観光庁、訪日医療観光の推進 病院・開業医受け入れ体制強化

2010.7.27 05:00

研究会で、訪日医療観光に力を入れていくと、発言する溝畑宏観光庁長官(中央)=26日、東京・霞が関

研究会で、訪日医療観光に力を入れていくと、発言する溝畑宏観光庁長官(中央)=26日、東京・霞が関【拡大】

 観光庁は26日、日本で医療サービスを受けるために訪れる外国人を増やすため、受け入れに意欲的な国内の医療機関や個人の開業医を対象に、支援を強化する方針を明らかにした。技術が高度で、価格競争力のある医療分野のほか、通訳を必要とせずに意思疎通が図れる医療サービスに関する情報を海外に向けて発信していき、訪日外国人の増加につなげるのが狙いだ。

 観光庁は、アジアなどの富裕層を対象に日本の医療機関を紹介するとともに、観光スポットについてもPRしていく考えだ。具体的には、海外で現地の旅行代理店と日本の医療機関による商談の場を設定、現地のニーズに適した医療サービスと観光をセットにして提案できる態勢の構築に取り組む。今年度は、先行事例の収集や市場調査、情報交換の場づくりなどに取り組む方針だ。

 「(医療と観光を掛け合わせた)医療観光はアジアでは大きな市場になっている。成長分野である医療と観光が連携をとってマーケットを拡大していくことは、まさに成長戦略の重要な柱だ」。観光庁の溝畑宏長官はこの日開かれた研究会で、医療観光に寄せる期待を、こうを語った。

 政府は新成長戦略で、2020年に医療観光分野で、アジアトップ水準の評価と地位を獲得する目標を掲げている。タイは既に約140万人の患者を受け入れ、市場規模は08年に約1920億円になっているという。

 同庁は、19年の訪日医療観光客数の目安を111万人と想定している。この日同庁で開かれた研究会では、旅行業関係者から「現在受け入れているのは大手だけで年間100人程度。実現はほど遠い」と政府の安易な見通しを批判する場面もあった。

 研究会ではこのほかに、「プロモーションを効果的に行うため、海外の富裕層が医療観光についてどのように情報収集しているのか分析する必要がある」との指摘も出た。

 旅行会社を想定したコーディネーターの育成や医療の専門用語を操る通訳の確保といった課題も洗い出された。(米沢文)

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