ここから本文エリア 「はやぶさプラモ」大人気 葵区の制作会社、賭け実る2010年8月1日
たび重なるトラブルを乗り越え、打ち上げから7年をかけて地球へ帰還した小惑星探査機「はやぶさ」のプラモデルが人気を集めている。初回の販売は数日で完売。通常のヒット商品の4、5倍という売り上げをみせている。制作元の青島文化教材社(静岡市葵区)は「はやぶさが奇跡的に帰還してくれたおかげ」とほくほく顔だ。 生産を思いついたのは、昨年11月。「手に入らなくてロマンがあるメカはないか」と、企画開発部の長谷川健さん(37)が思案していたところ、インターネットの動画サイトではやぶさを応援する映像を見たのがきっかけだった。日本の技術で作られ、町工場の職人の手によるパーツが使われているはやぶさに心を揺さぶられた。 案を持ちかけると、周囲は「はやぶさって何?」「地球に帰ってくるかもわからない。やめたほうがいい」と冷たい反応だった。エンジンが壊れて絶望視された帰還の可能性は残っていたものの、本当に帰還できなければ製品は売れないかもしれない。だが、「はやぶさに賭けてみよう」。12月、プラモデルの生産が決まった。 長谷川さんは、神奈川県相模原市にある宇宙航空研究開発機構(JAXA)の施設にはやぶさの原寸大のモデルを取材。よりリアルなものにこだわった。プラモデルファンではない人でも作れるようにパーツは通常の半分の25点にした。老若男女に買ってもらいやすくするため、3千円ほどの価格帯が常識とされる値段も2千円に設定した。 ただ、帰還前に発売するには、時間がなかった。プラモデルの商品化には、設計やプラスチックを流し込む型の作成で1年ほどかかる。急いで設計を進め、型の作成も急ピッチで行った。長谷川さんは「うちの会社では快挙に近いスピードで作った」と振り返る。半年の制作期間で6月4日に発売した。はやぶさが帰還する9日前だった。 その帰還日、長谷川さんはインターネットの中継に目を凝らした。「奇跡的だった。よくやった」。日本中がはやぶさの快挙にわき、プラモデルも飛ぶように売れていった。初回の製造分はあっという間に売り切れ、現在は3回目の製造に入っている。 好調な売れ行きから、同社は宇宙で活躍する国産機器のプラモデルをシリーズ化することにした。長谷川さんは「はやぶさにもらった流れに乗って今後も作っていきたい」と意気込んでいる。 サイズは実物の32分の1。パラボラアンテナやソーラーパネルには、細かく網目が刻まれている。慣れていれば4日ほどで完成するという。問い合わせは同社(054・263・2461)へ。(阿部朋美)
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