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ネズミザメの心臓は人気の食材2008年10月15日 気仙沼市魚市場に隣接する「海の市」は、市内有数の観光スポット。水揚げされたばかりの魚介や水産物加工品を直売し、大勢の買い物客でにぎわう。カツオ、マグロ、ホタテ、カキ……。その中に握り拳ほどの大きさの真っ赤な肉塊が並び、誰もが「何だろう」と足を止める。 モウカのホシ。ネズミザメの心臓だ。気仙沼地方でネズミザメをモウカザメ、魚の心臓をホシと呼ぶ。薄くスライスし、酢みそで食べる。生臭さはなく、コリコリした歯ごたえが地元では人気の食材だ。 同魚市場に水揚げされるサメ類は年間1万5千トン前後で、国内総水揚げ量の9割を占める。うち3500トンほどがネズミザメ。ヨシキリザメなど他のサメが洋上で頭を切り落とされるのと違って丸ごと水揚げされ、その場で内臓を抜いた血まみれのまま入札される。新鮮さを見る昔からの習慣だ。 もともとサメははえ縄漁の副産物。マグロ類に交じって漁獲されていたが、値段がよくなるにつれ専門に狙う漁船が増えた。魚肉ははんぺんや蒲鉾(かまぼこ)材料のほか、山陰や長野、群馬の山間部で刺し身として喜ばれる。多く含まれるアンモニアが鮮度を保つからだ。 軟骨魚のサメ類には硬骨魚がもつ浮袋がなく、海面から深海まで猛スピードで泳ぎ回ることができる。魚体の比重を軽くし、海水の浸透圧を調整するのがアンモニアだという。 サメの最大の恩恵はフカヒレ。高級中国料理に欠かせない食材で、江戸時代から干しナマコ、干しアワビと並ぶ「俵物三品」として中国への重要な輸出品だ。市内には14の加工業者があり、姿煮、ラーメン、スープなどを全国に販売。フカヒレをずらりと並べての天日乾燥は冬場の風物詩だ。 地元での利用がいまひとつだったサメ肉が、近年は酢豚風やソテーが学校給食のメニューになった。今春、市民向けの「ふか肉料理レシピ集」が発刊され、黒酢だんご、メンチカツ、水餃子(すいぎょうざ)など和洋中25もの料理を紹介。それらを提供する店も増えている。サメのコラーゲンやコンドロイチンを使った健康食品の人気も高まってきた。
マイタウン宮城
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