31日朝、岩手県岩泉町の山あいを走るJR岩泉線で、走行中の車両が土砂崩れに巻き込まれて脱線し、警察によりますと、乗客3人が軽いけがをしました。
31日午前7時35分ごろ、岩手県岩泉町のJR岩泉線で、宮古市の茂市駅から岩泉駅に向かっていた1両編成の車両が、落石防止用のシェルターから出た直後、線路脇の斜面から崩れ落ちた土砂に巻き込まれ、前の車輪が脱線しました。車両には乗客と乗員あわせて9人が乗っており、警察によりますと、三重県名張市の63歳の男性など乗客3人が胸や足に軽いけがをしました。現場は、押角駅と岩手大川駅の間の山あいで、警察などによりますと、土砂崩れは高さがおよそ15メートル、幅10メートルにわたって起き、車両やシェルターの屋根の部分に大量の土砂が崩れ落ちています。警察は、現場の状況や乗客の話などから、車両が現場にさしかかったときに土砂崩れが起きたとみて調べています。岩泉町の付近では、30日の午後6時までの24時間におよそ120ミリの雨が降ったとみられていて、30日の朝には、押角駅の付近で、同じ路線を走る車両が線路に横倒しになった木と接触する事故が起きていました。JRは31日の岩泉線の運行を取りやめ、復旧にはさらに時間がかかる見通しです。乗客で、足にけがをした長野県山ノ内町の48歳の男性は「シェルターを出た瞬間、窓の外に土砂が見えたのでぶつかると思いました。もっと多くの土砂が直撃していたら、線路から転落していたかもしれず、けがで済んでよかったです」と話していました。近くにある観光名所の鍾乳洞龍泉洞に行く予定だった三重県の男性は「土砂にぶつかった衝撃で車内の荷物が前の方に滑っていきました。龍泉洞は楽しみにしていましたが、旅行は取りやめます」と話していました。JR岩泉線は、岩手県沿岸の宮古市にある茂市駅と岩泉町の岩泉駅を結ぶ全長38キロの単線の路線で、1両編成のディーゼル車両が1日に3往復しています。険しい山あいを縫うように走り、景観が楽しめることから、鉄道ファンの間で人気が高く、休日には全国から観光客などが訪れて利用しています。