香港 2010年7月22日(木曜日)
個人情報を提携企業に提供:八達通認める、規模は非公表[経済]
スマートカード「八達通(オクトパス)」を発行するオクトパス・ホールディングスが、収集した利用者の個人データを提携企業の一部に提供していたことが明らかになった。同社は経営トップが記者会見して事実を公表するとともに、対策チームを立ち上げ社内調査に乗り出した。企業の個人情報管理のあり方が改めて問われそうだ。
オクトパスが提供していたのは、ポイントプログラム「八達通日日賞」参加者の個人情報で、同プログラムに提携する信諾環球保険(CIGNA)とCPPの保険会社2社が取得していた。提供情報の詳細や規模、見返りの金銭授受の有無は明らかにしていない。
同社の陳碧カ(プルーデンス・チャン、カ=金へんに華)最高経営責任者(CEO)が20日に開いた記者会見で情報提供を認めた。この問題をめぐっては、今月初めに地元紙が保険会社の元従業員の証言を基に報道。立法会でも問題となり、19日までに詳細を公表するよう求められていた。
日日賞は、提携企業の店舗で商品やサービスを購入すると、支払額の0.5%相当の「リワード」が付与され、貯まったリワードは提携店で商品などの支払い料金に当てられる仕組み。マクドナルド、ウエルカム、香港上海銀行(HSBC)など23社が提携しており、会員数は240万人に及ぶ。
■取締役会に対策委
オクトパスは、取締役会の下に特別委員会を立ち上げ、全社規模で個人情報管理状況の見直しに入る。海外企業の対策状況なども参考にする。見直しの結果が出るまで今後3カ月間は、個人情報提供を伴う新たな契約は締結しない。特別委員会は3人の非常勤取締役で構成し、陸観豪(ロジャー・ルク)非常勤取締役(恒生銀行元頭取)が委員長を務める。
日日賞の会員に対しては、240万人全員に通知を発し、新たな個人情報保護の取り組みと退会方法を改めて紹介する。また、ウェブサイト上に退会ボタンを設けるなど、より退会しやすくする。<香港>