最近、「岐阜県民の歌」があることを初めて知りました。今月12、13日にあった「全国豊かな海づくり大会」のレセプションや式典で、斉唱やBGMとしてよく流れていたからです。
みどりをそめて 朝の日が
高い梢に ゆれている
嶺から嶺へ 小鳥もよんで
岐阜は木の国 山の国
伸びる希望を うたおうよ
(以上1番)
作詞・永縄半助さん、作曲・服部正さん。豊かな自然や文化が歌われ、曲に上品さも感じられます。県ホームページにもアップされているので、知らない人はぜひ聴いてみてください。
県広報課によると、歌は1955年に制定。歌詞は公募で1471点の中から選ばれました。06年の全国植樹祭のテーマソングになり、07年にカラオケ配信がスタート、08年からは県庁舎の電話保留音に採用したりと、県は普及のための工夫を凝らしています。
しかし、残念ながら県民の認知度は低いようです。岐阜県生まれを含む何人かに聞いてみたのですが、一様に「そんなのあるんですか」との答え。でも、こう付け加える人もいました。「そういえば、自分が生まれた県の歌も知らないなあ」と。
確かに、自治体が制定した花、木、鳥などは知っていても、県の歌はなじみがありません。県によると、ほとんどの43都道府県が制定しているとのこと。私も驚きました。
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一方、「県民なら誰でも歌える」と言われているのが、長野県の歌「信濃の国」。各地の平野や山、川、湖の名、歴史的人物をふんだんに盛り込んでいます。最近のデータは見つかりませんでしたが、信濃教育会が00年に県民2676人を対象に行ったアンケートでは、「知っている」が93%、「歌える(「メロディーを口ずさめる」を含む)」が90%に上りました。驚異的な数字です。
長野県によると、音楽の歌集にも載っており、小学4年生の時、「長野県を知ろう」という社会科の授業とあわせて歌を勉強するとのこと。確かに歌詞の中に地名があると、社会科の勉強にもうってつけですね。「各地の県人会でもよく歌われるようです」と県担当者。
対する「岐阜県民の歌」は、「信濃の国」に比べると、内容が抽象的のようにも思えます。そのあたりがインパクトの弱さなのかもしれません。けれど見方を変えれば、抽象的な歌には、一人一人が独自の思いや感情を込めることもできるわけです。転勤族の私も、この地で暮らす中でさまざまな体験を積み、自分なりの思い入れを感じながら歌えるようになれればいいなあ。【岐阜支局長・三野雅弘】
毎日新聞 2010年6月29日 地方版
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