衆院予算委 菅首相、野党への配慮を見せるなど苦しい答弁続く 批判の声は身内からも
2日から、「ねじれ国会」の本格論戦が始まった。随所で野党への配慮を見せるなど、苦しい答弁が続く菅首相だが、厳しい批判の声は、身内からも飛び出している。
2日朝、自民党の石破政調会長は、菅政権発足後、初の予算委員会に向けて準備を行った。
2日午前、石破政調会長は「(きょうの戦術を軍事兵器に例えると?)あくまで正攻法です。トリッキーなことやるつもりないし...」と語った。
ねじれ国会となり、攻勢を強めるかと思いきや、石破政調会長は「きちんとした方針を示すのであれば、われわれ野党だけど、協力すべきは協力しますよ。それが菅さんの延命につながることであっても」と述べた。
午前8時55分、菅首相は、就任後初となる予算委員会へ向かった。その表情は固いものだった。
9月の民主党代表戦を前に、政府、与党、野党、それぞれのねじれた思惑が感じられた2日の論戦。
菅首相は「野党の皆さんにも、必要な政策が実行されるような、そういう合意を得る場に...」と述べた。
自民・谷垣総裁との初の党首論戦で、「協調姿勢」をアピールする菅首相。
しかし、谷垣総裁が「(菅首相が)選挙の最中に、『政治とカネの問題はクリアした』と...、こういう発言をされたことがありました」とただすと、菅首相は「鳩山前総理と小沢前幹事長が職を辞するという形で、そういう意味を込めて、『クリア』という言葉を使わせていただいた」と述べた。
響き渡るやじの一方、与党議員は静まり返った。
鳩山前首相の時は、党の号令で集まった若手議員が、やじをかき消す拍手を送っていたが、今回、党の方針で、その姿はなかった。
そのため、「勝手なこと言うな! 根拠を示せ!」などのやじが聞こえた。
そして、消費税については、野党からの追及ではなく、民主・伴野 豊議員が「消費税の発言、これはちょっと、いろいろステップをふっ飛ばしすぎたかな」と述べ、また、民主・山口 壮議員が「若干、唐突に消費税10%の話を持ち出されたんで」と述べるた。
そして、異例の与党議員からの攻撃に、おわびを繰り返した菅首相に対し、自民・石破政調会長から思わず、「総理、しっかりしてください! 毅然(きぜん)とした態度で臨んでください」と叱咤(しった)が飛んだ。
自民党の小泉 進次郎衆院議員は「正直、頑張ってほしいと思いましたね。『攻めの菅さん』、ズバッと言っちゃえばいいんじゃないかなと」と述べた。
こうした中、菅首相にさらなる試練が訪れた。
先週、国会議員の定数削減の与野党合意を12月までに目指すとした菅首相の発言に、西岡参議院議長が、「具体的に(削減数)40人という人数を出しておっしゃることは、極めて不適切」、「参議院が総理大臣の指示を受けるということは一切ない」と述べた。
また、普天間基地の移設問題について、菅首相は「日米合意をしっかりと実行していく。菅内閣の意思です」と強調した。
辺野古移設への候補について、自民党の石破政調会長が「8月末までに日米合意で定めるという方針に違いはないか」とただすと、菅首相は「沖縄の皆さんの理解を得ることを含めて、いくつかのプロセスがさらに必要」と答え、位置や工法の最終決定は、事実上、11月の沖縄県知事選後に先送りを示唆した。
(08/02 19:39)