2010年7月31日0時1分
1979年にソニーが発売した携帯音楽プレーヤー、ウォークマン。全く新しいアミューズメント・ツールは世界を驚かせた。
続く80年代から90年代まで、日本の電機産業は世界を席巻。家電技術は世界をリードし、半導体生産では世界一を達成した。
しかし現在は、最先端でリードする技術と、その実績が見あたらない。米アップルの情報端末「iPad」が新しいツールとして広まり、「メード・イン・ジャパン」は埋没気味だ。
鉄道や原子力発電といった大型事業でも日本はトップを走った。オリンピックに合わせて、64年に開業した東海道新幹線は世界最初の高速鉄道だ。
その鉄道や原発のビジネスを、自動車や家電製品に次ぐ輸出品にしようと官も民も懸命だが、混戦模様だ。むしろ、日本の技術は、いつの間にか追いつかれ、追い越されそうになっている。
製造業が新技術の開発や生産性向上で生き残るためには、息の長い研究開発への投資や、膨大な設備投資が必要だ。資金の源泉は自己資本である。
だが、日本の高率な法人税は、企業の自己資本(内部留保)の蓄積を妨げ、自由な活動を阻害しかねない。ライバルの韓国などには、利益規模や技術開発のスピードではるかに先を行く企業があるが、法人税率の違いは無視できない。
安定的税収と経済の活性化そして成長を考えるなら、税制の抜本的改革が必要だ。税収は間接税にウエートを移し、実効法人税率を切り下げ、企業の自己資本蓄積を容易にする。企業の内部留保は企業内預金ではなく、ほとんどが研究開発費や設備投資に使われ、事業拡大、雇用促進に貢献しているのである。(樹)
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「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。