◇第18回◇
マスコミについて
現代社会で、マスコミは大変重要な役割を果たしており、マスコミなくして我々の生活は考えられない。
それだけに社会に及ぼす影響も大きく、その功罪は無視できない。
商業主義的マスコミと言えど、公器としての自覚と責任が求められる。
よくマスコミの偏向報道が話題になるが、それは あくまで個人間の話題に止まり、それ以上のものには発展しない。
なぜなら、どんなにマスコミを批判してみても、それをマスコミがとり上げないのだから、どうしようもない。
ペンは剣よりも強しという諺があるが、現代社会では、ペンは剣とは比較にならない程強くなっている。
剣(軍事力、我が国では自衛隊)の行き過ぎについては、すぐマスコミがとり上げるので、シビリアンコントロールができるが、ペン(マスコミ)の暴走には、誰も歯止めをかけられない。
国会でマスコミ批判をしようものなら、すぐマスコミに叩かれ、選挙の票に影響する。
政治の世界では党派を問わず、マスコミには随分神経を使っているようだ。
マスコミによって、政治が左右されると言っても過言ではない。
マスコミが、その気になれば、政権を倒すことだってできるだろう。
森前総理を辞任に追い込んだのは、マスコミによるところが大きかったことは事実だ。
マスコミの一部には、自分たちが与論を代表しているという、とんでもない思い上がりをしている面がある。
マスコミが行う世論調査も、私は、頭からは信用しないことにしている。
質問の仕方によって、答えは変るからだ。
例えば、「景気は一向に回復しそうにないが、今の政権を支持しますか」と、問えば不支持が多くなるだろうし、「不景気の中で景気回復に取り組んでいる今の政権を支持しますか」と、問えば支持が多くなるだろう。
また、マスコミが、その前に政権を評価する報道をした場合と批判した場合とでは、世論調査の結果は大きく違ってくるからだ。
このようにマスコミは、世論を操作したり、世論を作り上げることさえできるのである。
ということは、一歩間違えば、極めて危険な一面を持っているということだ。
日本が戦前、軍国主義の道を歩み、太平洋戦争を引き起こした事情を考えると、当時の新聞やラジオ等のマスコミが果たした責任は、非常に大きいと言わなければならない。
民放の報道ワイド番組等の中には、偏向した報道も多々あるし、ニュースキャスターと称する者の中には、程度が低く内容が幼稚であったり、単に大衆迎合的であったり、独善的に決めつける者も少なくない。
私は、特に民放のニュースワイド番組を見る時は、その番組の特質、とりわけニュースキャスターの偏向度合いや質の程度を予め念頭にいれて、色眼鏡をかけて見ることにしている。
もう少し レベルの高いキャスターに変えてもらいたいと思うことも しばしばある。
ニュースや報道番組では、事件や事実を有りのまま客観的に報道し、その評価や判断は読者や視聴者に任せるべきだと思う。
同じマスコミでも、活字の新聞と民放テレビでは、少し様相が違うように思う。
新聞では、社の意見や主張のためには社説があるし、ニュース報道の面でも、民放に比べると客観性があるように思う。
マスコミの取材の仕方にも、目にあまることがある。
例えば、1991年雲仙普賢岳で火砕流が発生した時、付近住民が避難して留守になった家に、取材記者の連中が、無断で、しかも土足で上がり込み、夫々の本社に記事を送るため 電話をかけまくったという記事が、小さな地方紙の片隅に掲載されていた。
これでは、まるで火事場泥棒で住居不法侵入、窃盗もいいところではないか。
勿論、こんなマスコミ自らの不祥事を、普通の新聞は報道しない。
他人の事を考えない、傍若無人な振る舞いは、マスコミ取材の特徴と言える。
あまりにもひどい取材に、少し注意でもしようものなら、「報道の自由、国民の知る権利を妨害するのか……」とくる。
自分達を、一体何様だと思っているのだろうか。
マスコミによって人権を侵害された人も多い。
インタビューを受けた人が、後でテレビを見てみたら、自分が話した内容が、マスコミに都合がいいように編集され、自分の意図とは全く違ったものとして放送された、と言って憤慨していた人がいた。
10月22日、アフガニスタンで、入国ビザを持たない日本人ジャーナリストが、密入国者としてタリバン政権に拘束された。
ビザを持たない入国は、明らかに密入国、不法行為なのに、本人には、マスコミだから少々のことは許されるという、思い上がった気持ちがあったのではないか。
マスコミの体質がもたらした不幸な事件だと思う。
また、ヤラセ番組や、ヤラセ報道にもひどいものがある。
やらせ行為が表面化して、事件として報道されたケースも過去に何件かあるが、それは氷山の一角に過ぎない。
表面化せず事件にならないヤラセ番組や報道は、実はもっと多いのである。
大手マスコミ各社は、下請け記者も使っているので、程度が低いのはその連中だという話もあるが、取材記者のモラルアップも是非図って貰いたいものだ。
また、特に民放番組の中には、低俗な番組や青少年に悪影響を与える番組もあり、これを規制しようとする動きに対しては、報道の自由を侵害するものだとして、マスコミ各社は 揃って猛反対をする。
政府が一方的に規制するのでなく、国民から選ばれた有識者で構成する審査委員会でも作って 不良番組を規制するようにすれば、報道の自由を侵害することにはならないはずだ。
しかし、マスコミ各社は、このような動きにも、不適当なものは自ら是正するとして 反対しているが、一向に改善される気配はない。
憲法で保障されている言論や表現の自由といえども、無制限に許されるものではない。
民放各社は、社会に与える影響も十分考え、視聴率至上主義に走ることなく、健全な番組作りに もっと力を入れて貰いたいものだ。
マスコミは、現代社会にとって まさに不可欠な存在であるだけに、社会に与える影響もまた極めて大きい。
常に天下の公器としての責任と自覚を持って、在るべき報道を目ざしてもらいたい。(2001.11.15)
次回は〔第19回〕
「御伽噺(おとぎ話)や童謡について」(2001.12.01)
【出来事】
- 11月3日 与党3幹事長パキスタン ムシャラフ大統領と会談(自衛隊派遣問題について)
- 11月4日(現地時間) アメリカプロ野球ワールドシリーズ ダイヤモンドバックス優勝
(対ヤンキース戦4勝3敗)
- 11月5日 小泉首相ASEANプラス3で日中韓三国首脳会談(於ブルネイ)
- 11月10日(現地時間) 中国、台湾WTO加盟承認(世界貿易機関閣僚会議 於カタール)
- 11月11日 大相撲九州場所初日
- 11月12日 ニューヨークで飛行機墜落事故(アメリカン航空A300型機 乗員乗客260人)
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