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遭難救助の埼玉県防災ヘリが墜落、5人死亡 秩父

2010年7月25日21時31分

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【動画】ヘリ墜落現場

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写真:墜落して大破した防災ヘリ=25日午後1時36分、埼玉県秩父市、朝日新聞社ヘリから、堀英治撮影墜落して大破した防災ヘリ=25日午後1時36分、埼玉県秩父市、朝日新聞社ヘリから、堀英治撮影

 25日午前11時ごろ、埼玉県秩父市大滝の山中で、山岳遭難の救助活動にあたっていた同県の防災ヘリコプター「あらかわ1」が墜落し、機長や副機長、県の防災航空隊員ら5人が死亡した。ヘリには7人が乗り組んでいたが、降下中だった2人は無事だった。

 無事だった2人から事故当時の状況を聞き取った県防災航空隊の立川弘史隊長によると、機体は遭難現場の上空約30メートルで停止(ホバリング)し、ロープで2人を同時に降ろしていたところ、着地まで約1メートルの位置で急にがくっと落ちた。「バタバタ」とがたつくような異音がして墜落し始めたという。飛行中は機体に異常はなかった。

 県警は同日、秩父署に捜査本部を設置、墜落の経緯について捜査をはじめた。国の運輸安全委員会も調査官3人を現地に派遣、原因を調べる。

 墜落した「あらかわ1」はユーロコプター社製。県が所有し、運航は本田航空(本社・埼玉県川島町)に委託していた。

 東京都勤労者山岳連盟のパーティーに参加していた女性(55)が、墜落現場近くの滝つぼに転落したとして、県警から救助要請があり、25日午前9時40分ごろ、現場から約60キロ離れた川島町の県防災航空センターを飛び立ったという。機長、副機長、県防災航空隊員3人の計5人を乗せて離陸した後、途中で秩父消防本部の2人を乗せて現場に向かったという。

 防災ヘリに続いて救助に向かった県警ヘリが、現場付近で煙が上がり、防災ヘリの機体の破片が散乱しているのを見つけた。

 県警などによると、死亡した5人は、本田航空所属の機長松本章さん(54)=同県桶川市▽同副機長西川真一さん(32)=同▽県防災航空隊員中込良昌さん(42)=同県狭山市▽同隊員戸張憲一さん(32)=同県鳩ケ谷市▽秩父消防本部隊員大沢敦さん(33)=同県秩父市。滝つぼに落ちた女性も25日夜に死亡が確認された。

 県によると、松本さんは防災ヘリの機長経験14年のベテラン。機体は7月12日から14日にかけて規定の100時間点検を終えたばかりだったといい、県は「故障は考えられない」としている。

 熊谷地方気象台によると、秩父市付近では午前中から大気の状態が不安定で、竜巻や突風への注意を呼びかけるとともに、大雨・洪水・雷注意報を発表していた。しかし、事故が起きた当時は同市中心部は晴れており、風も約2メートルの北西寄りの風が吹く程度だったという。県によると、防災ヘリは現地の天候などを確認したうえで、出動の可否を判断するが、この日は雨雲などもなく、飛行は可能と判断したという。

 県警では、防災ヘリから墜落直前に地上に降下して無事だった県防災航空隊員(36)と秩父消防本部隊員(38)の2人から当時の状況などを詳しく聴く方針。

 現場は秩父多摩甲斐国立公園内で、標高約2千メートルの山々に囲まれている。沢登りを楽しむ人たちに人気があるという。

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