(第24回)2003〜04年の空前規模の為替介入(2) - 10/07/26 | 12:20 |
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介入の効果と国際的な批判
日本のこのような動きに対して、アメリカ政府は目立った批判はしなかった。これは、介入によるドル資金がアメリカ国債の購入にあてられたことによる。イラク戦争に突入していたアメリカにとって、双子の赤字がファイナンスされて金利上昇が抑えられるのは、都合がよかったのだ。市場関係者の間では、アメリカ通貨当局は日本の介入政策を容認していると見られていた。
ドル買い介入の結果、04年には1ドル=110円台まで円安が進み、05年秋には120円に迫る円安が生じ
た。
自動車、電機などの大手輸出企業は1ドル=105円程度を想定していたので、これだけ円安が進めば利益が急増する。こうして日経平均株価は、04年3月初めに1年9カ月ぶりに1万1500円を突破した。
GDP(国内総生産)の成長率も高まった。03年10〜12月期における実質GDPの成長率(季節調整後)は、年率5・7%という高い値になった。04年1〜3月期の成長率も4・7%になった。これは、実質輸出の成長率が03年7〜9月期から4期連続で2ケタの値になったことの影響が大きい。アメリカでの販売増を中心に、トヨタ自動車の業績が急伸した。03年度(03年4月1日〜04年3月31日)の売上高は17兆円を超え、純利益が1兆円を超えた。こうして、経済の持ち直しが鮮明になったのである。
この状況を見て、「日本経済も、やっと長いトンネルから抜け出た」と感じた人が多かった。新聞や雑誌の論調も、ほとんどがそうしたトーンのものだった。
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