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明日へのカルテ:第1部・医師不足解消の道/1 都会に帰る研修医(2/3ページ)

 東京都内の大学病院の男性研修医(24)も今春、秋田大を卒業した。東京都出身で、脳外科医を志望。「自分の学力で受かる大学」と秋田大を選んだ。

 暮らしは快適で、教育環境も気に入った。だが、研修先は東京を選んだ。きっかけは5年生の時の祖母の死だった。「おばあちゃん子だったし、すぐ駆け付けたかった」というが、帰京は訃報(ふほう)の2日後。長男として、家族のいる東京に住みたいとの思いを強くした。「東京の方が最先端の研究や専門的な症例に触れる機会が多いとも思った」と話す。

 秋田大から今春国家試験に合格した新人医師100人のうち54人は県外へ出た。研修プログラム策定に携わる長谷川仁志教授は「教育内容は他大学に引けを取らないはず。さらに充実させ、地道にアピールするしかない」と語る。

 かつて新人医師の多くは出身大学で研修を受けたが、04年度の新医師臨床研修制度導入で研修先の選択の幅が広がり、大学病院、特に地方の大学で研修する医師が激減した。人手の減った大学は地域の病院に派遣していた医師を引き揚げ、医師不足問題が顕在化した。国や自治体は「医師不足の主因の一つ」として対策を進めるが、状況は変わらない。

毎日新聞 2010年8月2日 東京朝刊

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