~8元」というから、物価も日本の1/10ぐらいなので、購買力平価でみると、平均的な日本の社員とあまり変わらないが、現地でいくら元で貯金しても、日本へ帰ってきたら1/10になる。

それでも日本から応募するスタッフが増えているそうだ。年齢不問で実力主義だから、就職氷河期でフリーターになった「ロスト・ジェネレーション」でもハンディキャップがない。経済学の「要素価格均等化定理」では、貿易を通じて賃金が平準化すると想定されているが、アウトソーシングから一歩進んで、今や労働者が輸出入される時代になったわけだ。

IBMは、昨年の投資家説明会を「インドのシリコンバレー」といわれるバンガロールにある宮殿で開いた。IBMが本社のあるニューヨーク以外で説明会を開くのはこれが初めてだが、その場所にインドを選んだことには大きな意味がある。それはインドが、今やIBMのビジネスの中核であることを示すものだ。IBMのインド法人の売り上げは年率40~50%で伸び、アメリカ以外で最大になった。IBMは向こう3年間で、インドに60億ドル投資する予定だ。サム・パルミサーノCEOは、グローバル企業の歴史を3段階にわけて説明した:
第1段階は19世紀の国際モデル、第2は20世紀の古典的多国籍企業だ。IBMも最近までは、各国に現地法人を置き、そこに本社のミニチュアを置いて現地生産し、その国の顧客に売る、このモデルだった。しかしこれからIBMは、第3段階のグローバルに統合された企業になる。それはグローバルな一つの世界戦略の中に各国の拠点が位置づけられ、170ヶ国に分散する33万人の社員を最適なコスト、最適なスキル、そして最適なビジネス環境を選んで配置し、それらの機能をグローバルに統合する、21世紀の企業モデルだ。
国際化からグローバリゼーションへ、デルもIBMも激しく動いている。もちろん、その過程では大連のような問題も起きるだろう。しかし、デルはサポート利用者全員に「顧客満足度」をきくEメールを出したりして、サービスの改善に必死だ。彼らは、パラダイス鎖国で惰眠をむさぼっている日本の電機メーカーの2周ぐらい先を全力疾走している。このままでは、日本のIT産業が中国に追い抜かれる日も遠くないだろう。
2007年11月02日 23:26
IT

地デジ リンク集

このごろ、また地デジについての取材が増えてきた。特に今週は、昨日と今日、同じ話を2回して、記者会見を開きたくなる芸能人の気持ちがわかった。2011年まで、あと4年と迫り、「買うなら地デジ対応のテレビを」と思う人が増えてきて、「買って帰ってみると映らない」「アンテナの立て替えが必要だ」「集合住宅なので共聴アンテナが必要だが、管理組合でOKが出ない」などのトラブルが多発しているそうだ。

こういう泥沼になることは、9年前から私が警告していた通りだが、ここにきて現実に問題が起こって、メーカーや総務省に電話が殺到し、対応しきれなくなっているらしい。そこで同じ話を繰り返さなくてもすむように、これまで当ブログで書いた記事へのリンクとともに、新たにFAQをまとめてみた。取材は拒まないが、最低限このリンク先の内容と『電波利権』は読んでから、取材に来てください。この他にも、質問があればFAQで答えるので、コメント欄にどうぞ。
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Gregor Smithによると、1980年から現在までの日本のフィリップス曲線(の左右反転したもの)は、なんと日本地図そっくりだそうだ。

長期的にはフィリップス曲線は垂直になるはずだから、この図の本州あたり(2~3%)が自然失業率で、CPIがマイナスになっている左端のかたまり(九州)が90年代だろう。こう見ると、この時期がいかに異常だったかがわかる。この部分だけが均衡状態から飛び離れて島のように見え、フィリップス曲線がほぼ水平になって失業率(景気)と無関係に一定の「自然デフレ率」があるように見える。

したがって、デフレが不況をもたらしたという主張は成り立たない。両者には相関がないからだ。むしろデフレ(に見えるもの)は、輸入物価などの外生的な要因で生じた相対価格の変動で、マクロ政策では容易に変えられないことを示しているのではないか。同様に失業率の急上昇も、バブル崩壊後、経済全体が恒常成長状態から大きく外れたことが原因なので、マクロ政策だけでは戻せない。

出所:Marginal Revolution


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