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頭部に傷も…日テレ社員 ヘリ墜落現場で2人遭難死

埼玉県防災ヘリコプター墜落事故の取材で、日本テレビの記者らが遭難した現場付近
埼玉県防災ヘリコプター墜落事故の取材で、日本テレビの記者らが遭難した現場付近
Photo By 共同

 埼玉県秩父市の山中で発生した防災ヘリコプター墜落事故現場付近で1日、日本テレビ報道局の男性記者(30)と男性カメラマン(43)が心肺停止状態で発見され、病院で死亡が確認された。記者の頭には何かにぶつかったような複数の傷があった。2人は取材で山に入り、カメラマンは大学の山岳部出身。同行した山岳ガイドに「軽装で危険」と下山させられた後、2人だけで再び山に入っており、秩父署は経緯を調べている。

 滝つぼに落ちた女性(55)の救助に向かったヘリが墜落し5人が死亡した中、今度は現場取材中の記者とカメラマンが命を落とした。

 死亡したのは、日本テレビ報道局の記者北優路さん=さいたま市浦和区=とカメラマン川上順さん=東京都江東区=の2人。秩父署などによると県警山岳救助隊が心肺停止状態の北さんらを発見したのは1日午前9時10分ごろ。墜落現場から約2キロ離れた沢付近で、下半身が水に漬かった状態だった。7月24日の滑落事故から、これで死者は計9人となった。

 2人は7月31日午前6時半ごろ、ガイドの男性(33)と秩父市大滝の林道から入山。同行のガイドが「軽装で危険。無理だ」と引き留めたため引き返したが、午前10時ごろ「(墜落ヘリの)機体が見える場所がないか探す」と言って「黒岩尾根」と呼ばれる場所を目指し、ガイドと別れて再び入山。同日午後6時になっても連絡が取れないため、日本テレビが救助を要請した。2人は沢登り用の靴を履き、業務用無線を所持。着衣はTシャツとジャージーだった。

 川上さんは上智大学山岳部出身。同局の「山岳取材のスペシャリスト」で、アラスカやチベット、八甲田山などの雪山の取材経験もあった。周囲によると7年前に社内結婚し、子供はいない。

 一方、北さんは6月まで埼玉支局長を務め、7月から本社勤務。妻と幼い3人の子供がいる。防災ヘリ墜落時から志願して取材しており、記者仲間は「子煩悩でソフトボール大会に奥さんと3人のお子さんを連れてきていた。残された家族のことを考えるとあまりにつらい」と声を落とした。

 県警が「険しい山岳地帯」として、報道各社に取材自粛を求める中、2人がガイドの制止を振り切ってまで山へ入ったのはなぜか。元山岳救助隊の県警幹部ですら「危険で難しいコース」と指摘する難所だ。この日、記者会見した日本テレビの杉本敏也報道局次長は「ガイドとなぜ離れたか、私どももそれが一番分からない」と困惑。同局関係者は「墜落現場の地上からの映像を他社は持っているのにウチは無かった。記者魂あふれる人だっただけに無理をしてしまったのかもしれない」と話していた。

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