民主代表選:菅氏、衆参同日選を否定 出馬表明会見で

2010年6月3日 21時41分 更新:6月3日 23時21分

民主党代表選への出馬について会見する菅直人副総理兼財務相=東京都千代田区の民主党本部で2010年6月3日午後7時34分、森田剛史撮影
民主党代表選への出馬について会見する菅直人副総理兼財務相=東京都千代田区の民主党本部で2010年6月3日午後7時34分、森田剛史撮影

 菅直人副総理兼財務相が3日、民主党本部で行った出馬表明会見の要旨は次の通り。

 鳩山由紀夫首相は自ら辞任し、政治とカネの問題で同じように国民から不信を招いている幹事長にも辞任してもらう形で、新しい民主党への扉を開いていただいた。私にとって鳩山首相は、よきライバルであり盟友だった。これぞ本来の民主党と言えるような民主党を作らなければならない。国民が民主党に託した日本の再生というたいまつを引き継いで実現につなげていくため出馬したい。20年にもわたる閉塞(へいそく)感を打ち破る改革に本格的な歩みを進めるときだ。

 --首相になったら日米、日中関係はどう取り組みたいか。

 日本外交の基軸が日米関係にある大原則はその通りだ。米国との信頼関係をしっかり維持しながら、アジアの中で最も日本との関連も深い中国との関係も同様に重要視していく。

 --昨年の衆院選マニフェストで修正すべき点は。

 リーマン・ショックがあり、税収が大きく下がった。思ったほどのスピードで実現できなかった。これからも制度変更や、組織変更などを伴う努力を行う。

 --小沢一郎前民主党幹事長とは代表選に絡んで話はできたか。小沢さんに近い人たちを党役員、主要閣僚に起用する考えは。

 小沢氏は、03年に私が代表のときに自由党党首で、話し合って民由合併を決めた。そのことが民主党をより強くし、政権交代にまでつなげていく大きな力になった。今回、私が立候補の決意を固めて、小沢氏には、昨日の段階、今日の段階でも、ごあいさつにうかがいたいと申し上げているが、まだ小沢氏の方から、いつであればいいという連絡をいただけていない。

 --小沢さんを要職に起用するかどうかは。

 鳩山首相は、政治とカネの問題で自らの問題もあって辞任する。同時に小沢氏についても問題があったので、話し合って辞任することになったと話をされていた。鳩山代表の思いを大事にしなければならない。昨日、鳩山首相の辞意表明があったから、小沢氏についても国民の不信を招いたことについて、少なくともしばらくは静かにしていただいたほうが、ご本人にとっても、民主党にとっても、日本の政治にとっても、いいのではないかと考えている。

 --組閣の方針は。

 福島瑞穂社民党党首が閣外に去られて事実上の空席になっている仕事もある。参院選が間近だとか、いくつかの制約を念頭に置きながら国民から期待されるような内閣を作っていきたい。

 --財政健全化、消費税を含んだ税制抜本改革については。

 小泉、竹中時代にデフレ政策をどんどんやり、リストラが進んだ。私は雇用、仕事を生み出し、そこから成長していく。社会保障、特に介護、保育は成長分野だ。方向性を間違わなければ、日本経済は立て直していく。財政健全化も大変な課題だが、少なくとも無限に借金が増えるような方向性をただしていくことができると思う。

 --自民党政権で首相が辞めたとき、野党時代の民主党は「国民に信を問うべきだ」と批判した。早期に衆院解散する考えはあるか。

 首相が代わったときにある段階で信を問うことは一つの考え方だが、まだ民主党政権はスタートを切ったばかりだ。どの程度の時期になるかまでは申し上げにくいが、少なくとも例えばもう一度予算を組むとか、いくつかの政策を実行するとか、そういうことまではしっかりとやっていっても、国民に理解してもらえるのではないか。参院選もある。大変、厳しい状況にあったから、こうした新しい状況でも楽観できると思わないが、少なくとも新たな首相が選ばれたとき、その首相のもとで戦われる参院選も国民の政権に対する一つの審判だから、それも踏まえて、先ほど申し上げたことも踏まえて、その段階で考えていきたい。

 ◇菅直人氏(63)

 東京工業大を卒業後、市民運動に参加し、市川房枝氏を参院選に担ぎ出した。80年に衆院初当選し10期目。さきがけの政調会長などを経て、橋本内閣で厚相を務め、薬害エイズ問題追及で国民的な人気を得た。

 鳩山由紀夫首相とともに96年に旧民主党を結党。98年の民主党発足時に代表に就任した「創業者」の一人。その後、代表を鳩山氏に譲ったが02年に返り咲き、03年には当時自由党党首だった小沢一郎前幹事長と民由合併にこぎつけた。04年には年金未加入問題で代表辞任に追い込まれ、今回代表に選ばれれば3度目。小沢代表時代には代表代行として小沢氏を支え、鳩山氏とともに「トロイカ」の一角を形成した。

 鳩山政権では副総理として国家戦略担当相と財務相に就いた。しかし、小沢氏の政治資金規正法を巡る問題では批判を控え、「次期首相」の座を意識して慎重に振る舞ったとみられている。

 地元(東京18区)での活動を妻、伸子氏に任せており頭が上がらない。趣味は囲碁だが、小沢氏より弱いと自認している。【須藤孝】

top
文字サイズ変更
この記事を印刷

PR情報

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド