【連載企画】再生目指して―インタビュー(上)

(2010年7月27日付)

◎県民政策部長(県口蹄疫復興対策本部事務局統括責任者)/山下 健次氏
 本県を揺るがした口蹄疫。発生から3カ月が過ぎ、県内全域でようやく移動・搬出制限が解除され、非常事態宣言も解かれた。今後の焦点となる再生、復興への道筋を関係者に聞いた。

 ―県口蹄疫復興対策本部は6月28日に発足後、どういった議論をしてきたのか。

 山下 検討すべき課題を分類・整理し、事務局に専従の六つの対策班を設置した。その後、市町村や畜産業、商工業などの経済団体に参加していただき、復興対策の連絡会議を発足させ協議を進めている。県民のみなさんに、早く復興計画を示したいと考えている。

 ―そうとはいえ、口蹄疫対策特別措置法第23条が示す地域経済再建の「基金」の全体像が見えず、国の予算措置も不透明なままだ。

 山下 基金について、国ではまだ具体的な検討はないと聞いている。県としては復興対策の予算確保と、ある程度長期にわたる柔軟な対応が必要と考えており、県に再生・復興のための基金をつくりたいと考えている。そのために、必要と思われる支援を「地域復興」「環境対策」「雇用」など7項目挙げ、篠原孝農水副大臣に要望書として提出している。

 ―復興しなければならない範囲は幅広い。何から先に手を付けるのか。

 山下 イメージダウンしたところを、どう元の状態に戻すかというところだろう。早くしないと夏休みの需要を逃してしまう。殺処分した家畜の埋却が前例のない規模で行われたため、環境対策も急がれる。

 ―復興計画は、どのくらいの期間を念頭に置いているのか。また、策定時期は。

 山下 テーマによって対策のスピードや期間は違う。畜産再生や環境監視、地域振興などは、ある程度長期にわたる対応が必要。一方で雇用の確保やイメージアップなどは、対策の検討と同時並行的に対応しなければならない。計画は国の考えが見えないので、全体像が詳細に整理された形というよりは、重要なテーマごとに柱を示し、その後詳細を具体化することになるだろう。とりまとめる時期は8月中が目標。終息宣言が出るであろう8月27日と歩調を合わせたいと考えている。