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【予算委論戦】どこまで「ブレ菅」? 国家戦略、参政権…
ようやく実現した菅直人政権初の衆院予算委員会。2日、質問に立った自民党の谷垣禎一総裁は「何を議論していいのか分からない」と愚痴をこぼし、石破茂政調会長は「誰を相手に話をしたらいいのか」とぼやく。国家戦略局構想、永住外国人地方参政権−など国の根幹を決める重要課題でひたすらブレ続ける菅政権は輪郭さえもぼやけてきた。(阿比留瑠比)
■あきらめたはずが…
昨年の衆院選でマニフェスト(政権公約)の「5原則5策」の一つに掲げた政治主導実現の柱となる国家戦略局構想が再び注目を集めている。衆参ねじれにより、構想の前提となる関連法案の成立が困難になったことを受け、首相は構想をいったんあきらめ、「シンクタンク機能」への衣替えを指示していた。
ところが、みんなの党が賛同をちらつかせると、がぜんやる気になったようだ。首相は2日の予算委で「政治主導のより重要な役割を戦略室にお願いする」と強調。仙谷由人官房長官も2日の記者会見で「前国会に提出した法案をお願いできたら」と法案成立に期待感を示した。
だが、戦略局構想で具体的にどう進め、どのような政治主導を確立していくか、ビジョンははっきりしない。場当たり的な首相の対応ばかりが目立った。
■参政権もふらふら
永住外国人への地方参政権付与問題では、推進派は従来、平成7年の最高裁判決が判例拘束力のない「傍論」部分で「(付与は)憲法上禁止されていない」としたのを論拠としてきた。
ところが、鳩山内閣は末期の6月4日の閣議で、それまでの政府答弁を事実上修正。「傍論」部分を省き、「地方首長、議員を選ぶ『住民』とは日本国民を意味する」などと判断した本論だけを引用し、「政府も同様に考えている」とする答弁書を決定した。首相も副総理・財務相として署名しており、参政権付与は無理があるとする政府見解を認めたといえる。
ところが、首相は6月15日の参院本会議で「外国人参政権実現に努力してきた姿勢に変更はない」と語り、なお参政権付与に含みを持たせた。2日の衆院予算委でも松原仁氏(民主)が政府見解をただしたが、首相は答弁しなかった。