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明日へのカルテ:第1部・医師不足解消の道/1 都会に帰る研修医(3/3ページ)

 毎日新聞は5月、全国の80大学医学部のうち、卒業後の進路が制約されている自治医大と防衛医大を除く78大学を調査した。今春の国試合格者が、出身大学の付属病院か大学がある都道府県内の病院で研修している割合は、東京、大阪、愛知の大学では平均7割を超えるが、地方では5割以下の大学が多いことが判明。最高の順天堂大(東京)は90%に達する一方、最低の宮崎大は19%にとどまる。

 今春国試合格者のうち、大学がある都道府県内の高校の出身者の割合は、横浜市立大67・3%、名古屋市立大57・9%など大都市圏では4割を超える大学が多いが、鳥取大4・5%、山梨大8・7%など地方では2割以下が珍しくない。一方、地元高校出身者が出身都道府県内で研修を受ける割合は、地域を問わず大半の大学で7割以上に達し、地元出身者の割合が都道府県の医師確保の成否に直結する現実が浮かぶ。

 今春の合格者67人のうち、1人しか大学病院に残らなかった鳥取大。能勢隆之学長は言う。「地方の医大は、とりあえず医師免許を取るために都会から来る人が多い。最初から、いずれは帰るつもりなんです」

    ◇

 この連載は高木昭午、河内敏康、福永方人、田村彰子が担当します。

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 ■ことば

 ◇新医師臨床研修制度

 大学を卒業し、医師免許を取得した新人医師に2年間、内科や救急、地域医療などの臨床研修を義務づける制度で04年度から導入。それまで研修医の多くは出身の大学病院の医局に所属し、特定の科の研修が主体だったため、幅広い分野の基本的な診療能力を身につけた医師を養成する目的で導入された。以前は薄給で「安価な労働力」として酷使されていた面もあったが、待遇が改善され、研修に専念できるようになった。

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毎日新聞 2010年8月2日 東京朝刊

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