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[18999] 【習作】報われない男の物語(女王騎士物語)「勘違い系・オり主」
Name: 羽付き羊◆8e2fe20f ID:85e90122
Date: 2010/07/07 08:10
Prologue

朝起きてカーテンを開けると淡い光が俺を包み、窓を開けると心地よい風が吹いて小鳥達も囀っていた。
そんないつもと同じ光景が今日はやけに俺を優しく包んでくれる。そうそれもそのはずだろう…
何故だって?
それは…
今日は俺が待ちに待った日、女王騎士試験の日だからだ。お正月よりも楽しみにしてたよ。
もう~い~くつね~ると~女王騎士試験♪みたいな感じで…
まぁお年玉がメインだというのは言う必要はないのだろう。
そして俺のこの悲しい運命ともおさらばできる。
だが、それも最後なんだ。これでやっと…


ニートになれる!

~前書きという名の言い訳と注意~
はじめまして羽付き羊というものです、初心者なので変な部分もありますがよろしくおネガいします。
物語名前の通り女王騎士物語の2次です。
オリ主ですがチートではありません。
オリキャラも多少は出現予定。
女王騎士物語の中では並の実力。
しかし持ち前の能力によって補正されます。
他にも多少のマイナー?なネタを散りばめています。
基本的にギャグテイストです。
ネタばれです。
再構成ものです。
オリジナルの解釈を持っています。
そしてラッキー補正と引き換えになったものがあります。
感想とか批判とかOKです。厳しすぎるのは勘弁してください…
以上の事を不快に思われない方は引き続きお読みください。


追記すいません4話をミスでけしちゃったのでお詫びにラジオ風小ネタですパソコン使えないんで携帯から失礼しました



[18999] 1話
Name: 羽付き羊◆8e2fe20f ID:85e90122
Date: 2010/05/22 02:45
1話『数が少ない時の2倍より多い時の2倍の方がいいよね』

俺の名前はディファイ=R=ボルト 19歳。容姿は肩に掛かるか掛からないかの黒髪で茶色の目、身長は176ぐらい体重は70?かまあその辺。目つきが悪く、口下手な男が俺、ボルト家の嫡男でありニヤニヤ動画のユーザーだ。そんな俺が騎士になんてなりたいと思うはずもなく、平和にのんびり過ごして一生を送ることを決めていた。
しかし、親父が親戚の六大公爵家のバンニール家のカルマが優秀であるということが俺が6歳の時に判明してしまい、負けず嫌いな親父はそれを聞いて嫉妬してしまった。
そして俺に女王騎士になれと言ってきた。

「カルマ君は関係ないぞ?だって約束しちゃったから仕方ないじゃん。」

と言ってはいた。親父の事だから、酒の席で適当な事を言ってこんな事になったのだろう…、バンニール家と遠い親戚だからってそんな意地張るのは本当に困ります。
だって俺は騎士になるのはイヤだもん。何故ならアルちゃんねるでも女王騎士の給料は凄いらしいのだが、休みが非常に少ないし死が付きまとうという事を既に知っていたからだ。
名誉や栄誉なんていらない。俺は何より命が惜しいのだから。
そう考えて俺は断ろうと新聞を読んでいた父親に話しかけたのだが…

「親父、俺は…」

「何だ、ディファイ、うん?女王陛下の正装ドレスVerのフィギアって女王騎士になればもらえる?なんじゃそりゃ?」

「父上、私はこの国の剣となり盾となり民の平和を導きましょう!」

「おう…やってくれるのか、ディファイ!!」

因みに親父は俺が騎士になれば、家宝である変な玉を俺にやるとか言ってたけど…全く欲しくない。

「この玉は好きな時代に一度戻れる事ができるのだ!」

「…親父、病院いこうか」

「私は正常だ!」

というやりとりがあったりもしました。
そんな玉があるのなら女王様に献上したりしてモット良い身分にしてもらうだろうに…
残念な親父だ、全くを持って…
それは置いといて、今考えるとなんておろかな事をしてしまったのだろうか…あの時は絶対にもらってアルちゃんねるで自慢してやるんだという事しか考えていなかった。
しかし、駄菓子菓子、カルマ君にもらえばよくね?という結論に至ったのだ。まぁそれに気付いたのが7年以上たった今という悲しい現実もあるのだが…
というか欲しいけど俺には合格できないしたぶん死ぬ可能性のほうが高い!
色々と勉強や鍛練したからこそ分かるのだ、俺にはムリということが。
そもそも俺は一応は貴族の生まれなのだが、潜在マナが六大公爵家と違ってそんなにない。言ってみたら一般レベルよりは上ですかね?みたいな感じだ。

それでこの試験が通る訳がない。だって六大公爵家のルカ君でギリギリ通るかどうかって話ですよ?あの子と僕のマナの差は約1.25倍です。
っへ?意外に少ない?バカいっちゃいけないよ、1と1.25じゃ差はないかもしれないけど1000と1250の違いは大きいんですよ。
例えると、う~ん…あれだよ100円と125円はさほどだけど100万円あるより125万円あったほうが嬉しいだろ?そんな感じだよ。でも俺は125円あっても嬉しい。

貴族だけどおこずかい制じゃなく報酬制なので俺は必死なんだ。だって貴族だからバイトはしちゃいけないし、俺を女王騎士にならせる為に俺の教育費全てつぎ込んでるから俺には金があまりないし、何か親に申し訳なかったんだよ。善意という名の偽善ではあるが…
 おこずかいが報酬制のおかげで俺は女王騎士の知識やらマナの出し方やコントロールは学校で上位である。そうゲームや漫画やボックスの為に俺は頑張ったのだ!
そのおかげか俺は学校の順位は上から数えた方が早かったりする。自分の夢を叶える為というのじゃ理由は違えど頑張れるという事なのだ。
少し話がそれたけど、ようはある程度マナ量が増加したら差がけっこう開くよってことだ。しかも今ではもっと差が開いているだろう。だって測ったの5年前だもん。
それに俺がニートになるとはいっても23歳までだ。そこからはちゃんと家業継ごうと思っているんだ。まさにニートの鏡だと自分では思う。いや~自営業って素晴らしい。親父マジで感謝しています。
そんな事を考えている内に説明を受けた。何かクルタナという剣の柄?だったけ、まぁそれに精神エネルギーであるマナを込めて剣の刃が出たら合格ということらしい。
やった、なんか辛い思いをしなくても不合格できるじゃん!

一応受けて落ちたという形式が必要な為並んでます。まぁ落ちることは分かりきっているんですがね。俺もねここまで育ててきてくれた親に受験もしないような薄情な事できません。だが命はもっと大事なんで落ちます。これは決定事項です、はい。それに実力的にも無理です。もし仮に俺が女王騎士になったとしても、こんな考えの持ち主に民間人の誰が助けてほしい?ないでしょうよ。

待つ間に回りの受験生達を見ることにした。個性的な格好の持ち主が非常に多い事にまず驚いた…まずロボットがいたし、そして変な生物がいた─化け物?妖精?表現の仕方が分かりません…
俺もマントとかしてるけどさ、もういいや突っ込んだら負けだよね?
それにしてもなぜ最近はマントが流行しているのだろうか?よく分からないが流行なんてそんなものだろう、ギターの侍もそうだったはずだし…
そして順番を待つ事、数十分やっと俺の番になり、クルタナにマナを込める事になった。
その間に

「ルカお前もやってみろ。」

というイージス君の声がしたんでおそらくは合格したんだろう。おめでとうイージス君。立派な女王騎士になって俺達の平和を守ってください。

「では行くぞ…始めっ!」

その号令がかかったその時俺はこう思ったんだ。
“まぁここで落ちた方が楽だよな~、親父には悪いけど俺ニート志望だし…ここはマナを出さずにやりすごすかな~”
と…
そして目を閉じて時間を過ぎるのを待っていた…
(ざわざわ)

金は命より重い!

的な事をざわざわしていたので想像してしまいました。でもアレは覚醒フラグとか疑心暗鬼フラグの時の胸のざわつきを表現しているんだと俺は密かに考えていたりします。

とか思っていると凄い衝撃が俺にふりかかった。それはものすごい衝撃でした、まるで初めてドラグエをしたようなそんな感じの…あのはぐれメダルを倒した時の感動は忘れる事ができませんね…

まぁ実際は台風並の強風がいきなり吹いて俺にあたった感じでしたが。
何とか体勢を崩さずにそのあまりにもものすごい衝撃にその方向へ目を開けてみると、そこには異常というか異様な光景がありました。って…うわっ、バカでかいマナ!!なんだよ、カルマ君のマナか?

それはビルの様なデカイマナの剣でした。マナ量で言ったらチート級ですね、はい。まぁどうでもいいことなんだけどさ。

何故にハート型?

あり得ないでしょ、だってさ明らかに
…そんな事よりあれだよ俺ならデカさよりもカッコよさだな。
“同感だ、ここならば、地上を焼き払う憂いもない!”
って感じの剣を出すな。
そうそうこんな感じで…
…気付いたら手にそんな形の剣が出ていました、まる。

「ほほぅ?なんと伝説のカリバーンを模した剣か、ここまで精巧なものをクルタナで出すとはな。」

っておい!俺は何をしてるんDAAAA!!!
アホか俺は…何合格しちゃってるんだよ!社長もビックリだよ!?ブルーアイ○をやられた社長よりもビックリだよ!!!

「こんなモノを出すつもりはなかったのに…」

クッソたれがぁぁ!俺は何にも出すつもりはなかったんだっての!
というか出しちゃいけなかったんだよ~、もう泣いてもいいですか?

「ほう?どうやら今回は面白い奴がたくさんいるな…」

そりゃあ~あんだけバカでかいハートなんざ出す奴がいるくらいですからね~
さてと仕方ない次の試験で落ちますか~
切り替えの速さには定評がある俺ですからね。にしても次の試験も痛くありませんように…

To be continued…

Side 試験官A
俺の担当してる組は才能のない奴や才能に溺れて努力していないようなやつばかりだ。まぁカルマ・バンニールは別格としてジョニーとかいう奴やキゾークとかいう奴等は素材としては面白いし努力も認める。

しかし、ただマナを出すだけというのは血筋だけで出せたりする。そもそも女王騎士になりたいならマナという本質をもっと知ってからこいと俺は思うわけだ。

マナの量は仕方ないにしろマナコントロールの努力はできるはずだ。
実際、潜在マナの量だけが多くても仕方ないだろ?そんなもんコントロールできなかったら宝の持ち腐れなんだから。

そんな中でディファイ=R=ボルトという奴は異質差を放っていた。誰もが必死に力を込めている中奴は目を閉じて精神を集中させていた。

(ほう?中々見ごたえのありそうな奴じゃないか?)

マナというのは心の力である。しかし、ただマナを出すだけなら才能が少しでもあるならバカでもできるしかし、奴は心をコントロールしているようだった。

マナは誰にでも存在している大なり小なりそれは間違いない。言うならこれはタダの憧れで女王騎士に入ろうとする無知な輩を排除する為の儀式である。それでも素質のある奴なら欲しいからこんな風になっているのだが…しかしバカならいらない、次の1次試験が筆記であるのはそんな理由がある。

そんな事を考えながら見ていると残り15秒というところまで来た。そろそろ時間いっぱい、奴は未だ精神を集中させる為か目を瞑っていた。しかし流石にこの時間までマナのカケラを出そうともしないのはおかしい。

(…もしかして見かけ倒しなのか?)

ふとそんな事が頭を過る。

だがそんな時バカでかいマナを出す奴がいた。あれはありえない大きさ的にも形状的にもそして何より色彩的にも…

その強大なマナに奴も驚いたのだろう。

目を開けてその光景を見ていた。
そしてその瞬間、残り1秒というところで奴は剣を出した。しかもあの伝説の剣とまで言われるカリバーンだ。ここまで精巧なものは隊長クラスのマナコントロールを持っているか、ずっとその剣を見続けてきたかのどちらかだ。マナの性質もその剣を見る限り覚悟や知性も滲み出ている。

どちらにしろただ者ではないらしい。

「ほほぅ?なんと伝説のカリバーンを模した剣か…ここまで精巧なものをクルタナで出すとは」

と正直な感想を言ってやったのだがソイツはこう吐き捨てた。

「こんなモノを出すつもりはなかったのに…」

こんなモノ?一体どういうことなのか?これ程出来栄えのものは中々できないぞ?それとも…
まさか…そういうことなのか?
アイツはこれ以上に精巧なカリバーンを出そうと思っていたのか!?それがあのバカでかい剣をみてしまって動揺してしまったという訳か…
まぁあんなモノを見せられたら多少なりとも動揺はするな…それが関わる程精巧なものを作り出そうとしていたなんてな。
どちらにしろ見ごたえのありそうな奴だ…

「ほう?どうやら今回は面白い奴がたくさんいるな…」

思わずそうこぼしてしてしまう程だった。
コイツはやるな、後で王にでも教えてやるか…
そんな事を思いながら俺は久しくなかった人に対する興味が湧いた。


突発的にやった5話までしかストックがないorz



[18999] 2話
Name: 羽付き羊◆8e2fe20f ID:85e90122
Date: 2010/05/22 02:46
2話「意地があんだよ…男の子にはなぁぁぁぁぁ!!!」
拝啓ミスターポぴっと、どうやらこの試験は実戦のようなのでここで私は敗退します。今までありがとうございました。
と言いたいところなんだが…


一次試験のペーパーテストは、とりあえず書くだけ書きました。テストを受けている時に睨みつけられ、あの雰囲気に飲まれてしまい普通に真面目に受けていました。
なんというチキンな俺…
自分でも恥ずかしいけど仕方ないよ、だってチキンなんだからさ。
まぁ確実に俺は異常にチキンですね、だって試験で寝てる奴がいましたもん。そんなに余裕だったのかな?
それより驚いたのは隣で試験受けていたイージス君がいきなりペンを自分の太ももに突き刺していた事です。あの時何故か笑ってたのが怖かった…たぶん一時的にマゾになったんだろうと俺は予想しています。
そんなこんなで次は体力試験しかもバトル形式という事を聞いて非常にビビっています。
ビビりすぎて顔引き攣ってます。
そのあまりのビビり様に他の受験者も引いていました。
発表された中のメンバーを見た時さらに泣きそうになりました。
俺のメンバーの中にはなんとあのルカ君がいたんです!
あの子何か俺のことをもの凄く誤解してるんだよね…
何か学校ではカルマ君に認められた唯一の男とか呼ばれちゃってるからたぶんそのせいだろうなぁ~、何故かって?こっちが聞きたいです。いや本当に…
ボコボコにされるのは嫌だからどうしたらいいかな?
そうだ!俺がルカ君の攻撃を受け止めたけど場外に落ちて負ければいいんだ!そうすれば親にも何とか言い訳できるし、なれなかった事を悔しがる振りしながら親に謝ればいいんだ、どうしよう…こんな完璧な作戦を考えられる自分の頭が、こ・わ・いなんてね♪
「ディファイさん、僕は例えアナタにでも負ける訳にはいかないんです。」
ルカ君がいきなり俺に向かって真面目な顔で言ってきた。
どうでもいいけどいきなり話かけないでくれないかな?ビクッとなるから…
無防備な状態で急に人に話しかけられとよく起こる現象だが、かなり恥ずかしいから止めて欲しい限りである。
「私には関係ない話ですね…」
どうせ俺適当に場外に落ちて負けるしね~まぁルカ君は頑張ってね。とか言いたかったんだが口下手なので俺は言えなかったんだ…
こんなヘタレな俺を許して下さい。
それにしても目上の公爵家の人間と話すのは敬語を使わなくてはいけないのがしんどい。それに私とか自分で言うのが何か恥ずかしい。何故だろう?一応慣れているハズなんだあけどな…いくらたっても恥ずかしい。
あれだな、学校のトイレで大きい方をする時の心境だ。生理現象とは言え知り合いにばれたらすごく気まずい雰囲気になるあれだな。慣れている相手なら「またお前かよ~」とかになるけどちょっとした知り合いなら「ああ…」みたいな感じになるもんな。うん。
そうだよねルカ君?
「その言葉、後悔させますよ。」
その言葉は静かではあるが少しの怒声も含まれている。ディファイには分からなかった。だから彼がこう思ったのも無理はなかった。

─小説とかならこう書くんだろうが俺は俺だし、しかもこんな感じで進んでいってしまったからもう後には引けないんだ…反省はしている後悔はしていない。だがルカ君これだけは言わしてくれ。

トイレの下りはダメだったかい?








Side 一族復興を目指す貴族
C闘場第3組
筆記試験の次の体力試験で、僕はとてつもなく悪い組に入ってしまったようだ。カルマ=バンニールに唯一認められた男として女王騎士学校でも有名なディファイ=R=ボルトと戦う事になってしまったのだから…
「ルカ…お前の組にあの“仮面”がいるとはな…」
そうイージスは僕に言ってくる。“仮面”とはディファイさんの二つ名である。あまりに実力を隠す姿はまるで正体を隠す“仮面”のように見えるからだ。
「そうだね…でも例え誰にも負ける訳にはいかないよ、例えあのカルマを倒したことのあるディファイさんが相手だとしてもね…」
“仮面”
彼にその名がついたカルマとの模擬戦はあまりに有名だ。
カルマの上段突きを何かに躓いたように避けてそのままカルマの心臓部分に目がけて剣を突き刺した、カルマは避けようとしたのだが足を踏まれて回避ができなくなってしまい負けた。あの剣が軽いプラスチック制のでなければカルマでも危なかっただろう…カルマも避けられるとも反撃されるとも思わなかっただろう、あれは凄い。タイミング読ませてからわざと外すなんて芸当は普通にやってもなかなかできるものではない、それをあのカルマ相手にやるなんて…
しかし審判である先生はディファイさんの反則負けにした、騎士になろうという者が姑息な手を使ったという理由で…でもその勝負を見ていた生徒はカルマの負けだと思っている。
カルマ自身もそう思っているらしく
「兄貴のあんな悔しそうな顔は見た事がない…」
と弟のジェダが言っていたから間違いはないだろう。
そしてあの時の反則負けを言われた時も先生に何も言わずに悲壮な顔をしてうなづき謝罪していた。
「まさかこんな事になるなんて…私が悪いです。」
と言っていた。あの時の言葉の意味はたぶん「(少し本気を出したら)まさかこんな事になるなんて(拍子抜けです)…(買い被っていた)私が悪いです。」という事なのだろう。

バトル形式だという事がわかりディファイさんは不気味に笑っていた。
「あれって顔引き攣ってるだけじゃねぇの?」
とエルト君が言っていた事に僕とイージスは苦笑いしてしまった。確かにマナ量にしても運動能力にしてもエルト君にディファイさんは敵わないだろう。しかし彼の凄さはそんな処には存在しない。
彼の凄さは洗練された剣術やその智略にあるのだ。

「う~ん?俺にはよく分からないな…」
「お前には分かるまいな…」

とイージスが呆れたように言っていた。

「っるせぇ!」

とエルト君が口を膨らませながら怒っていたけど、実力を知らなかったらそんな評価になるのは仕方ないとは思う。見た目にはそこまで強いと思えない人なのは確かだから。
ある程度覚悟を決めなければいけないだろう。この人に勝つには相当苦労するはずだから。

「ディファイさん、僕は例えアナタにでも負ける訳にはいかないんです。」

と自分を奮い立たせる為にもディファイさんに話しかけたのだけど…

「私には関係ない話ですね…」

本当に興味のなさそうな声で吐き捨て、僕の顔を見据えていた。
それに少し苛立ちを感じた。まるで僕なんか目じゃないと言われたみたいで腹がたったんだ。そして何か言いたそうに彼はこちらを向いたので僕はこう言った。

「その言葉、後悔させますよ。」

僕も僕なりに技術を磨いた。体力もつけたし勉強にも励んできた、学校の成績ではディファイさんには勝っている。
そして何より僕はグラム家復興の為にもシェリーの為にも負ける訳にはいかないんだ!




[18999] 3話
Name: 羽付き羊◆8e2fe20f ID:16f4a756
Date: 2010/06/08 15:24
第3話「五台でもロケットですよね?はいわかります」
夢を─夢を見ていました─夢の中の俺は───
一本でも人参、二束でもサンダル、三艘でもヨ~~ット、四粒でもゴマ塩…次は何だったけ?五が分からんとです!五体でもロボット?いや何か違う…

はい、そんなどうでもいいことを考えている僕の名前はディファイです。何か3話もやってるけど面倒な名前だよね。ディファイって、ボルトかディファでいいよと思う。ディファイの最後の“イ”って言いにくいんだよ…マジで


─とか思って現実逃避をしていました。

まぁルカ君にあんな発言をされてしまったのですが、さっさとこの場から退場したい俺としてはどうでもいい話です。
そんな事を思っていると
「始めっっ!」
という掛け声がかかったのでその号令と同時に斜め後ろへジャンプしてみた。
理由は簡単でとりあえず場外に落ちる感じの場所は端っこが良いだろうという考えだからです。そして着地した瞬間、真横に人がたくさん飛んでいて、残り4人と人数が激減してました。

いやありえないっしょ!
何がどうしたんだ?
とか思っているとルカ君が驚いた表情で俺を見つめていました。

どうやらルカ君が最初に俺狙いで来て突進したらしい。しかも大技で…
確か技の名前は「グラムスラッシュ」とかいう家名が付いてた恥ずかしいもの。

これが自分の名前の「ボルト切り(笑)」とか「超ボルト切り(爆)」とかの名前なら軽く死にたくなる。まぁでもルカ君は六大公爵家だから逆に立派な感じがするから不思議です。

で、驚いていながらもルカ君は俺意外の残り2人を場外まで「グラムスラッシュ」でぶっ飛ばしていました。人ってあんなに飛ぶんだねってぐらい飛ばしていました。スマシスのホームランコンテストか?とか思うほど。


そしてこの場に2人だけ。


──2人だけ?

やべぇ…自分から勝手に落ちられるシュチエーションじゃない!
理想では場外負けする感じの場所まで自分から移動して剣でガチャガチャして実力で場外に落ちる感じだったのに…まぁ俺の剣技の実力じゃあ本当に精一杯頑張っても良くて5位くらいだろうな。なのに既に残り2人…


こうなればルカ君相手に痛くない感じで負けるのがベスト!
とか思ってると凄い勢いで俺の方に突っ込んできました。

ちょっと真正面から突っ込んできたらダメでしょ!?
後ろに飛んでも痛いじゃないか!普通に上段切りとか悪くても突きだろう?突っ込んできたら後ろに避けた方が俺のダメージ倍プッシュじゃん!


横に避けようかな?いや、ここはジャンプで回避だ!
俺が膝に力を溜めこんでジャンプの体勢に入った時。

「読んでましたよ!」

ルカ君は急停止したかと思うとジャンプしてきた。
どうやら俺がジャンプして身動きできない状態で真上から止めを刺そうという事らしい。下に向かうルカ君の力に上へ跳躍しようとしてる俺の力を合わせるとものすごく痛い事になる。

ルカ君、それってドSだよね?

と思いながらも縮めた膝を伸ばそうとしているので回避は無理。

勝利は既にルカ君の手中に収まった。という感じになった…


─はずだったんだけど、マイマントが闘技場の石の繋ぎ目にひっかかてしまってジャンプできなかった。
凄い丈夫なマントだったらしく全然破れなかったが俺の体勢を後ろへと崩すのには十分な出来事であった。
そして俺は綺麗にバク宙。その時何かにぶつかった感じもしたけど理由は分かりません。

「何だと!?」

と誰かのボイスが掛かりましたが自分でもまさかこんな場でバク宙するなんて…大体俺は実力的にはバク転までです。バク宙はこれで成功したのは2回目だよ…
バク宙が決まったあとに場外に落ちたので負…

「勝者ディファイ=R=ボルト!」

という言葉に反応して台上を見るが誰もいなかった。そして何故かルカ君が場外にいました。

「流石ですね…僕の完敗ですよ。」

というルカ君のボイスがかかりました。何故か場外にいたので驚きです。
どうすればいいのだろうか?こうなってくると結構危険な感じがする…この試験に受かる可能性が!
こうなりゃあ最終手段を行うしかない。

「ルカ君、私と次に会う時は騎士の高みで…」

とりあえずこんな感じの言葉を言っておいた方が落ちるのはザコキャラやモブキャラの必須能力、名付けて脱落フラグ。これを使えば落ちる事はまず必至だろう。
よし頑張って落ちるとするかね。

というか今思うとトイレの下りは俺の考えであって口に出してないよね?
何で怒ってたんだろ?まったく分かんないよぃ?


Side 女の子疑惑の貴族様

今回の試験でカルマと同率で合格に一番近いと言われる男、ディファイ=R=ボルト。奴は俺にとって未知数の存在だ。
私はカルマの模擬戦を見ただけでは奴の真の実力は分からなかった。アレが本気なのか、それとも1割の力しか出していないのかすら分からない。マナ量は私達六大公爵家に及ばないのだが、洗練された技術に幾重にも考えられた智略には私では勝てないだろう。
だからこそ単純な実力の違いが分からないのだ。実力は基本的には総合力。何かが弱くてもそれを補える強さがあればいいのだ。しかし、全く異なるジャンルの能力だと実力は測りにくいのだ。しかしそれが今回私と同等と言っても過言ではないルカがボルトと勝負する。これで奴と俺の差が少なからずだが分かるはずだろう。

「ルカの一撃で終わるんじゃねぇの?」

とエルトがつまらなそうに言っていた、確かに不意をつけば出来なくもないだろう。実際ルカはそれを狙っている。しかし何が起こるのかは分からない。奴は何せ“仮面”なのだから。

「決着がつくまでは分からん。」

「ん?お前ならルカが絶対勝つって言うと思ってたのにな。」

「ルカならここは必ず通る、だが1位かどうか分からん。」

「へぇ~、ボルトってそんなに強いのか?」

「…見ていれば分かる。」

そして勝負が始まった。ルカはまずボルトを狙いにいった、不意をついての一撃で倒そうとしたのだろう、しかしボルトは予め知ったいたかのように避けた。しかもルカの一撃を他の受験生達に効率よく与える位置に誘い込んで…

その事に一番驚いていたのはルカ本人だ。それもそのはずだろう、自分の策が見抜かれたのだから。
本当に恐ろしい奴だ…
おそらくルカの攻撃対象がボルト本人だと奴は感じ取ったのだろう。明らかに敵意をむき出しだったのだから分からなくもない。そして突っ込んでくるのをルカの構えで感じ取ったのだ。
が、避けるのが普通に考えて限界だろう…それを他の受験者に誘導するなんて事普通は思いつかない…

「…流石としか言いようがないな…」

「凄いけど…、何か微妙?」

エルトはまだ納得がいっていないようで首をかしげていた。

「ふっ、だからお前は甘いんだ。ここからよく見てろ。」

「へいへい。」

策を見抜かれて多少動揺していたルカはボルトと一対一の場を作る為に他の受験生を場外へと追いやった。その間ボルトは静観していた。どうやらルカが他の受験生を倒すのを待っているらしい。奴はルカが剣を揮う事で動揺が落ち着くのを待っているのは目に見えて明らかだった。

(一対一なら正々堂々と戦うのか?)

ボルトはカルマと同等以上の存在である。それは騎士学校にいた奴なら全員知っている。だが身体能力自体はお粗末なもので、それをカバーする為に色々な知恵を使っている。
その知略で身体能力の差をカバーしている、だから正々堂々戦うのはまずあり得ないのだ。

そう考えている内に、ルカはボルトに向かって突っ込んでいった。ボルトを場外に落とすつもりに見せかけて何かを仕掛けるのだろう。
ボルトは角にいるので避けるか受けるかしかない。避けるという選択を奴は取ったようでボルトは誰もが分かるようにジャンプしようと足に力を溜めていた。

「読んでましたよ!」

とルカはジャンプの体勢に入りそうなボルトの上へと跳躍した。そう俺がルカでもそうしていただろう、そのタイミングで。
これでルカの勝ちは堅いと思った。そうこの場にいた全ての人間が…
しかし、その考えは奴の前では浅はかなものでしかないのだ。
ボルトは上へと跳躍はせずにその場でバク宙したのだ。
そう…ボルトの上へ来るルカを蹴り飛ばして。
ルカを場外に落とした後でボルトも場外へと着地した。

「何だと!?」

思わず私は叫んでしまっていた。
見事なまでのタイミング、ルカの狙いさえもその作戦に含まれていたということだろう。
ルカの落下のタイミングに自身のバク宙のタイミング、その全てが完全にそろわないとこうはならないだろう…
さらにルールを完全に把握している、最後までステージに落ちなかった者の勝利というルールの盲点をついた作戦。さらに一歩間違えれば自滅というのにそれを実行する度量。
奴はどうやら私より遥か高みにいるのだろう。
奴に勝たなければ女王騎士になれるなんて思えない。
やはりこの試験で私が追うべき背中は奴だ。

~あとがき~
今回は勘違いバトルものを書きましたが描写が下手すぎて自分で笑いましたOTL
しかも別にルールの盲点でもなんでもない事は自分自身で分かっています。なんかすいません。手直ししまくりで投稿遅れ気味になりそうです。まぁそれでも頑張ります。次の更新は今月中にはしたいです。



[18999] 4話
Name: 羽付き羊◆8e2fe20f ID:57d96fca
Date: 2010/07/16 08:04
4話「敬語で話すキャラって知的な悪役が多いと思ってみたり。」

オッス、オラ、ディファイ。前の戦いで何か勝っちまってニートになりそこなっちまったぞ、父は喜びそうだけどオラはそういうのはキレぇなんだ…まぁでもまだ落ちないと決まった訳じゃねぇからなんとかなっかな?という事で今回もいっちょやってみっか。


体力試験が終了した後、
「今回は負けですが次は絶対勝ちます!」
と宣言されました。その時、ルカ君の隣にいたメイドさんからもの凄く威圧的な目で見られたのは何でなのでしょうか?
親の仇を見るような目で見られることなんて俺してません!…たぶん。

まぁそんな事を考えていると何故かルカ君が隣にいて次の体力試験の組の奴を一緒に見ようという感じになりました、よく分かりませんけどね~
早速フラグを折られて正直テンション下がる一方です。
謎すぎる…あれかな?”次の試験で戦う時は”とか”女王騎士になった後に”とかに受け取られたのかな?
そうなら残念すぎる気がします…

「次はカルマの組とエルト君の組ですね。」

ルカ君はエルト君のステージを見るとメイドさんがニッコリと手を振っていた。それを笑顔で返すルカ君は正に清純な貴族だと感じました。
女の子とあんな感じで仲良くなれるなんて、そんなのニヤニヤ動画なら「それどこのギャルゲ?」とか言われそうである。
どら焼きは主食にならないからと言って上書きできないのに、ルカ君にはそれができる…まさに思い通りである訳でとても羨ましい。

「あのメイドの子って確か昔グラム家に居た子でしたよね?」

今はジェダ君の従者なはずだが…
見たことがあったので思わず聞いてしまった。

「はい、シェリーと言います。」

「ああ!!シェリーちゃん!?通りで記憶にあると思った訳ですね。」

昔、ジェダ君が好きだった子だ。いや、確かカルマ君の話を聞く限り現在進行中で好きなはず。けど、その割にジェダ君は兄弟そろってツンデレだからついつい厳しく当たってしまって好感度が下がる一方で困ると言ってた。カルマ君は「俺はツンデレなんかじゃない!」って言ってました。

でもア~タ誰がどうみてもツンデレですから!残念!

「お前等なんかに負けるわけにはいかねー!!」

俺がもう2度と話題に出そうにない一発屋芸人のツッコミを心でしている間に試合が始まっていたらしく、何か熱血主人公的に説教している奴がいた。
何やら主人公的な空気を醸し出しているので相当なチートの持ち主だと簡単に想像できました。
それにしてもこの状況はジェダ君、完璧な悪役じゃん…フォローは流石に無理だよ?いくら何でも「俺は六大公爵家だから言う事聞け。」的な事を言って…しかもそれ完全に負けフラグ建ててるし…
それしてもその負けフラグを建てさせたあの子はたぶん相当フラグに愛されているな…気になる…


「…イージス君とルカ君と一緒に居た人ですよね?一体アチラは誰なんですか?」

「ああ、ディファイさんは知らないですよね。この試験で仲良くなったエルト=フォーエンハイム君です。あの大きなハート型のマナを出した子って言った方が分かりやすいですかね?」

「あの子がそうでしたか!?それは驚きですね。」

なんと羨ましい才能…何か本気で漫画の主人公みたいな奴だな、絶対俺みたいな人間がなれることのないタイプの人間だ

「飛行船でガーゴイルを一緒に倒した時も相当なマナでガーゴイルを粉砕してましたからね。」

「ガーゴイルを!?」

まず飛行船でガーゴイルってどういうシチュエーションよ?しかも倒すとか…ねぇ~わ。どこのオリ主だよ?ったく、俺みたいな微妙に戦えるモブキャラなら戦って血祭りにあげられるのがオチだしな~
主人公補正とか半端ないだろうし…でも俺はパンピーで十分です。早く帰って社長で天国と地獄をみないとな~
アレを見ないと1日が始まらないんだよね~。
べ、別に、中毒なんかじゃないんだかね!?1日に20回しか聞かないもんね!
ああ~早く帰ってみたいな~。Ip○dに入れてるけど、やっぱり日々変わっていく職人さんの技術をみたいんだよ。

「ガーゴイルを倒すなんてそのエルトという方もルカ君と同じ才能に恵まれておられるんですね。」

「ディファイさんにそう言われると僕も嬉しいです…」

顔を赤らめてるルカ君超可愛いんですけど!だが君はれっきとした男の子なんだよね…小さい時に一緒に大浴場入ったときに既に負けていたのは今でもトラウマです。
因みにトラウマってギリシャ語らしい…何故英語を使わないのかそれはおそらく何となくかと思います。

「私は実力の全てを持ってこの試験を受けるつもりですからルカ君も頑張ってくださいね。」

「僕はこの試験を合格するつもりですから。例えまたアナタが敵として当たっても勝ちますよ。」

ルカ君の気合いは鬼気迫る物がある。それは試験に臨む覚悟としては良いものなのだが、余裕が全くない…それは受験生にとってあまりよくないものである。
でもそれはルカ君の今現在の状況を考えると仕方ない事なのだ。
ジ―クさんが陛下を攫ったという今の現状はグラム家は没落の危機に面しているのだから…
まぁ一般では女王様は今は床に臥せっておられるという事になっている。
何故家系が貴族であって公爵家の人間でも騎士団の人間でもない俺がそんな事を知っているかといえば、何故か親父が女王騎士関係の情報良く知ってるかです。まぁそれもそうだろう。週1であの人が親父に会いに来る訳だから仕方ない…

「ルカ君なら合格できますよ。でも時には力を抜く事も大切ですよ?」

ルカ君の家の状況を知っていてルカ君が血の滲むような努力を見た事があるのでそう言っておいた。俺自身彼には合格してもらいたいこういう人にこの国を守ってもらいたいと常々思っているからです。

「…はい。そうかもしれませんね。」

そう言ったルカ君は何故か何処か遠く見ていた。しかし、ふと何かに気付いたようにこっちを向いた。
何だろう?俺が言ったらやっぱり変なのか…

「あのディファイさん、前にも言ったと思いますけど、敬語は辞めていただけませんか?年上の人に敬語を使われるのはあまり好きではないので…」




おべべ!?




いや間違った、何!?敬語をやめろだと?そんな事できる訳ないじゃないか!!!
いくらルカ君の頼みとはいえそれは無理だ。
六大公爵家のグラム家の次男、今は没落しかけだといえ、俺の実家が相当お世話になった六大公爵家や女王騎士の方々に敬語を使わないとは罰があたる。俺の養育費や生活費やボックスや漫画の代金は元々はこの人達が国を守って頑張って働いて稼いだお金だ。その恩を感じているからこそ俺は敬語を使っているのだ。だからこれはボルト家に生まれたからには守らなければならない掟。俺は小さい時はあまり理解できていなかったが今ははっきり理解できる。だから無理だ!

「ルカ君の頼みでも無理ですね…これは私なりの敬意ですから…」

しんどいけど、恥ずかしいけど、これだけは譲れないね。敬語で話す事自体は恥ずかしいけど、嫌いという訳でもないんだよ。

「超エルト斬り!!」

そんな事を思ってたり言ってたりする内にジェダ君の組はそろそろ終わりそうだった。
それにしたって、自分の名前を使うだと?これは正に熱血な主人公、まさしく王道の主人公を地でいく存在だな。

「俺はこんなところでまける訳には…」

あっ、ジェダ君負けた…後で様子見に行くかな。カルマ君がこっちを見ている。てかイージス君に勝ってるし…流石だな~。けど、まぁケガしてたから妥当かな?

んで何?「悪いがジェダを宜しく頼む…」だって?
分かってるよ、にしてもカルマ君はジェダ君に対して敢えて悪役を演じるのは何でなんだろう?
小さい頃はクーデレだった癖に…
まぁいいか、とりあえず治療室に連れていこう。ザキヤさんにも会えるしな。









Side アイスだと美味しい名の使い捨てキャラ


あっしはこの体力試験で恐ろしい噂を聞いたんす。たった一撃で六大公爵家を倒した男がいるというあり得ない噂を。
あっしはここの国の地方のトナリ村という場所の出身でやんす。村では神童と言われて大人も俺にかかれば負けなしだったんすよ。だからこの国で一番強くて名誉のある騎士である女王騎士になろうと思いここにやって来たんす。
女王騎士といえば六大公爵家が統括しているのが今の現状でありんす、公爵家の子息は絶対に女王騎士にならなくてはならないというものなのでやんす。
その為の努力は血が滲み、肉を焦がし、心を燃やすという程の苦しい鍛練というのがよく聞く話でやんす。しかもその才能は天才クラスであり普通の人間では勝てる訳はないというのが現実でやんす。
そんな六大公爵家の人間を倒す人間がいる?そんなの信じられる訳ないでやんす!

「おい、今グラム家のルカと話てる奴って一撃で倒した奴だろ?」

「ああ、ディファイ=R=ボルトだろ?正直な話、俺もあの試合を見なければザコだと思っていたぜ。」

「なにせ相手を傷つけずに場外に落とすなんて高等技術を使ったんだからな。」

「騎士学校出身らしいからな…貴族学校よりも難関だといわれる学校の…」

「その学校の奴に聞いた話だと、カルマにも勝ったことがあるらしいぜ?」

「マジか!?おいおい、そんなに強い奴には見えないぜ?」

「実力を隠してんだろ?能ある鷹は爪を隠すって奴だよ。何せ奴の2つ名は”仮面”だからな。」

「”仮面”?なるほどな、確かにピッタリの2つ名だ。」

何てことでありんす……
やはり奴はこの試験で要注意ということでありんすね…

「おいおい、公爵家自ら敬語を使うなって…どんだけ凄い奴なんだよ?」

何と!アッシのグループにいたルナハイネンという六大公爵家の一人なんか唯我独尊を地でいく存在でやんす。そんな公爵家の一人に敬語を使わすなんて…

この試験は奴の一人勝ちかもしれないでやんす…








~あとがき~
プロットで試験編終了時にとてもややこしい事になってきた…
因みに原作知っている人は分かっているとは思われますが、原作とはある部分が決定的に違います。それがプロットの大幅修正の理由です。因みに2クールで終了の予定です。(話数的に)まぁOVA(番外編)含めるかもしれないのでまぁ30話ぐらいの予定です。
それにしてもハーゲン=ダッツォって酷い名前だよね?今回勘違いsideは短めです。申し訳ない…



[18999] 5話
Name: 羽付き羊◆8e2fe20f ID:57d96fca
Date: 2010/07/07 08:16
5話「正義、それは胸に秘めているもの」


その名を冠するモノは誰でも愛してしまう魅惑の魔物。

男はそれに全てを求める。自分にはないそれを求める為に…

女はそれを欲する。自分の魅力を引き立てる為に…

そう、それは誰もが求める一つの正義(おっぱい)だから。

                         母なる正義 著 オパー=アイ
                         第三章~唯一の正義~一部抜粋


兎に角それはものすごかった。お姉さん好きな俺には堪らなかった。アレこそ正義なる存在だと思ってしまう程であった。
最強にして無敵の存在、それがそこには詰まっていた、それはおっぱい!
おっぱい!

ビバおっぱい!

…すいません自重できませんでした。



ジェダ君の様子を見に行くため運ばれた医療室に行くと案の定ザキヤさんが治療していました。医療用の聖騎装を使いジェダ君のケガをほとんど完治状態にさせていました。
さすが女医騎士!

カルマ君が俺にジェダ君を頼むと言ったのは昔から医療本やら何やらを読み漁っていたからです。何としても死亡フラグを軽減させる為に頑張っていた為わりかしそちら方面の知識はあります。実際、ケガの手当てしょっちゅうしてます。主に自分の。別に過去に病気で死んだ友人や、医者に助けられた訳ではありません。医者が好きという訳ではありませんというか逆に嫌いです。歯医者嫌いです。
虫歯嫌いです。知覚過敏嫌いです。歯周病嫌いです。でも親知らずがもっと嫌いです。
逆恨みだが、嫌いです。助手さんは例外です。
でも普通の医者は好きです。女医さん大好きです。女騎士より女医の方が絶対需要ありますしね。

まぁとにかく、医療系の道に進めばあの乳…
ゴホン、基、ザキヤさんのおっぱいを毎日見れる!

「うん?お前は…“ディファイ”じゃないか」

おっぱ…基、ザキヤさんに話しかけられた。でも会うのは6年ぶりぐらいかな?最近実家のホテルにも遊びに来れないほど忙しかったみたいだしね。
実家の事を言い忘れていたけど俺の実家はホテルなんです。まぁ貴族が経営しているホテルなんで一般のホテルより敷居が少し高い方なんだけど、騎士試験の日は予約がいっぱいになります。理由はよく分かりませんが、“願かけ”らしい。よく女王騎士の人が来るからだという理由からではないかと思います。
親父にも理由は分かってないからな~
まぁそのおかげで女王騎士の人は多少の縁があったりする。六大公爵家の人も実家から近いのにわざわざ試験の日は家に泊まる。不思議で堪らない…
俺はこの試験期間中はホテルが満室で忙しい為手伝いたくないのでばあちゃん家に逃げ込んでました。
まぁ少し話はそれたけどザキヤさんも実家のホテルに泊まる騎士さんの1人で、俺の事を多少は知ってくれていたという訳だ。

「ジェダ君の様子を見に来たのですが…流石ですね。もう治療終わってましたか。」


「まぁな、それにしてもディファイお前の“噂”は良く聞くぞ?」

“噂”?俺なんか噂になるような事した…しましたねつい先程…忘れてましたよ…

「クルタナにカリバーンを出したんだってな。シーケン=カンエーに聞いた時は驚いたぞ。」

そっちか!?
まぁアレは偶々だから凄いとか言われてもね…
「アレはお見苦しいところをお見せして申し訳ありません。」
あんなラスト何秒かで決めるなんてね。後ろがつっかえて迷惑になるというのに…本当に申し訳なかったです。

「ははは、聞いた通りだな。今も昔もお前は変わらんな~」
手を口で押えながら軽く微笑みながら声を出すザキヤさんはドストライクでした。
ミットを構えた処にすっと入ってきました。
ラーメンOPPAI、ははのんき。という感じでした。

「ところでお前まだ医療系の本とか読んでるのか?」

「はい。最近は脊椎とか骨髄損傷の本とか読んでますね。中々これが難しくて…」

まぁ、ケガをした時のケアもあるのだが、実は医者になればナースさんとうはうは天国じゃね?とか思って勉強してた時期もあり、その時割と人間の身体の神秘というものに触れて意外に面白かった為読んでいる。ただ言っておくが専門書じゃない。子供用の学研の漫画だ。しかも結構昔の本、アレ面白いんだ。いやマジで。

何だよコイツもオリ主向きの力があるじゃねぇ~かよとか、努力キャラかよとか思っている人がいるが俺にはそんな設定ありません。ただ面白いことや死ぬのが嫌とかそういった本能で生きている人間なのです。

「ふ~ん、まだあの時期からずっと勉強しているのか?」

「ええ…」

「医療系の聖騎装(エンチャント・ギア)は精密なマナコントロールが必要でな…お前が女王騎士になれば私より優秀な騎士兼医者になれるかもな。」
ザキヤさんは微笑みながらそう言ってくる。俺に気があるのか?と思ったりしてみるが、左手の薬指の指輪が近寄ってくるなと俺に語りかけてくる。

「はは、私みたいな人間がアナタみたいな立派になれますかね?」

というかなれませんけどね。この試験は俺の実力じゃまず受からないから。
因みに俺のマナコントロールは自慢じゃないが凄いらしい。容量自体が少ないし、騎士学校ではこれが重要なテストで出たりするのでおこづかいの為に血反吐が出るくらい練習しまくった。
初回限定版は譲れないし、新作フィギアも買わなくてはいけないから…
そのおかげか俺はマナコントロールにおいてはルカ君、イージス君、カルマ君以上だと言われている。
まぁ、実際は容量が少なすぎるのであんまり意味がない…
ハンター×ハンタ○とかを見てくれたら想像つくだろう。相手は纏の状態でも俺はそれが練の状態みたいな感じ。これじゃ勝ちの目ないだろう?

「なれるさ、お前ならきっと…な。」

何か悟っている感じで言われた。謎すぎる…

「お前が女王騎士になれたら私が直々に指導してやる。」

嬉しいんですが…何だろう嫌な予感がするよ?
死亡フラグを建てさせられた気がするよ?どうなる俺?
まぁいいや、これから試験明日までないからとりあえずニヤニヤ動画見ようっと。





あっ、ジェダ君にフォローするの忘れてた…



side正義の女医さん

バンニール家のジェダとか言う奴の治療を終えた際に久しく会っていない人間に出会った。
ボルト家の嫡男のディファイだ。
最近任務やら内政の仕事やらが忙しくて中々行く機会がなかったが、奴の噂を聞くたびに心が躍った。曰く、天才カルマよりも腕が立つ。曰く、騎士学校で一番マナの扱いが長けているなど、私にとっては嬉しい知らせだった。
女王騎士をしながら医者という仕事をしている私は同期の奴に“甘い”と言われる。医者として助けられる命をみると助けたいと思ってしまい、敵に情けをかけてしまう時もあるからだ。今の処は大丈夫だが、その見逃した連中が牙を向け女王様の脅威になってしまう可能性を同期の連中は懸念している。
まぁその通りだろう。私もこの“甘さ”は捨てたかった。
そんな時私は休暇でボルト家のホテルに泊まった。天気が悪く空が黒かった事を覚えている。その日に私はディファイに出会った。
まだ幼かった奴は学研の医療漫画を見ながら勉強していたのでそれが気になり何気なく私から声をかけた。



「医者もしているんですか?凄いな…需要が2倍…」
ある程度の自分の話をするとディファイはその事に興味を持ったようだった。最後の言葉の意味が分からなかったが、それでも私は話を続けた。

「まぁ、医者は辞めたいと思う時もあるがな…」

「騎士より医者の方が凄いのに…」

ふと奴がそう言ったのが耳に聞こえて驚いた。普通コイツのように10歳ぐらいの年では女王騎士に憧れるし、このアルシリアの国では騎士の方がはるかに待遇が良い。それなのにコイツはそう言ったのだ。

「何でそう思うんだ?」

私は不思議に思いそう言うと少し困ったようにだがしっかり答えた。
「え~と、だってですね…だって人を壊すのは誰でもできますけど治すのは限られた人しかできませんから」


その言葉は私に衝撃を与えた。いや分かっていた事を再確認させられただけなのだが、それでも私の心に深く響いた。
忘れていたのだ、周囲の言葉のせいで私が目指していた本質を。女王騎士になったのは女王様や民を守る為だけではない。民だけを治療するだけではない。無用な戦いで流れる血を防ぐためだ。綺麗ごとかもしれない、無理なのかもしれない。例え相手が敵だとしても更生させて国の役に立つかもしれない。しかし死んでしまえば残るのは虚しさや復讐等といった負の感情になる。その根本を変える為に騎士になり医療の道に進んだのだから。

「ははは、確かにそうだな…そうだった。忘れていたよ。」

「??そうですか…」

私はコイツの事が気になったボルト家の嫡男であるコイツだが今、医療系の本を読んでいるという事は将来医者志望なのかもしれない。だがコイツの父親はコイツを女王騎士にさせたいと思っているのは噂で聞いていた。

「お前は将来何になりたいんだ?医者か?それとも女王騎士か?」

「僕ですか?そうですね…できるなら両方した…」

奴が言いかけた時雷鳴が轟いた。近くに落ちたようで奴の言葉が最後まで聞こえなかったが言いたい事が分かった。

奴は「両方したいです。」と私に言ったのだ。

幼いながらも医者の重要性を分かりながらそれでいて女王騎士を目指す。小さいながらもしっかりとした信念を持っているコイツに私は素直に凄いと思った。

「なれるさ、お前ならきっと…な。」

あれから9年、思った通り奴はここまで来た。しかも同僚のシ―ケンの奴や前評判を聞くかぎりあのカルマ以上の存在になっていると聞く。だが奴は昔も今も信念は変わっていない。
コイツが女王騎士になったら私がコイツを直々に育ててやりたい。医療の道に進ませるのも良いだろう。しかし奴も騎士になりたがっているという事は私の目指した道に足を踏み出そうとしている。
この道は険しいが奴なら大丈夫だろう。
頑張れ。お前ならできるさ。
まず始めに教えるならこの指輪型聖騎装はがいいな。アイツが騎士になったらまずコレの使い方から教えてやるかな。













~あとがき~
さてチラシの裏からスクエ二板に移すかどうか…まぁ8話を突破したら考えます。
勘違いは別にその場面だけで起きている訳ではないという話。学研のよくわかる漫画シリーズ?だったけかな?それ好きでした。アレは面白い。




[18999] 6話
Name: 羽付き羊◆8e2fe20f ID:0f01fd4b
Date: 2010/07/16 08:05
6話「俺が飛ばせるのは嘘だけじゃないぜ!」



Side 熱血サングラスハゲ

飛んでいる飛行船の上で私はふと思考にふけっていた。もうすぐスタート地点の海の上に着く。
今回の試験は過去に比べてもとても厳しいものである、前回に比べるとその厳しさは倍率は10倍といったところだろう。
元来この女王騎士試験の2次は死が付きまとうものである。一度の試験で多くて大体6名程度が二度とこの世に帰って来れない。2次試験でも生きて帰れる程度の奴しか基本的に試験は受けさせない。これは当たり前の事だ。試験の合否を判断するのにイチイチ時間をかけたくないし、人が死ぬのはやはり後味が悪いからである。女王様を守るだけが我々の仕事ではない。民を守るという事も重要な仕事の一つだ。まだ騎士になっていない受験生にもそれは通じる。
まぁそれでも死ぬ奴は死ぬのだが…
しかし我々と同じ土俵の上に立つのなら、心を鬼にしなければならない。死ぬのも生きるのも自己責任なのだ。
今回は毒を用いた試験。解毒薬を制限時間内に作れば合格というものしておいた。それには難関のチェックポイントの課題をクリアしなければならない。さらに解毒薬の薬の総数も決めている為最高人数は決まっているという試験だ。
上からの命とは言え流石にやり過ぎだと抗議もしたのだが、「国を守る為。」と言われてしまえば何も言えない。そもそも私は内政やら何やら細かい事はあまり好きではない。
女王騎士は女王陛下に命を捧げている身。実際の内政は女王陛下がするのだ。
その内政のサポートをするのが代々六大公爵家の面々なのだ。しかし、女王陛下不在の為少しだが不穏な空気もこの国に見え隠れするのも現実だ。
娘であるアルマ姫はまだ陛下が生存されておられる可能性もあり即位できない。そもそもまだ即位できる年齢に至ってないのだが…

まぁ今はそんな事を考えても仕方ないだろう。今は試験に集中しなければ…

それにしても今期の面々は中々面白い奴がいる。
バンニール家のカルマ。奴の実力は頭1つ飛び出している。合格確実と言っても過言ではない実力の持ち主だ。
次にイージス=ブリュンヒルデ。ブリュンヒルデ家の長男で実力も上位、さらに胸に秘めている正義は本物だと思っている。
ルカ=グラム。……兄の実力が弟にも備わっているとするのなら相当の実力者のはずだろう。
この他にもジェダ=バンニールやジョニー=C=パッドなど才能に恵まれた人材も豊富である。

だが私が今最も注目しているのは2人。

エルト=フォーエンハイムとディファイ=R=ボルトだ。

まずエルト=フォーエンハイムだが、今の段階では到底この試験は受からないだろう。しかし奴には何かを感じさせるものがある。
先程の口頭試験でも、難関な騎士聖典や女王騎士法などもスラスラ答え、どれだけ真摯に女王騎士になろうとしていたかが伝わってきた。受付で見せた潜在マナの大きさも奴の器を感じさせるのだ。
なんにせよ楽しみな奴である。

そしてディファイ=R=ボルト…
奴はこの私をして真価を測りきれない。受付の時のあの精巧なカリバーンにしても、体力試験の時もルカ=グラムに勝利を収めている。しかもほとんど力も技も見せずにだ。今後も奴には目が離せないだろう。
それに奴の“噂”は“昔”から良く耳にしていた。
時計をみるともうすぐ時間になるので試験の説明を始めた。

「今回の試験ではコレを使う。」

と水槽の魚に毒の入ったカプセルを食べさせる、すると魚は死んだ。
コレに動揺を隠せない受験者の面々。さらに過酷な試験内容を説明すると、「理不尽だ!」と文句を垂れる。
国や姫を守ろうとする騎士が自分の命をかけないでどうする?
どれだけ身体を鍛えようが技を磨こうが、精神力がなければ任務を達成できない。そもそもマナという心の力を使う時点で臆病者は騎士にはふさわしくない。
受験生の面々が動揺する中、目で直ぐに毒薬を渡せといってきた奴がいた。そうディファイ=R=ボルトだ。毒薬を渡してやるとつまらなそうに毒薬を見ていた。
何を考えているのか全く分からない。そんな事を思っていると奴は欠伸をすると同時に毒薬を飲んだ。

「な!?」
「え?」
「嘘だろ?」
「ボルトさん!?」

他の受験生は愚か、私達試験官も正直驚きを隠せなかった。
毒薬を飲めばもう試験を受ける以外に助かる見込みはない。そう説明したばかりの状況であっさりと欠伸と同時に毒を飲んだのだ。
まるで自分の命に興味がないかのように…
自分の命を簡単に捨てられる…それはつまり自分よりも優先させられるものがあるということだ。
しかし貴族の嫡男であるディファイ=R=ボルトが何の躊躇もなく飲むなんて…
奴の実家は貴族として上流の方に位置する。普通に暮らしている上流貴族ならここは辞退するはずなのだ。しかし何のためらいもなく毒薬を飲んだ。
確かザキヤの話では奴は医者も目指していると言っていた。となれば命の尊さを良く理解しているということになる。
となればこの試験に元々命を懸けるつもりでおり、この程度の事では信念も覚悟も揺るがないということなのだろう…

もうこの時点で既に合格点だ。
他の受験者にもコイツのようになってもらいたいものだ
「今この受験者が飲んだ毒は自力で解毒薬をつくらないとないぞ。」
まぁ先程言って分かると思うがもう一度言っておいてやった。

「早く始めてくれませんか?」

もう始めたがっている…ならばもうやるしかないだろう。

「ははは!!コイツと同じように覚悟があるのなら私について来い!」

大きな窓を開けて、そう言うと私は海に向かって飛び降り海面上を走った。
そして島に着き、受験生を待っているとぞくぞくと受験生達がやって来た。しかし目の前には崖。
まずこれを登らなければ何も始まらない。

「ここら一帯はすべて天然の崖でな。海をいくらか廻ったところでそう変わらんぞ?」

と受験生に言っておいてやる。

「どうやらこの崖を登るしかないようですね…」

「そうだな…崖付近を回ったとしても時間がかかりそうだな。」

公爵家の2人は崖の上を登ることを選択したようだった。それもそうだろうそういう風にしてあるのだから。

「ボルトさんはどうするんですか?」

「急がば回れというでしょう?私は廻ります。」

「ええ!?王=道さんの話を聞いてなかったんですか?」

「正気か!?」

「はい、正気ですよ。ルカ君やイージス君は好きにしてください。」

そう言った奴は一人だけさっさと歩いて行った。
残った2人は顔を見つめ合い、結局メイドが来るまでどちらに行くかで迷い、崖の上を登ることに決めたようだった。
実は、海へ廻るというルートは崖を登るルートより簡単になる可能性がある。もちろん基本的は難しいルートなのだが、抜け道に気付けば簡単に第一チェックポイントに行くことが可能なのだ。
どうやらディファイ=R=ボルトはそれに気付いたようだ。

もうコイツは私達と同レベルの観察眼はありそうな気がする。
この試験はもっと面白くなりそうだ。




んちゃ!私はディファイだよ~
ほよよ?次はディファイにラピュタみたいなフラグが建つんだって!でもたぶんすぐに破壊されちゃうよね~
だって運命破壊(フラグブレイカ―)だもん。
次回「ラピュタ的な事が起こってもフラグが建たないのはコレいかに」
だよ!お楽しみにね

~あとがき~
にしたいですけど本編Aパートどうぞ



あの後、ジェダ君の様子を見に行ったが、普通に寝ていて話しかける事もなかったので、帰ろうとしたらカーテン越しにイージス君が治療中だったらしい。
声を掛けようとしてカーテンを開けようと思ったら、とてつもなく嫌なオーラを感じたので開けなかった。
カーテン越しに挨拶したらイージス君は隙間からなんか恥ずかしそうにコッチを見ていた。何でだろう?
因みにエルト君は完全に爆睡してたのでそのままスル―しておきました。

もうやる事が何もなかったので、ばあちゃんの家に帰ると俺はニヤニヤ動画を見まくった。
何か聞いた話だと下手(合格)したら1週間ぐらいニヤニヤ動画が見れなくなるらしいので徹夜で見た。
んで一次試験の結果を張りだしていたので見てみたらなんと突破しちゃってた…
心の中で泣きましたとも、俺の死亡フラグが目に見えて大きくなっていく。塵もつもればやまとなでしこなのだ。
因みに
○○様が出る幕ではありません。ここは私が…
とか
俺この戦争が終わったら結婚するんだ。
とか
パインサラダを食べちゃった
とか
この仕事が終えたらまとまった金がはいるんだ。
とか
やったか?
とか
俺の○○は108式まであるぞ!
とか
セ○クスの前のシャワー
とか
殺人犯がいるような部屋に一緒にいられるか!
とか
勇者よその程度か?
とか
正義の騎士としちゃベタすぎ(ry
とかのフラグは一発でアウトです。これを回避できるのはマク○スのあの方ぐらいとアルちゃん仲間が言ってたが、俺はマク○スをみた事がないのでわからない。
正直フラグうんぬんかんぬん言ってる俺だけど、自分の中でフラグとは心の予防線です。コレをしてなければ大丈夫だろうという小さな願望なのですよ。

「女王騎士団、団歌斉唱!」

「女王陛下の旗の下~、我等は集う~、絶対正義の名の基に民を平和へ導こう~…」

何やら上から歌声が聞こえたので空を見上げると空中に浮きながら歌を歌っているエルト君にそれを一緒に浮かびながら聞いている王=道隊長がいた。

うん、俺この中でやってける自信が無くなった。

───飛行船の上でルカ君に話を聞いたところあまりに字が汚いので口頭で再試験でああなったとの事だ。体力試験はトップだから筆記試験の答えが正確ならOKだということらしい。
おかしいね…
普通いくら体力試験が上だとしても試験の字が汚いならその時点で不合格は決定なんですよ。騎士学校で一度徹夜してテストに臨んで82点は取れたテストが「字が読めません」と赤い字で答案用紙が帰ってきて結果は47点。流石に泣きました。
それを考えるとなんて運がいいのだろう。それにしても先生が汚い字でも丁寧に書きなさいと言ってたのはこういう時に下手な結果が出ないようにする為だと思うと先生はすごいなと思う。
うん、社会に出た時に重要な事を教えてくれる学校はとても大切だ。
皆!学校に行こう!

──ディファイの愛がニートを撲滅させると信じて…
 
 
 
「今から2次試験の説明を始める!」

と思って現実逃避をかもして逃げ出そうとしている俺に現実は酷く冷たい。
説明を聞いているとデス・トライアスロンとの事でチェックポイントを通ればどんなルートでも良いらしい。魔境の近くや荒野の真ん中にもあるとの事。
やばいね。俺もう死んじゃうね。
さらに毒薬を飲み、チェックポイント毎にある解毒薬を集めなければならないとのこと。
もうあれだね。狂気の沙汰どころの話じゃないですよね。アカ○さんですらこんな事やらないよ…いや、あの人ならやるな…
あの人は本当にチートだから…
まあ一般ピーポーである俺はもうねここでリタイアですね。両親も命が係わっていると分かれば許してくれるだろう。
王=道隊長に目で俺はリタイアしますと訴えると、当たり前のように毒薬渡された。
何その私は言われなくても分かってます的な顔は?
俺は飲む気は全くないよ?可能性ゼロだよ、じぇ~ろ。
それにしてもカプセルね、これ飲んだ振りして受ける奴とかいるんじゃないの?粉とかにしておくべきだと俺は思うんですけどね。
それにしても今日は眠い…
昨日は少しニヤニヤ動画見すぎてあんまり寝てないんだよね。あ~あ、あくびが出るわ。

「へ、へっくしゅん」

っごっくん…

っへ?ちょっ、おまっ…ビックりして飲んじゃた?毒薬飲んじゃった!?死ぬよ、俺死んじゃうよ?クシャミした奴!お前が俺を殺したのと同義になっちゃうんだぞぉぉ?
くしゃみしたのは誰だ!?
…何てこった、試験官だよ…こんな時にくしゃみしないでくれよ。頼むよ…
まぁでも今なら助か…
「今この受験者が飲んだ薬は自力で解毒薬をつくらないとないぞ。」

おい…待てよ、飲んじゃったら試験に受かるしか助かる道ないって…どんだけ鬼何だよこの試験は!?お前等本当は人体実験とかやってるだろ?

「早く始めてくれませんか?」

自分の命が危ないのは嫌ですから、さっさと始めてください。こうしている間にもう命の灯がどんどん消えかかっていくから。カルマ君と一緒にいればたぶん何とかなるから、早くして。

「ははは!!コイツと同じように覚悟があるのなら私について来い!」

大きな窓を開けて、そう言うと海に向かって飛び降り海面上を走っていった。
いやいやあり得ないでしょう…マナ?いやあれは片方の足が沈む前に逆の足を出して前に進んでいる言わば曲芸なのよ。
そして俺はカルマ君が薬を飲んで飛び降りた後をついていった。
だが俺の身体能力でカルマ君と一緒にスタートして間に合うはずもなく、ゆっくり平泳ぎしながら海岸まで泳いで行った。

島に着くと当然カルマくんは崖を上っていた、しかし俺には登る事は大変困難な崖があった。
まずこれを登らなければ何も始まらないのだが登れない。

「ここら一帯はすべて天然の崖でな。海をいくらか廻ったところでそう変わらんぞ?」

と王=道隊長は言う、しかし俺は登れない。ちょっと試しに登ってみたけどやっぱり登れない。

「どうやらこの崖を登るしかないようですね…」

「そうだな…崖付近を回ったとしても時間がかかりそうだな。」

ルカ君とイージス君は登るらしい、俺は登れない…でも言うのは大変恥ずかしい。「俺登れないから担いで上まで運んでくれない?」ってこの状況で言えるはずもない。

「ボルトさんはどうするんですか?」

ルカ君が登るんだったら一緒に登りませんか?みたいな感じで聞いてくる…いや登れないんだってば。

「急がば廻れっていうでしょ?私は廻ります。」

「ええ!?王=道さんの話を聞いてなかったんですか?」

「正気か!?」

驚いている…いや俺だって登りたいんだけど登れないんだよ。崖とか俺のトラウマが詰まってるんだよ…

「はい、正気ですよ。ルカ君やイージス君は好きにしてください。」

もう俺を放ってさっさと登ってください。頼みますから。
まぁなんとかなる事を祈るしかないわな~…
 
って、ちょっと横に入った処に抜け道あるじゃん!ラッキー!!


~あとがき~
はい今回はちょっと趣向を変えてみましたがどうでしたか?
因みにラジオ風のネタの方は反応がないので投稿しようと思っていたネタが没りましたwww
まあそういうもんですね。
死亡フラグって長年の歴史の中から誕生していますけどパインサラダは知りませんでした。ステーキは知っているんですけどね。
これから月1ぐらいになると考えていただけると嬉しいです。




[18999] 7話
Name: 羽付き羊◆8e2fe20f ID:22dc5c9e
Date: 2010/08/01 10:43
7話「ラピュタ的な事が起こってもフラグが建たないのはコレいかに」
 
ラン、ランララ、ランランラン、ランランラララ♪
金色のなんたらかんたらに…は確かナウシ○だった気がするんだけどさ。
借り暮らしのアリエンティを見たいを思います。アリエンティって面白い名前だよね?
え?アリエンティじゃない?…
…トイ・ストリー3は見たいです。ガチです。
一応言っておくがワザと間違ってるんだからね?
さてリリカルディファイSAGA OF QUEEN KNIGHT始まります。


ラッキーなのかどうか今考えると良く分からない抜け道でイノシシが襲ってきました。普通のイノシシでも大概強いんだけどね。俺がやっとこさ倒せるレベルなのに、体長2m近くあるバケモンが襲ってきたんですわ。

「プギャ嗚呼ああぁぁぁぁぁア!!!」

というバカでかい鳴き声で俺の戦意をどんどん刈り取っていく…

「俺の力を舐めるなよ!」

と自分に言い聞かせるように剣を抜く。心臓バックバックですけどハッタリかましてやったんだ。
何故かって?何となくだよ?

だって小さい箱と大きい箱どっち選ぶ?とか聞いたら大概の人は選ぶ理由は何となくだぜ?まぁ一応心理的要因が絡んできたりもするんだがそんなことは知らない。

「GUGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!」

さらに興奮させたようでちびるぐらいビビった。

ご、ごめんなさい
と土下座するとイノシシはそのまま岩の岸壁に突っ込んでいった。

すごい音がした。バットで思いっきり頭を殴られたような鈍い音が辺り一面に轟く音が…

するとイノシシがピヨっていた。不思議な事に鳥がピヨピヨするのが目に見えました。
そうそう因みにね本当にものすごい衝撃が頭にくるとね星がピカピカするんだよ?
まぁ漫画みたいに本当にあんな感じじゃないんだけどね。ピッカピッカに光るんです。電気が走ったという表現が近いのかどうか微妙だけどね。ただ本当に星が見えます。経験者は語るという奴です。


「ディファイさん…大丈夫ですか?」

とシェリーちゃんが俺の心配をしてくれる。

「今日の晩飯だね。」

と取りあえず年長者として安心させるために笑っておきました。二コポになればとも狙いましたが…無駄だったようです。変な感じで笑われました。
シェリーちゃんが何故こんな処でルカ君やジェダ君とか一緒にいないかと言われればまぁ3時間前まで遡りやす。

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3時間前

泳いで少しのとこから抜け道を発見したのでそこからとことこ歩いて行くと断崖に囲まれた場所に着きました。
途中に湧水があったのでそれを横に落ちていた太めの木を削ったりして水筒にしました。
とりあえず飲み水確保。サバイバルというので水は貴重な資源。喰い物より順位は必然的に高くなっていく。水があれば一週間はなんとか生きていけるからだね。

その時頭の上に何か木の枝が落ちてきた。
そして上を見ると
なんということでしょう。

メイドin the sky!!

ってなんじゃそりゃああああ!?
おおっと何かメイドが降ってきたよ!?
どこのラピュ○だよ!!って言いたいところだけど残念ながらその落下スピードは半端なく速くてそんな事をいっている場合ではなかった。
とりあえず目の前でリアルなトラウマにならないように全力でその子を助けようと腕を広げた。
その時彼女は俺の腕に落ちずに背に落下してきた。その時足が頭に直撃。一瞬意識が飛びました。ピッカピッカになりました。

「ぐひゃ…」

と思わず零してしまったのは仕方ない事だと思う。いや仕方ないに違いない。
落ちてきたメイドを見てみると普通に可愛らしい女の子だったので驚いた。これは本気でラピ○タフラグか?と思いながら女の子を横に寝かした。とりあえず動かさない方が良いだろう。水筒の水で俺のマフラーの生地をハンドタオル程度の大きさに切り額に乗っけた。
その時に顔をよくよくみるとシェリーちゃんでした。
「…シェリーちゃん?」
アリエンティ!!『なしてこないな田舎におるんじゃ?』という気分になりながら目が覚めるのを待っていると、

「…う、ううん、ア、ナタはディファイ、さん?」

と言って目を擦りながら起きてきた、衣服が少しボロボロで結構ケガをしていたのに動こうとするのでそれを静止する。

「どうしてアナタがここに?」

「アナタが上から落ち…降るってきたんですよ。」

受験生に落ちる滑るというのは禁句です。危なく言うところだった…

「私、行かなくちゃ…ルカ様が待ってるから…」

と言いながら動こうとするシェリーちゃん。いやいや上見えないぐらいな床から落ちてるなら相当あぶないからね?

「あっ…」

そう言いながら倒れるシェリーちゃん。言わんこっちゃない…言ってないけど…

「傷を見せてください。」

そう言いながら懐にある緊急医療セットを出す。塗り薬やら包帯やらなのでそこまでかさばらないの携帯に便利なのでよく持っている。海に落ちた時にも濡れないようにしっかり防水加工済みの袋から取り出す。

「わ、私はそんなもの別にいりません!!」

何で怒ってるんだろ?ああ、男と女2人だから警戒しているんだな?
失敬な!俺は20歳以上の女の人にしか興味があんまりないんだぞ?多少はあるけどさ、ジェダ君の想い人を好きになりません!大体ここは全年齢対象だからね?そんな事する度胸はないよ。

「ケガが化膿して酷くなる前に見せてくれないかな?」

所々擦り傷やらなんやらがあって中々やばい、学研の漫画が役に立つ時がやってきたようだ。

「で、でも…」

そ、そこまで信用がないとは…結構ショックなんですけど…
ええい、こうなりゃヤケじゃ!水筒の水をぶっかけて、塗り薬をぬる。

「ん、ぐっ…」

染みてるようだ、無理もないだろう。だがここで放っておくと余計に酷くなるので今治しておく。そんで包帯巻いてあげた。

捻挫やら内出血をしていた、しかもくるぶしがかなり腫れている、しかも青黒い。
ある程度は歩けるらしいが剥離骨折とか骨にひびが入っている可能性もあるのでこれ以上試験は無理だろう。

その旨を言おうとするとイノシシが現れたんです。

で冒頭に戻る。

まぁ、一人なら確実に逃げていたんだけど、怪我人をほっぽり出して逃げるような人間にはなれずに、覚悟を決めて格好つけようとして失敗する訳だったんですよね。

しかも、俺のお腹が鳴ってしまって格好がつかないという訳ですよね。まぁそのままイノシシを丸焼きにして美味しく頂きました。
ただ、やっぱり丸焼きにして正解だと思いました。内臓とか取る度胸ないしね…
火種はシェリーちゃんが持っていたのでそれを使いました。

食べながら、それとなくケガの状態を話して。これ以上先に進むのは無理だという事を説明しておく。


「ここでリタイアして下さい。」

「でも私は!っつ…」

大きな声を出したせいかケガが傷んだらしく、足をおさえていた。

「ケガが酷くなって命が無くなったら本末転倒ですよ。リタイアした場合は何とかなるとおもいますしね…」

いまさらだが何とかなるだろう。考えてみると誓約書も何も書かなかったので死んだのならそれは多額の賠償金を得られるというのは一応この国の法律だ。
大体この国の民の命を奪うような事はないだろう…たぶん。
どうでもいい話なんだが俺の親父はこの試験の期間の間多額の保険金をかけている。抜け目のない親父だ、まぁ俺でもそうするから文句は言えない…
それにしてもどんな親子関係なのだろうか?俺達は。
普通に「250万カネーを保険金でかけておいたから死んでもいいぞ?」なんて言う親は良い親なのかどうかはわかりません。
まぁ息子として親父が蓄膿症と聞いた時はそっとお墓を建てておいた。
石だけつんで崖の上においてある。誰がどうみても墓だろうと思っている。
まぁあれで死ぬ人は滅多にいないのだけどね。

「俺も一緒に行くから。それならいいでしょ?」

「え!?でもそんな事をしたらアナタが…」

「“騎士たるもの献身の心を忘るるべからず”それが例え試験でも同じですよ。」

うわ~、自分で言っててもクッセ~。正直俺がこの子の側だったら普通にひくわ。
にしてもリタイアできると思ったらこんなに口が動くものなのか?何という保身の塊なのだろうか俺って。てかシェリーちゃんだと敬語が時々抜けるね~。何でだろうね?一応その年で奉公しているから尊敬に値するはずなのに…ああ、何か妹みたいだからかな?
なつかしいな…今どうしてるんだろう?

「ルカ君の為だと思えばいいんですよ…」

と昔の事を思い出しながら臭いセリフを言っている俺…自分のキャラがよく分からなくなってしまった。

「いやお前はリタイアしなくていい、俺がその子を引き取ろう。」

ん?誰?
聞いたことのある声がするのでその方へ向くと仮面をかぶっている人がいた・


「俺は通りすがりの…」

仮面ライダー?
ていうか声で分かるんだけどねジ―クさん?

「仮面の騎士だ…」

…うわぁ、この人何処かへ行方知らずになったはずなのに何してるの?
まぁ何かしら理由があるのは知っているけどさ…詳しい話を聞いていないからよくわからないんだけどね。

「アナタは一体?」

あまりの出来事にとりあえず、呆然としている俺。何で仕えたことのある人の声に気付かないの、シェリーちゃん?

「俺は女王騎士だ。」

そこに元をつけておくべきではないのだろうか?しっかし、何故ここに?

「何でここにいるんです?ジー…ムググ……」

名前を言おうとすると口を塞がれた。口でじゃないよ?一応言っておくけど手ですよ?

(お前…何で俺の事が分かった?)

(いや、声聞いたらすぐ分かりますって普通…)

(この仮面かぶってたら分からんだろう!?)

(いや、分かりますって…)

(と、とにかく今はシェリーには言わなくていいからな?後で事情を説明しておくから。)

(ルカ君には?)

(…アイツには、時期が来てから俺が説明する。)

(分かりました。)

「何をこそこそ話しているんですか?」

小声でボソボソ話しているとシェリーちゃんからのボイスが入りました。

「まぁちょっとね…」

と誤魔化しながら俺は言うとジ―クさん、基、仮面の騎士は勝ってにイノシシの肉を食っていた。あの仮面顔半分し隠れていないのに、それでバレナイと思っているのが不思議です。

「まぁ、それは置いといてケガしてるなら俺が面倒見てやるよ。」

と肉をうめぇうめぇ、言いながらそう言っていた。

「ここでコイツに迷惑かけるのはよくないだろう?」

いや、迷惑どころかリタイア大チャンスなので喜ばしい事なんですけど?

「そう…ですね、分かりました。ここでリタイアします。ルカ様に会ったらシェリーは無事だと伝えてくださいね。」

「女王騎士になれよ。お前になら任せられるから…な。」

何だこの展開?俺はリタイア出来ない感じの展開になってませんか?これ?
やっべぇ…このままじゃ初めてできそうな尊敬されるフラグが奪われる!というかリタイアできなくなっちゃう!

「じゃあな、お前とアイツにならこの国を任せられるぜ!」

「ちょっと!」


…行っちゃたよ、この国の人何か俺と気が合わない人ばっかりなんだよね…
正直な話さ女王騎士になりたいと思ってる奴等だらけのこの場で気が合う人間なんているわけがないけどさ、それでも悲しい…
それにしてもまたリタイアチャンス逃しちゃった。まあいいや、とりあえずイノシシを食べておこう。

あれ、おかしいなしょっぱいぞ?




Side 狙撃メイド。

私はもう命の終わりを覚悟していた。ルカ様を庇う事ができて私はもう十分だった、けどやはり病気の母の事が気になる

そして私は意識を手放した

「…シェリーちゃん?」

ルカ様でも手も足も出なかった男。ディファイ=R=ボルトがそこにいた。
私は正直この人があまり好きではない。あまり物事に関心のないような顔がその理由の一つだ。

「…う、ううん、ア、ナタはディファイ、さん?」


「動かないほうがいいですよ?」

そう言いながらディファイさんは木でできた水筒から水を渡してきた。その表情はいつもの無関心な顔ではなく、本当に人を心配そうに見ていた。


「どうしてアナタがここに?」

「アナタが上から落ち…降るってきたんですよ。」

そうだった私はルカ様を庇って…ディファイさんが助けてくれた?
いや、この人はルカ様が言うにはカルマさん並に容赦がない人らしいからそんな事をするわけがない。気まぐれで助けたんだろう。

「私、行かなくちゃ…ルカ様が待ってるから…」

私は歩こうとするが足に激痛が走って倒れてしまった。

「傷を見せてください。」

ディファイさんはそう言いながら懐にある緊急医療セットを出していた。どうやらケガを見てくれるようだった。でも私はこの人の事があまり信用できていない。ジェダ様と仲が良いし、実は悪い人ではないか?と前々から疑念に思っていたからだ。

「わ、私はそんなもの別にいりません!!」

と声を荒げてしまった。そんな私の様子を不思議に見ながら、でも顔をみてしっかりディファイさんは

「ケガが化膿して酷くなる前に見せてくれないかな?」

と言った。あまりに真剣な表情に私は少したじろいでしまった。

「で、でも…」

不服そうな表情でいきなり水を傷口にかけられた。

「ん、ぐっ…」

染みた。やはり傷は中々酷いようだった。それはそうだろう、あんなところから落ちたのに生きているのが奇跡なのだから。これぐらいのけがで済んでよかったのだから。
ディファイさんは容赦なく塗りぐすりを塗って包帯を巻いてくれた、どうやら慣れているようですぐ終わった。

その時だった、イノシシの化け物が現れたのは…

「プギャ嗚呼ああぁぁぁぁぁア!!!」

というすごい鳴き声で私の戦意を刈り取っていく。ケガで動けない…、もう終わりだった。せっかく助かった命なのにもうここで潰えてなくなるのかと泣きそうになる。

「俺の力を舐めるなよ!」

とディファイさんは剣を抜いた。何故?私をおとりにしたら逃げ出せるのに…いくらディファイさんでもあんな大きなイノシシに1人で私というお荷物がいて勝てる訳がない。

「GUGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!」

さらにイノシシは興奮したようで後ろ足をけりながら突進するする為に溜めていた。

イノシシはものすごい勢いでディファイさんに飛びかかっていった。
するとディファイさんはしゃがみこんでそれを避けた。
そのままの勢いで岸壁に突っ込むイノシシ、ブレーキがかかる訳でもなく頭から自分の突進を壁に返され、そのままイノシシは絶命した。

「ディファイさん…大丈夫ですか?」

と一応無事かどうか聞いておくと、

「今日の晩飯だね。」
と笑っていた。

この人はレベルが違う…
ルカ様に勝ったのもうなづけるぐらいの強さだ。私を助ける為ではなくイノシシを食べたかったから偶々私は助かったのだろう…

イノシシを食べながら、ディファイさんは私のケガの状態を説明してくれた。

「ここでリタイアして下さい。」

「でも私は!っつ…」

大きな声を出したせいかケガが傷み、足をおさえてしまった。でも私はルカ様を女王騎士にするお手伝いがある。例え命が果てようとも…

「ケガが酷くなって命が無くなったら本末転倒ですよ。リタイアした場合は何とかなるとおもいますしね…」

そう言いながらディファイさんは笑う。受験生が少なくなるから笑っているのかな?
そんな事を考えている私は次のディファイさんの一言で後悔することになる。

「俺も一緒に行くから。それならいいでしょ?」

「え!?でもそんな事をしたらアナタが…」

「“騎士たるもの献身の心を忘るるべからず”それが例え試験でも同じですよ…ルカ君の為だと思えばいいんです…」

ああ…私は何てバカだったのだろう、この人の本質を見もしないで勝手に恨んで…大体私を助けてくれたのは、この人じゃないか…明らかにこの人がいなければ私は死んでいた…それなのに私は何か裏があるのだと勘違いして…
イノシシも私に向かう可能性があったからワザと声をかけて注意を自分にそらしたのなんてすこし考えたら分かったはずだ。

その時だった。仮面の騎士が現れたのは…

どうやら仮面の騎士とディファイさんは知り合いだったようだ。仮面の人は女王騎士らしい。

「ここでコイツに迷惑かけるのはよくないだろう?」

と仮面の人は言ってきた。
確かに…こんな人こそ女王騎士になるにふさわしい人、私のせいでリタイアさせる訳にはいかない。

「そう…ですね、分かりました。ここでリタイアします。ルカ様に会ったらシェリーは無事だと伝えてくださいね。」


私は仮面の人におぶられて、その場を後にした。

「ああ、そうそうその毒薬はさ、実は人間相手だと1週間後にちょっとした麻痺がくるだけなんだ。だから別に解毒薬いらないんだぜ?だから大丈夫だ。」

と仮面の人はそう言いながら笑っていた。私はその声と何故か懐かしく感じる背中に安心したのかそのまま眠りについた。


ルカ様が合格できますようにと願いを込めながら…




---------------------------------


「寝ちまったか?無理もないか…解毒薬に関しては“前回の試験”までならそうだが…今回は集めておいた方がいいかもな…」

仮面の騎士はおぶっているメイドのすやすやとした寝息を聞きながら微笑んでいた。
仮面の騎士は前回の試験の受験者であるから事の多くを知っている。だが今回ばかりは少し様子がおかしい。
そう彼の本能が告げていた。

陛下の失踪後初めての試験

魔黒装

魔黒騎士

それぞれが悪い方向へ向かっている。だからこそ彼は今回のシェリーの事でディファイを信頼した。自分の事よりも相手を尊重できる心を持つ器を持つもの…それは言葉では簡単だが中々できることではないからだ。

(ったく、まさか一発でバレルとはな…)

先程の事を思い出したのか頬笑みは苦笑いへと変化していた。

(まぁエルトの奴も相当育っていたみたいだし…アイツ等が居ればなんとかなるかな。)

そんな事を考えつつ、仮面の騎士は歩いて行くいつの間にやら雨が降ってきた。マントをメイドが濡れないように被せて少し急ぎ足で仮面の騎士は歩いた。

「まぁ、俺が持っているから大丈夫だけどな…シェリー、すまなかったな。もうすぐだから待っててくれよ…」

そう呟いた彼の表情は決意に満ちていた。

~あとがき~

一応言っておきますが、勘違いされるパートは毎回シリアスを入れているつもりです!(キリっ)
どうでもいいことですがね。

ディファイさんはラッキー補正しかかかっていません。結局シェリーさんはルカLOVEのままです。恩はあっても恋になるかは別ものですからね。
さて次からスクエ二板に移動してもよろしいでしょうか?
感想に「まだ早い」とか「いいんじゃね?」とか書いて欲しいです。
まぁ気が向いたらでいいので感想ください。




[18999] ラジオでやってみた
Name: 羽付き羊◆8e2fe20f ID:57d96fca
Date: 2010/07/07 08:52
番外編
ラジオ風ネタシリーズ





「最近知覚過敏になったみたいで歯がすごく痛いんですよ。」

「私、知覚過敏と虫歯の違い分からないんですけど何が違うんですか?」

「虫歯と知覚過敏の痛みの程度はほとんど同じなんです。知覚過敏は歯の表面上には何もなってないのに冷たいものが染みる奴で、虫歯は初期段階は知覚過敏と同じ状態ですけど進行すると温かいものでも痛くなっちゃうんですよ。」

「へぇ~凄いもの知りですね。私見なおしちゃいました!」

「見直すって?僕の事最初にどう思ってたの!?」

「え?ちょっと変な人かな~って…」

「何それ!ショックなんですけどぉぉっぉぉぉぉぉぉお~~~~~~~~~~~~~~~~」

「うるさいですよ。」

「す、すいません………」

ではタイトルコールはいりまーす




「ルカと、」
「シェリーの、」
「「報われない男の情報局~」」


「皆さま、おはちわーす。ルカ役の蔵務 流華です。」

「みなさん、どうも御清聴ありがとうございます。シェリー役の命戸 詩絵里です。」

「さて始まりました。ルカとシェリーの報われない男の情報局、まだ略称は決まってないので略称誰か考えてくださいね。」


「この番組はリスナーの皆さまと一緒に作る番組です。」

「なのでリスナーの皆さまのリアクションが少ないとすぐに終わってしまうかもしれないので本当によろしくお願いします。」


「さてこの番組は何をする番組なのかと言いますと、報われない男の物語の情報をどんどん流しちゃおうという感じの番組です。」

「そうなんですがぶっちゃけそこまで物語の話はありません!普通に申し訳程度ということになりそうですね。」

「そうなんですよね。だから知り合いの人とかに適当に『このwebラジオ面白いよ』って勧めて欲しいですね。」

「そうですね。ところでラジオの最初と言えば司会のあだ名とか決めるんですけど、命戸さんと僕はこの現場意外ではあまり話す機会アロマせんでしたよね?」

「はいアロマせんでした。」

「…噛んだのを突っ込まないで敢えてスル―ですか!?そこはしっかり突っ込んでほしいんですけど!」

「え?噛みました?ゼンゼンワタシワカラナカッタデスヨ。」

「…棒読みですか。」

「ふふふ…まぁ実際この現場以外であまりお話する機会がなかったですよね。初めて会ったのが違う番組のガヤ録りの時でしたよね?」

「そうそう、まぁ休憩時間中に少し喋ったぐらいで、その後少し絡んでって感じですよね?」

「はい。そんな感じであってますよ。」

「そんな2人がこのラジオの司会ですからね…ホントに監督は何を考えているんでしょうね?」

「蔵務さんがすこしMなので、私が選ばれたってディレクターさんに聞きましたけど?」

「ええ!?」

「まぁ二人ともラジオ番組経験したことあるんで別にいいかと思ってて言ってました。」

「監督、それは適当すぎませんかい?」

「蔵務さん話がズレてきてますよ?」

「そうでした、すいません。僕って命戸さんの事を何と呼んだ方がいいんでしょうかね?友達とかには何てあだ名で呼ばれてます?」

「私は、詩絵里とかしえぴょんとかシエーリとかですね…蔵務さんは?」

「僕は流華とかルルンカとかカル―とかですね。」

「…普通ですね。」

「…普通ですよね。」

「じゃあ僕は詩絵里さんって呼ぶことにします。もっとコミニケーションが取れるように!」

「じゃあ私は蔵務さんて呼びますね。」


「アナタ、本当にドォSですね…今までもそんな気はしていましたけどこれで確信しました。」

「まぁ話変えましょう。もう何か面倒ですしね。」

「はい、僕もあきらめました!あの詩絵里さん、僕達もう7話まで一応収録終えているんですけど、現場には慣れてきました?」

「ようやく慣れ始めたかな?って感じですね。結構この報われない男の物語ってベテランさんの声優さんが多いので新人の私は勉強になるんですがついて行くのに精一杯なので…」

「ああ~確かにベテランさん、多いですもんね。イージス役の声優の乙姫 戦さんとかエルト役の朱陣 硬歩静さん、王=道役の 禿野 蔵さん、こうしてさっというだけでも層々たるメンバーですもんね。ボルト役の上鳴さんなんてアドリブ満載で有名ですし。」

「そうなんですよ。しかもそのアドリブが面白いし、監督はすぐ採用しちゃうでしょ?本当に凄いですよね。」

「はは、5話の冒頭なんかアドリブ過ぎでしょう。真剣な顔で言うから笑いを堪えるのが大変でしたもん。」

「私もあんな風になれるように頑張りたいです。」

「できますよ、たぶんリスナーの皆さんもそう思っているはずです。」

「そうですか?それなら嬉しいですね。」

「おおとだいぶ話がそれて時間も少なくなってきたので本題に移りましょうか。」

「はい、という事でこのwebラジオのコーナーのお手紙大募集中です!」

「みんなディファイなんだ!!のコーナーでは皆さんの勘違いエピソードを大募集!僕もこんな事を勘違いされた、人の勘違い話などを送って下さい。」

「騎士道まっしぐら!のコーナーでは皆さんの騎士精神を送ってください。私で言うなら例えば、ショートケーキのイチゴは最後まで取っておくとかの拘りですね。そんな他人にはどうでもいいと思うけど自分は譲れない拘りをどしどし送ってください。」

「ルカ様(シェリーさん)教えて?のコーナーでは僕達がリスナーの皆さまの質問に答えちゃいます。けど答えられいものにはノーコメントですよ。」

「出来る限り答えますが…先の話とか私達が言っちゃうと事務所から怒られるので…」


「この他にも新コーナーの案がたくさんありますが、とりあえずこれでやってみようという感じです。」

「第0回という事でまだ募集をするだけですので今回は短めです。」


「「またね~」」











「“一回だけよ?”このコーナーは毎回リスナーの皆さまの言う事を司会の僕達が一度だけ聞くコーナーです。今回は初回なのでじゃんけんで勝った方が負けた方の言う事を聞くという負けたもん勝ちじゃんけんです。」

「ではさっそくしましょうか、さいしょっから!!」

「私がパーで負けたので流華さんが私のいう事を聞くことになりました。」

「…何故?この人凄すぎ…」

「では…アナタが一番笑えると思う自作の一発芸を教えてください♪」

「ええ!?無茶ぶりすぎ…」

「ではどうぞ!」

「合衆国ニッピョン!!」

ふふふ、噛んでるし…

っはははは
はははは

「ひひひひ…ふふふうっふふ…に、ニッピョン乙。ぶふふふふ…」

「し、死にたい…」





あとがき
因みに声優の名前はネタです。
ネタばらしせずとも意味が分かってくれるとおもっているので敢えて書きませんがイージスは少し捻りました。
因みに分かる方は分かるかもしれませんが最後のネタは僕が今まで聞いたラジオ番組の中で一番好きなラジオ番組です。




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