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北朝鮮、核爆弾の小型化狙う? 核融合技術の転用で

2010年8月1日17時36分

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 【ソウル=牧野愛博】北朝鮮が最近、「新たに発展した方法による核抑止力の強化」への言及を始めた。韓国政府は「核爆弾の小型化」か「高濃縮ウランによる核開発」を指している可能性があると分析。北朝鮮が5月に主張した「核融合反応の成功」も、この技術を小型化に生かす動きの一つとみられる。

 朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省報道官は6月28日に「新方法での強化」に初めて言及。同省の李東一・軍縮課長も7月25日、「我々は核抑止力をさらに様々な形で発展的に強化していく」と主張した。

 北朝鮮は過去2回、核実験を実施し、プルトニウム型の核爆弾を数発以上保有しているとされる。現在は、弾道ミサイルへの搭載を狙った小型化や、国際社会による監視が難しいウラン型核開発を目指しているとみられる。

 こうしたなか、北朝鮮は5月に「核融合反応に成功した」と発表。専門家はその意図を巡り、「核融合反応を利用して原爆の爆発力を飛躍的に高め、大幅な小型化を目指している」と指摘する。

 核融合反応利用すれば、効率的な核分裂反応を起こすことが可能。核爆弾1発に必要なプルトニウムの量を節約し、爆弾の数を増やすことも可能になるという。

 軍事筋によると、北朝鮮の技術力は「長崎型原爆を開発できる程度」という。この原爆の重量は5トン近く。ミサイルに搭載し、飛距離を延ばすためには長距離のテポドンで約1トン以下、中距離のノドンで約800キロ以下にそれぞれ小型化する必要がある。

 韓国軍の情報当局者は6月25日、北朝鮮が核爆弾の小型化に成功する可能性について「遠くない時期に可能とみている」と答弁した。ただ、核融合反応のためには高い技術力が必要だ。

 また外交筋によると、北朝鮮が5月に核融合反応実験を中国に事前通報した際、中国側は激しく反発したという。「新方法による核抑止力の強化」を推進すれば、日米韓に加え中国との関係悪化も避けられない。韓国の専門家からは「各国を攪乱(かくらん)する外交戦術に過ぎないのではないか」との指摘も出ている。

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