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一方、会計士の質をどう向上させるかの議論は迷走している。企業の不正決算では会計士が虚偽の監査証明を出す例が相次いでいる。06年の試験改革では「監査の質的向上」も目標にしたが、その後も会計士が不正決算を見過ごす例が後を絶たない。
会計士協会は「資格を取りやすくすれば、質の低下につながりかねず、合格者数を減らすべきだ」と主張する。一方、金融庁は「会計士へのニーズは今後も大きい。質の問題は別の方法で解決すべきだ」という姿勢で、資格取得後の研修を受けなければ資格を一時無効にする対策などを提案する。だが、今のところ具体策はまとまっていない。
会計士を目指す都内の私立大4年生(21)は「試験の制度を変えるだけでは解決にならない。社会や企業から評価され、信頼される資格になるために必要な見直しをしてほしい」という。(津阪直樹)