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【社会】

布川事件、DNA鑑定請求却下 早期無罪判決へ

2010年7月31日 朝刊

 茨城県利根町布川で一九六七年、男性=当時(62)=が殺害された「布川事件」で、強盗殺人罪などで無期懲役が確定、服役後に仮釈放された桜井昌司さん(63)と杉山卓男さん(63)の再審第二回公判が三十日、水戸地裁土浦支部で開かれた。神田大助裁判長は、検察側が申請していた被害者の首に巻かれた下着などのDNA型鑑定を却下した。検察側はDNA型鑑定を有罪立証の柱としており、早期に無罪が言い渡される公算になった。 

 鑑定を却下した理由について、神田裁判長は「鑑定実施を相当とするには前提が欠けている」と述べた。検察側は、犯人の皮膚片などが付着している可能性があるとして鑑定を請求。弁護側は、下着などの保管状態が悪く、取り調べの際などに二人の唾液(だえき)などが混入した可能性が排除できないと主張し、鑑定実施に反対していた。

 この日の公判では、弁護側の立証が行われ、再審開始の決め手の一つとなった、警察が桜井さんの「自白」を録音したテープを再生した。

 十三カ所の録音中断の跡があることを示し、自白は任意性がなく、誘導されたものであるとあらためて主張した。

 九月十日の次回公判で、犯行時間帯に現場近くで杉山さん以外の男を見たと証言した近所の女性(77)の証人尋問が行われる。

 二人は、大工の男性を殺害し約十万円を奪ったとして強盗殺人罪などで起訴された。公判で無罪を主張したが、七八年に無期懲役が確定し、十八年間服役。九六年に仮釈放され、二〇〇一年に起こした二度目の再審請求で、最高裁は昨年十二月、再審開始を決定した。

 

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