2009-06-21
税は国との交渉できまる不公平なルール
企業の7割は法人税を支払っていません。サラリーマンが豊かになれない理由に「税の不平等」の問題があります。各種費用が自動的に差し引かれる源泉徴収というシステムです。きちんと納税されている徴収割合が、サラリーマンは全部の10割、自営業者は5割、農家は3割、政治家は1割という話は聞いたことあると思います。日本の税体系の中では、サラリーマンだけが著しく虐げられた存在となっています。
税金には、消費税や所得税、住民税、相続税などさまざまな種類がありますが、日本国民であるわれわれには納税の義務が課せられています。この中で所得税については、毎年1月1日から12月31日までに得たすべての所得を計算して、申告して納税することが定められています。この一連の手続きを確定申告と呼びます。
前もって給与から「源泉徴収」という形式で税金を徴収されていたり、予定納税という形で前払いをしている場合もあるので、払い過ぎたり、あるいは払い足りなかったりすることもあるわけです。確定申告は、前もって払った分と本来払うべき税額を計算し、正しい金額との精算をするという意味もあるのです。
通常、サラリーマンは、会社が各社員の所得税を計算して、毎月の給与からあらかじめ天引きする方式(源泉徴収)をとっていますが、年度内に完全に確定した金額を計算することは不可能です。そこで概算で給与から控除して、その精算を「年末調整」という形で行っているのです。
確定申告が必要な人
1. 給与収入が2000万円を超える人
2. 副収入がある場合で、所得が20万円を超える人
3. 2つ以上の会社から給与をもらっている人
4. 医療費控除・雑損控除緒を受ける人
5. 住宅ローン控除を初めて受ける人
6. 年の途中で退職した人
確定申告をしなくてよい人
1. 会社員で、年末調整を受けた人
2. 専業主婦など所得がない人
3. 所得控除額の合計が所得額より多い人
一般的に、サラリーマンにとって、確定申告はあまり身近なものではないかもしれません。しかし、税金を払い過ぎていても、税務署は連絡をくれません。逆に不足していると通知があるのに、不公平な感じがします。
政府の統計などに頻繁に登場する「世代会計」という概念があります。これは、どの世代が税金や保険料をどのくらい負担して、自分たちが受け取れる側になったときに、どのくらいのメリットがあるかを示すデータです。
内閣府の試算によると、現在20歳未満の世代と今後生まれてくる世代は、一生のうちに1億5000万円以上の税金や保険料を支払うのに、政府から受け取れるサービスは1億1000万円足らずで、4600万円以上の赤字となっています。一方、60歳以上の世代は、4900万円以上の黒字になるので、その差額は1億円近くになります。少子高齢化を考えていなかったことに大きな原因があります。未だに人口問題を提起していない政府は社会システムを変える気がないのでしょう。
支えられる世代と支える世代の不公平さ。この矛盾した現実があります。この調整を行っていかねばならないのですが、いかんせんあまり知られていないので若い世代が奮起するような活動にはいたっていません。ましてや、投票率は高齢者の割合が圧倒的に高いのでこれを是正するような動きは今のところ見られないです。なので、これからも世代間の格差を訴えていくことを前提として、目前の税金をいかにして抑えるかに対応する方が現実的です。
そもそもこういった源泉徴収システムがあることが、税金を納めているという意識を低下させ、税金の公平性を欠いた配分や使い道を国民が指摘しなくなったような気がしないでもありません。
われわれは『3大義務である納税を負う代わりに、行政サービスという正当な対価をもらう』ということに当たり前のことに対してもう少し踏み込む必要があると思います。確定申告にはさまざまな還付があります。詳しくは確定申告で困ったときの初心者ガイドを参考にしてみてください。
さらにもう一歩踏み込んで見たいひとは法人化を目指してみたらいいと思います。税金とは国との交渉でいくらでも変わるものです。脱税と節税の境界線など存在しませんし、大企業では取立ての不服申し立てを起こしていない所などほとんどありません。脱税=悪などといっている人、交渉後追納すればなんら問題ありません。その交渉を行っている人の税の意識は、国民として保有すべきものだと思います。税について学ぶことが国に公平なルールを作ってもらう手段ともなりえます。
景気に左右される不安定な所得税を収入源としてこの国がやっていけるのかといった課題や、脱税天国はサラリーマンのみに厳しい現状がわかると思います。権利と権利はぶつかってこそ、使いやすいものになっていくのです。無知は不公平なルールで搾取されるのみです。大岡越前のような誰かが何とかしてくれると祈りながら倒れていく人たちが多いのは幸せな社会でしょうか。
参考文献
- 作者: 橘玲
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/06/04
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