1話
とある事情から、管理局から逃げ続けている青年がいた。そして彼は今、管理局からの『追っ手』により生命的に危機に晒されていた。
青年が管理局に居た頃に持っていた魔導師ランクはAA。そして管理局からの『追っ手』の魔導師ランクはA。魔導師ランクの差とはたった一つの差でさえも大きく戦力が変わるものなのだが、青年は追っ手を倒すことも出来ず、むしろ戦況的には押されていた。
その原因は管理局から逃げ続ける毎日から来る、極度の疲労と睡眠不足のためだ。
今では、青年のバリアジャケットは所々が破損し、青年自身も小さな傷をいくつも負っていた。
最初に傷を負った時、一瞬追っ手が使う魔法が殺傷設定になってることに驚いたが、良く考えれば追っ手は管理局の『闇』から差し向けられている人間であることを思い出し、殺しに来ているのだから当然だということに気付いた。
カートリッジの残り個数も少ない現状でカートリッジ使用をためらっていた青年だったが、このまま戦闘を続けていると応援が来てしまう可能性もある。それに一対一のこの状況ですら負けそうになっているのである。
ここは早急に方を付けなければならないと考え、勝負に出た。
「シュタール!カートリッジロード!」
≪explosion!!≫
青年が青年の持つ西洋剣型のデバイスに呼びかけカートリッジを排出する。
そして足元に三角形の―ベルカ式―魔法陣が浮かび上がる
「ドンナー・シュラーク!!」
青年が最も信用する攻撃魔法により剣に雷を纏わせ『追っ手』に接近し、剣を振り下ろす。
急な接近に『追っ手』は反応できなかったが、デバイスのオートガードが起動した。
だが、いくら疲労が大きく、傷を負っているとはいえ、かつて管理局でエースと呼ばれていた彼の攻撃をデバイスのオートガードだけで防ぎきれるわけも無く、一瞬の抵抗の後、ガラスのように砕け散った。
その剣はそのまま『追っ手』を頭から一刀両断し「グチャアッッ!」と耳にもしたくないような異音と共に『追っ手』を頭から一刀両断した。
そのまま『追っ手』は断末魔の叫びすらなく沈黙した。
彼は返り血を大量に浴びたが気にすること無く
「はぁ、はぁ・・・ふぅ」
荒れた息を落ち着かせその場を去ろうと転移魔法を起動しようとした。
が、その時。青年に向かって幾つもの魔力弾が殺到した。
青年は『追っ手』を倒せたことに安堵し、気が緩んでしまっていたためその魔力弾にすぐに反応しきれなかった。しかし、さすがエース級魔導師というわけか、なんとか障壁を展開することに成功した。
「くぅ・・・・く・・そ・・っ」
だが、即席で魔力を碌に込めることの出来なかった障壁は数発の魔力弾を防ぐが、一瞬の抵抗の後、割れてしまう。結果、ほとんどの魔力弾を防ぎきれず『殺傷設定』の魔力弾を大量にうけてしまった。
青年のいた周りには魔力弾の衝突により発生した爆煙が漂っていた。
「ははっ!死んだあいつには悪いが手柄は俺の物だな!」
魔力弾を放った応援の男の一人が哂った。
ちなみに『あいつ』とは先に青年に殺された『追っ手』のことを指している。
「おいおい!あの魔力弾のほとんどが俺のだったろうが、手柄は俺のもんだ!」
「お前の魔力弾は数だけで威力がぜんぜんだったろうが!」
応援の『追っ手』達は既に青年と戦闘をしていた『追っ手』が殺されるのを待ち、そこを奇襲したわけだ。
それに放たれた魔力弾の量は致死量で威力も申し分無かった。
『追っ手』達にとって奇襲に反応されたのは予想外ではあったが、直撃は確認できていただがけに青年の"死"は当然とされていた。
実際、青年にとっては致命傷でまともに動くことも出来なかったが魔力弾を受ける直前セットしていた転移魔法を使用して逃げ延びることができた。
そのことはまだ魔力弾のぶつかりによって晴れていない煙によって逃げられたことに気付かない『追っ手』達はありもしない手柄を取り合い続けていた・・・・・・
2話に続く
あとがき
会話が異常に少ないorz
自分の文才の無さには気付いていたけどこれはひどいな。
まぁ、こんな感じで書いていきますが、なにとぞよろしくお願いします(
7月31日 訂正