[PR]
ニュース:生活 RSS feed
【社会部オンデマンド】エレベーターの「2012年問題」って? 数万台が数年で部品切れへ (3/3ページ)
このニュースのトピックス:社会部オンデマンド
エレベーターは、何年くらいで更新すべきなのか。税務上の法定償却耐用年数は17年だが、物理的な耐用年数に決まりはない。
各メーカーは「20〜25年」を目安に掲げており、国交省が20年に策定したマンション長期修繕計画のガイドラインも、おおよその目安として「30年」を示す。実際にはそれ以上の間、安全に稼働しているケースも多く、一概にはいえないようだ。
メーカー系より安い保守代金でシェアを伸ばし、部品の融通などでメーカー系との“不仲”がいわれる独立系保守業者は、どう見ているのか。業界団体「エレベーター保守事業協同組合」は「30年も部品を持ち続けるのは難しい。やむを得ない判断だ」と、供給停止に理解を示す。
一方、マンション管理組合を支援するNPO法人「マンションオーナーズコミュニティー」の吉沢康博事務局長(51)は、30〜35年を目安とする。「30年たてば給排水管など、ほかの大規模修繕の時期にも重なる。今後何年住み続けるのかを考える必要もある。低層なら更新をあきらめるのも一つの考え方。メーカー側と交渉するにも、最も重要なのは住民の合意形成と団結だ」と話す。
昭和40、50年代に急激に増加したマンションが築30年以上を迎え、老朽化や耐震性などが問題化している。エレベーターの部品供給停止は、そうした住宅問題の一側面でもある。
「今回は対象外の機種でも、中古の再生品でしか部品を調達できなくなりつつある。他の機種でも供給停止になるのは時間の問題だろう」。ある業界関係者はそう指摘している。(千葉倫之)【社会部オンデマンド】疑問・質問はこちら