商船三井タンカーにへこみ、米「攻撃情報ない」
オマーン領海内のホルムズ海峡で28日、商船三井が運航する大型原油タンカー「M・STAR」(全長333メートル、16万トン)が航行中、爆発とみられるトラブルで船体が損傷した事故で、船体の右舷後部に大きなへこみができていることがわかった。
同社などによると、タンカーは原油約27万トンを積載しているが、船体からの原油漏れなどはない。自力航行は可能だが、船体の安全性が確認できるまでは、途中寄港したアラブ首長国連邦(UAE)で停泊を続けるとしている。
タンカーは船体の損傷を調べるため、28日午後6時40分(日本時間午後11時40分)頃、UAEのフジャイラ港に到着。船体右舷後部を調べたところ、甲板下部より下の喫水線近くの船体が、大きく四角状にへこんでいた。同社では寄港地に技術者らを派遣して、最終目的地の千葉港まで運航が可能か、船体などの詳しい調査を行うとしている。
同社によると、爆発は右舷後部の甲板上で発生。居住区内のドアや窓ガラスなどが吹き飛ばされ、1人が軽傷を負った。また、甲板上にあった乗組員用の救命艇が衝撃で海中に落ちたという。爆発の直前には、乗組員が洋上で光を目撃しており、同社では携行型のロケット砲などの火器類を使った「外部からの攻撃が原因」としている。
火器類に詳しい海上自衛隊幹部は、タンカーの船体は携行型のロケット砲程度の火器類でも命中すれば穴が開く可能性が高いとして、「船体のへこんだ部位は何かが接触してできた損傷」と指摘。甲板上の救命艇が海中に落ちた際にできた可能性に言及した。海上保安庁関係者は、へこみが喫水線より上にあることから、「位置が高く、他の船舶が誤って衝突した可能性は低い」としている。
ホルムズ海峡の周辺海域では、海賊被害の報告はほとんどない。一部の現地メディアなどは、船体の損傷は「高波が原因」と報じたが、同社は「高波でできたとは考えにくい」としている。
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【ワシントン=本間圭一】クローリー米国務次官補(広報担当)は28日の記者会見で、原油タンカー「M・STAR」の右舷後部がホルムズ海峡を航行中に爆発したとされることについて、「現時点でタンカーが攻撃されたことを示す情報はない」と語った。次官補は、「事故以外(の要因)を示す情報はない」とも述べた。
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