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【主張】駐中国大使 不用意発言は国益損なう (1/2ページ)
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聞き流すことはできない発言である。新駐中国大使として今月末に赴任する丹羽宇一郎氏(元伊藤忠商事社長)が東京都内で開かれたパーティーのあいさつで中国の軍事力増強にふれ、「大国としては当然のことといえば当然かもしれない」と述べた。
これで中国の軍事拡大にともなう威嚇に日本は対峙(たいじ)できるのだろうか。日本の脅威になりかねないという認識はうかがえない。きわめて残念で、不用意な発言と言わざるを得ない。
丹羽氏は数日前の産経新聞社などとのインタビューで増大する中国の軍事費に懸念を示し、「透明性を高めていくよう(中国に)要望していく必要がある」と語っていた。歓送迎会のあいさつの後半でも「中国は世界に大きな影響を与える大国としての自覚をもってもらいたいと申し上げたい」と付け加えていた。
それにしては、中国の軍事費が2009年まで21年連続で2けたの伸びを示し、その結果出来(しゅったい)した事態への認識が丹羽氏には希薄なのではないだろうか。
最近では中国海軍の艦隊が沖縄本島の近海を再三航行し、艦載ヘリコプターが海上自衛隊護衛艦に異常接近するなど威嚇的行動を続けている。こうした情勢が念頭にあるなら、中国の軍拡容認にもつながる発言は日本の国益を損なうと認識できるはずだ。