民主代表選:菅直人氏を選出 291票を獲得

2010年6月4日 12時20分 更新:6月4日 13時14分

民主党代表に選出され拳を突き上げる菅直人氏=国会内で2010年6月4日午後0時28分、森田剛史撮影
民主党代表に選出され拳を突き上げる菅直人氏=国会内で2010年6月4日午後0時28分、森田剛史撮影

 鳩山由紀夫首相の退陣に伴う民主党代表選が4日告示され、菅直人副総理兼財務相(63)と樽床伸二衆院環境委員長(50)の2人が立候補を届け出た。衆参の国会議員423人(衆院307人、参院116人)による投票(投票総数422人)の結果、菅氏が知名度の高さや参院選に向けた即戦力として幅広い支持を集め、291票を獲得し新代表に選出された。樽床氏は129票だった。午後には衆参両院で首相指名選挙が行われ、菅氏が第94代首相に指名される見通し。菅氏は、仙谷由人国家戦略担当相の官房長官への起用を検討しているほか、枝野幸男行政刷新担当相を幹事長で処遇する方針。

 新代表に選ばれた菅氏は「代表の役割は、首相としてこの国を立て直すと同時に、全員参加の党にしていくことだ。鳩山首相の思いを参院選勝利の中で実現できる本格政権を築きたい」と抱負を語った。

 菅氏は代表選出後、国会内の民主党代表室に仙谷、枝野両氏を呼び、政府・党人事や組閣の進め方を協議した。松野頼久、松井孝治両官房副長官、荒井聡首相補佐官、加藤公一副法相、寺田学、本多平直両衆院議員も同席した。

 両陣営は午前9時過ぎ、立候補受け付けを済ませた。代表選は午前11時に始まり、抽選により樽床氏、菅氏の順で政策を訴える演説を行った。樽床氏は「民主党は今危機の中にある。ピンチをチャンスに変える最大の手段が一つになることだ。バラバラでどうするのか。好きだ嫌いだはどうでもいい」と述べた。菅氏は「まずやるべきは国民の信頼を回復することだ。政治とカネの問題は全議員が襟を正さねばならない」と強調。「みんなが参加できる民主党にする。そのために政調を復活させたい」と語り、小沢一郎前幹事長が廃止した政策調査会を復活させることを表明、小沢氏主導の党運営からの脱却を鮮明にした。その後、投票権を持つ衆参国会議員の投票により、菅氏が新代表に選出された。任期は鳩山首相の残存期間の9月末まで。

 菅氏は、小沢氏に近いグループを除く党内各グループが支持を表明し、知名度の高さから参院にも支持を広げた。代表就任に当たって、鳩山首相と小沢氏による「小鳩体制」からの転換を印象付けるため、主要人事で「非小沢」系の議員を積極的に起用する方針だ。

 菅氏は午前9時から国会内で開かれた出陣式に出席。「参院選で『民主党に任せよう』という結果を実現するため、その先頭に立たせてもらいたい」と支持を訴えた。出陣式は、小沢氏と距離を置く前原誠司国土交通相や玄葉光一郎衆院財務金融委員長など中堅議員8人が呼びかけた。小沢氏の影響力が強いとされる当選1回の衆院議員約45人が参加し、支持の広がりを印象付けた。【竹島一登】

 ◆菅直人氏経歴 東工大理学部卒業後、市民運動に参加し、参院選で故市川房枝氏の選対事務長を務めたことが、政界入りのきっかけに。80年に衆院初当選。社会民主連合(旧社会市民連合)を経て、新党さきがけに入党。自社さ政権の橋本内閣で厚相を務め、薬害エイズ問題追及で注目を集めた。96年に鳩山由紀夫首相とともに旧民主党を結成。98年の民主党発足で初代代表に就任。02年に2度目の代表に就き、03年に自由党党首だった小沢一郎前幹事長と民由合併にこぎつけた。衆院東京18区。当選10回。山口県宇部市出身。63歳。

top
文字サイズ変更
この記事を印刷

PR情報

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド