2009-02-04
都会へ向かう老人 地方に向かう若者
戦後からずっと地方の過疎化が叫ばれ続けていました。田舎には高齢者が残っていましたが、その高齢者もずっと住み続けてきた土地を捨てて都会へ移動しつつあります。かつては「リタイヤしたら田舎で悠々自適」というのが中高年にとって理想の人生ではありましたし、今後そういう流れもできてくるかもしれません。しかし現実は厳しい状態です。なぜでしょうか。
田舎は思考も古いからです。都会からしてみれば不便極まりない旧式の都市設計で車が無ければ何もできない陸の孤島が各町村に存在する状態だからです。昔はどこもそうだったので気にはならなかったのですが、ユニバーサルデザインやバリアフリーが当然とされてきた都会での生活に比べると雲泥の差があります。
自治体の財源も都市部に依存して自主財源も火の車です。いつ破綻してもおかしくない状況で、今後の行政サービスなど期待はしないほうがいいかもしれません。正直なところ、余剰が無い限りリタイヤしてから来るような環境ではないのです。
若者にとって田舎暮らしは悪くありません。給料は安いですが、地元で取れるものは安い(都市部でスーパーで並んでいる雑貨などは高い)。不動産価格は十五年以上にわたって下がり続けているので一戸建ても楽々借りられます。ネットなどを活用すれば、都会よりリーズナブルで美味しい空気と広い空間でストレスを感じることがありません。
変わらない日々を享受して生きるならばこれ以上ない環境です。競争の激しさにさらされて息苦しくなった人は田舎に流れていくといいと思います。無理に心を病んでまで都会で戦う必要はありません。ピーターの法則ではありませんが、地方にも都会では普通だった人が優秀な人になりうる受け皿があります。
いままでの都市と地方の年齢別人口割合の歪みを矯正するには絶好の機会なのかもしれません。全体最適を目指すなら地方から都市へ、都市から地方への動きは推進すべきです。田舎に生活インフラを分散投資してもコストばかりが嵩んでしまうだけです。ここにも市場原理が働かせて、都市−地方間での再配分システムは人の移動という形でより低コストで行えることになるはずです。
参考文献
田舎の探し方 全国153自治体の「田舎暮らし体験」プログラム226
- 作者: 空閑睦子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2008/10/31
- メディア: 単行本
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参考記事
てなブックマーク - 都会へ向かう老人 地方に向かう若者 - keitaro-news