社会保険庁「99円で問題なし」、再審請求の棄却に韓国で反発の声

  日本社会保険庁が元勤労挺身隊の韓国人女性と遺族7人に厚生年金脱退手当として99円を支給した問題で、愛知社会保険事務所は7月27日に再審請求を棄却した。複数の韓国メディアが報じ、反発の声が上がっている。

  戦時中に勤労挺身隊として日本に強制徴用された元挺身隊女性と遺族8人は、1998年に厚生年金脱退手当を請求する訴訟を起こした。これについて、日本社会保険庁は09年12月、厚生年金脱退手当として一人当たり99円を支給する決定を下した。

  元挺身隊女性と遺族らは「奴隷扱いだ」と反発。元挺身隊女性を支援する日本の市民団体「名古屋三菱朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」と「名古屋三菱朝鮮女子勤労挺身隊訴訟弁護団」の協力を得て、1月に異議申し立てを行った。しかし、愛知社会保険事務所は「99円の支給に問題はない」とし、再審請求を棄却した。厚生年金脱退手当として、99円の支給は妥当だとの判断だ。

  韓国メディアは、「日本で強制労働に苦しめられ、賠償はおろかまともな謝罪さえ受けられずにいる犠牲者たちを再度傷つける決定だ」、「ひざまずいて謝罪しても足りない日本政府が、また被害者たちを翻弄(ほんろう)した」などと非難を強めた。

  挺身隊被害者を支援する韓国の市民団体「勤労挺身隊のおばあさんとともにする市民の会」の関係者は、「三菱グループが強制徴用に対する謝罪と補償について協議に応じるとしている中、日本政府のこのような二面的な態度は理解に苦しむ」と、怒りの声を爆発させた。

  市民の会は、2日にソウルにある駐韓日本大使館の前で社会保険庁の棄却決定に抗議する記者会見を開くと発表。記者会見では「棄却決定は被害者を翻弄(ほんろう)するものだ」との内容を盛り込んだ声明を発表するという。(編集担当:金志秀)

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