パレスチナのガザ地区からイスラエル南部の町にロケット弾が打ち込まれたことをきっかけに、イスラエル軍は報復としてガザ地区の数か所を空爆し、双方の緊張が再び高まることが懸念されています。
イスラエル南部のアシュケロンの住宅街で、30日朝、ガザ地区から発射されたロケット弾が爆発し、死傷者はありませんでしたが、付近の建物や数台の車が壊されました。去年、イスラエル軍による大規模攻撃が終結して以降、ガザ地区から10キロ以上離れた町までロケット弾が打ち込まれるのはまれで、イスラエルのネタニヤフ首相は「きわめて深刻に受け止める」との声明を発表しました。そして、30日深夜になって、イスラエル軍は、報復として、ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの治安部隊の拠点や、エジプト国境沿いの密輸トンネルなど数か所を一斉に空爆しました。パレスチナの医療関係者によりますと、一連の空爆で、子どもを含む少なくとも10人がけがをしたということです。前日の29日には、アラブ諸国の外相会議が、イスラエルとパレスチナの和平に向けた直接交渉入りを基本的に支持することで合意したことから、今回のロケット弾は、交渉の妨害を狙うガザ地区の武装勢力が撃ち込んだとみられ、双方の緊張が再び高まることが懸念されています。