越前蟹佐衛門の放浪日記

　　　　　　　　　　　　　今宵も参上・・・越前蟹佐衛門！！

　本日夕刻　奉行所与力殿　から、飯でも食おうとのお誘い・・・

　この方と会うのは　五年　ぶりかのぅ・・・　　　　　　　拙者が　兄者　と慕うお方じゃ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　久しぶりではござったが、相変わらずの　豪傑　・・・

　暮らしぶりなど気にも留めず・・・・　　　　元気か？・・・だけの挨拶。　　　　　　　

　この方には　時間　という概念が無いんじゃろうなぁ・・・　　　昔からそうじゃった。

　拙者が　探偵　をしておるのは、とうに知っておったらしい。

　　　　　　　　　　　貴様も・・・相変わらずの男じゃのぅ・・・

　笑って　拳　で拙者の頭を・・・　　　　　この方らしい　褒め言葉　でござる。

　　　　　　　　　　　ＤＶとかストーカーの対策をしておるらしいのぅ・・・

　さすが情報の早い事。

　　　　　　　　　　　奉行所内でも噂になっておるぞ・・・

　なんと、噂に？・・・

　　　　　　　　　　　御上が嫌うことを、何故に貴様はするんじゃ？

　拙者の心を尋ねて参った。　　　　・・・めずらしや、兄者が仔細を聞くとは

　隠すこともござらん。　有態に拙者の　覚悟　をお話致した。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　探偵　のことや　身辺警護　のことや・・・

　黙って・・・目を閉じ・・・　　　　　　　　ふぅ～・・・と息をつき、ぽつり・・・・と・・・

　誰もせぬ・・・御上も嫌がる・・・でも、誰かがせねばならぬこと・・・

　　　　　　　　　　　そんな貧乏籤を、何故に選んだんじゃ？

　それが　性分　でござると答えると、再び笑顔の　拳　が飛んで参った。

　　　　　　　　　　　貴様らしいのぅ・・・敵が多くなるぞ。死ぬ気か？

　元より・・・覚悟の上でござる。

　　　　　　　　　　　そうか・・・わしが敵になってもか？

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　一瞬　背筋が凍る　気が・・・　　　兄者を　敵　に回すこと・・・すなわち　奉行所　を敵に回すも同じ・・・　　　

　　　　　　　　　　　構い申さん！　　拙者の覚悟を特と御覧あれ！！

　拙者、覚悟の稼業でござる。　　　易々と曲げてなるものか
　
　すっ・・・と立ち上がり、拙者を睨みつけ・・・

　　　　　　　　　　　そうか・・・　　　修羅道を行くか？　　覚悟は出来ておるな・・・
　　　　　　　　　　　　　　　　　

　そう言って帰り支度・・・　　　　店を出た。　　　外に出ると、先ほどの眼光が和らいでおり

　　　　　　　　　　　思い切ってやれ！　　　貴様の敵はわしの敵じゃ。

　兄者　の目が笑っておった。　　　　今宵は酒を呑んではおらぬが、不覚にも拙者は涙が・・・

　誰も開かぬ　修羅の門　を、あえて開こうとする越前でござった。

　　　　　　　　　　　しからば・・・御免！！　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　『修羅の門』・・・画像と本文は全く関係ありませんぞ～