スーダンの「復興バブル」の背景でからみ合う豊富な資源をめぐる思惑を追いました。
スーダンは今、内戦の終えんを受け、一部地域では、「復興バブル」ともいえる現象が生じています。その背景でからみ合う豊富な資源をめぐる思惑を追いました。
アフリカ最大の国・スーダン。
独立以来、内戦に明け暮れてきたこの国には、今、大きな変化が押し寄せている。
豊富な資源を背景に、空前の復興バブルに沸くスーダンの今を追った。
日本の面積のおよそ7倍のスーダン、取材班がその南部を訪れた。
北部アラブ系とは文化や民族的背景が違う南部では、過去20年以上にわたる南北間の内戦で、住民400万人以上が難民化した。
元難民は「内線の時は生活が大変でした」と話した。
5年前の内戦終結とともに、難民らは故郷に戻ったが、荒廃した国土での生活は、まだまだ再建の途上にある。
その一方、南部10州の中心地ジュバ周辺の道路では、大規模な道路拡張工事が進行している。
ジュバ市内ではこれと並行し、建設ラッシュが進んでいる。
急速な開発の一方で、まだ伝統的生活が色濃く残るジュバ。
しかし、街中には次々と新しいものが登場している。
食料品から生活雑貨まで、あらゆるものがそろうというインド人が経営するスーパーマーケット。
イスラム法が適用されている北部では手に入れることができないアルコール類も豊富に取りそろえている。
日本酒も置かれており、日本円で2,500円ほどとなっている。
電化製品は、ほぼすべてが日本のメーカーのもので、こうした商品も、高性能モデルがそろえられている。
すべてが輸入品だが、品数は豊富。
地元の市場に比べ、決して安くはないが、客足は引きも切らない。
利用者は「建設会社に勤めています。空港で働いているんです」と話した。
そして、ジュバの街中では、最近、中華レストランの看板も見られるようになった。
この中華レストランのオーナーは、インド人。
インド人実業家のクベール氏は「彼はリーです。ここの料理長ですよ」と話した。
「料理は本場だ」と胸を張るインド人オーナー。
店は平日にもかかわらず、外国人客を中心になかなかの繁盛ぶりを見せていた。
客の中には、国会議員の姿もあった。
国会議員は「国会議員ですから、公務員ということになりますね」、「南スーダンは2011年までにすべてが成長していきますよ。その秘密を教えましょう。法律がまだ厳しくないんです」と話した。
南部は半年後の住民投票で、現在のスーダンから独立の意思を示すことが確実視されており、将来、新国家が誕生するとみられている。
法整備も途上にあり、内戦で破壊が進んだこの地域で、ビジネス上、一体どんなメリットがあるのかについて、インド人実業家のクベール氏は「ご存じのようにスーダンの主な資源は石油です。多くの海外からの投資が来るようになりますよ」と話した。
現在、スーダンは有望な産油国として知られ、1970年代には南部でも油田開発が相次いだ。
しかし、内戦の長期化で、南部の石油開発は停滞した。
実は今、その開発が再び始まっているとされ、市内で進む復興、インフラ整備などは、将来の石油ビジネスの環境整備をにらんだものだという。
ジュバは今、ちょっとしたホテルの建設ブームを迎えている。
つい4年前、内戦終結直後のジュバには、宿泊施設さえなく、訪れた外国人は、テントに1泊1万円以上払い、宿泊していたという。
しかし今、市内のホテルでは、シャワーと冷房つきが標準となっている。
新しいホテルのオーナーは「今は復興に向かっていろいろな投資家たちが来ているよ」と話した。
内戦からの復興と、その裏で高まる石油への思惑。
スーダン南部は今、世界中から人やもの、そして金が集まり、過熱している。
(07/31 01:20)