総立ち状態の浪花っ子が、一瞬のうちに静まり返った。アップテンポな曲が4曲続いた直後。愛内がまさかまさかの衝撃宣言だ。
「最後の曲を歌う前に聞いてほしいことがあります。2010年いっぱいで、愛内里菜はアーティスト活動を引退することを決めました」。突然の発表を受け、ファンのすすり泣きが広がる。愛内もまた涙を拭い、精いっぱい声を振り絞った。
30歳の誕生日を31日に控え、「RINA MATSURI EVE−20代最後の夜を一緒に−」と銘打って行われたファンクラブ限定ライブ。タイトル通り、節目に集まってくれた1000人に1番に伝えたかった。
2000年のデビューからキュートな歌声とパワフルなステージで、10年を一気に駆け抜けた。関西に住みながら、全国区の人気を誇った歌姫はデビューから10年連続で、シングル曲がオリコン週間チャート10位入り。2003年にはヒット曲「FULL JUMP」をひっさげ、紅白にも初出場した。
が、三十路を前に歌手として100%の力を出し切り、自分と向き合う時間を求めた。さらに体調不良も抱えており、ステージ上で「健康の方に問題がありまして、ドクターやスタッフの方と相談し、私の中で心身ともにリセットしようと思いました」と明かした。
31日に同所で一般向けのバースデーライブを開催し改めて引退を報告。9月15日にラストアルバム「LAST SCENE」の発売も決まり、同18日の埼玉・大宮ソニックシティ公演、同26日の兵庫・尼崎アルカイックホール公演がラストステージとなる。
「これからは自分自身を見つめ直す時間を作っていきたい。この先の道が決まったら、みなさんにも知ってもらえると思います」。この日の21曲目となるラストソングに選んだのは、自身の芸能生活を打ち上げ花火に例えて作詞した最新曲「HANABI」。しっかりと前を見据え、力強く歌い上げた。