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フランス:サルコジ政権が「ロマ」規制強化 人権団体反発

 【パリ福原直樹】フランスのサルコジ政権が、国内を放浪する民族ロマや「非定住者」への圧力を強めている。一部の非定住者が今月、暴動を起こしたのがきっかけで、仏政府は28日、ロマらの違法キャンプを撤去するなどの方針を決めた。だが長い間、差別されてきた人々への強権発動は、国際社会や人権団体から大きな反発を招いている。

 仏中部の町で18日、非定住者50人が、警察署や商店を襲撃したり、駐車車両を燃やす暴動が発生した。その数日前、近くを車で通行中の非定住者の男性(22)が警察の検問を無視して逃走、警官に射殺されており、暴動はこれに対する報復とみられている。

 サルコジ大統領は28日、緊急の閣僚会議を招集し、▽ロマを中心とした300カ所の違法キャンプの撤去▽国外から来たロマが罪を犯した場合、即時の強制送還▽非定住者の納税状況の調査--などの方針を決めた。

 大統領府は、ロマをより簡易に国外追放できる法案を年内にも提出する方針も示している。

 仏は暴動後に開かれた欧州連合(EU)外相会議で、「ロマ問題の解決でEUは協力すべきだ」と主張した。だが60万人と多くのロマを抱えるルーマニアは、「ロマを犯罪集団として扱うべきではない」と反発。欧州の人権組織「欧州会議」(47カ国)の幹部も、「仏は非定住者と市民を平等に扱うべきだ」と指摘している。

 一方、仏の人権団体「人権連盟」のサロンクール副会長は毎日新聞に「今回の仏の措置は、暴動を口実にした非定住者やロマの摘発で、差別だ」と批判している。

 フランスの非定住者は一般的には、キャンピングカーで国内各地を移り住む元遊牧民など約40万人を指し、国外から来たロマ2万人とは区別される。今回、暴動を起こしたのは非定住者で、仏の人権団体は、政府の対応を「非定住者とロマを混同している」とも批判している。

 ◇ことば・ロマ

 インドが起源とされる流浪の民族で、欧州には推定で1000万人以上が在住。ルーマニアなど中・東欧を中心に定住する一方、移動を続ける人もいる。欧州で非定住者やロマらはジプシーなどと呼ばれ差別されてきた。

毎日新聞 2010年7月30日 21時35分

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