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◆クラスター爆弾って何?
なるほドリ 禁止条約が8月1日に発効するクラスター爆弾って何なの?
記者 クラスターとは英語でぶどうの「房」のことを意味します。そのイメージ通り、一つの房(親爆弾)の中に、数十個から数千個の実(子爆弾)が入る仕組みの爆弾です。親爆弾を飛行機から投下したりロケットなどで地上から発射すると、空中で親爆弾が分解して子爆弾がばらまかれ、子爆弾が爆発する兵器です。広い面積をいっぺんに制圧できるため、軍事的には効果的な武器として各国が整備してきました。
Q どう危ないの?
A 地上に落ちても爆発しないで放置される不発弾が場合によっては3割も発生。地雷のように地中に埋まるため、戦争が終わって平和な世の中になっても、不発弾に触れた人が死んだり、足や手を失うなど障害を負うケースが後を絶ちません。おもちゃと誤解して触った子ども、特に男児が犠牲になることが多いのです。
Q 世界的にどれほど被害が出ているの?
A 国際NGO(非政府組織)「ハンディキャップ・インターナショナル」が07年にまとめた報告書では、25カ国・地域でクラスター爆弾が使用され、被害者を5万5000~10万人と推計。また、被害者の98%が市民、約2割が男児だと指摘しています。非戦闘員ばかりが犠牲となる兵器の残虐性がこの数字で分かりますね。
Q これまでどんな国が、どこで使ってきたのかな?
A 大量に使われた走りはベトナム戦争でした。米国がベトナムと隣国のラオス、カンボジアへの爆撃に用い、被害が大きいラオスには約2億6000万個の子爆弾が飛散。1~3割程度が不発弾として残ったとも指摘され、被害者が出続けています。そのほかコソボ、アフガニスタン、イラクなどで使われ、最近では06年にイスラエルが第2次レバノン戦争で、08年にはロシアとグルジアがグルジア紛争で使用。戦争が起こるたびに使われるような状況です。
Q 禁止できて良かったね。
A ええ。日本を含め保有国は条約に従って早期に廃棄を進め、同時に不発弾の除去と被害者の支援、子どもたちへの予防教育を積極的に進めることが肝要です。99年に禁止条約が発効した対人地雷、そしてクラスター爆弾と一歩一歩進めてきた兵器廃絶の流れがさらに大きなうねりになればいいですね。(外信部)
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毎日新聞 2010年7月31日 東京朝刊