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(2010年7月27日付)
口蹄疫問題で県は27日午前0時、県内で最後に残っていた宮崎市の発生農場を中心とする家畜の移動・搬出制限区域と、非常事態宣言を全面解除した。第1例発生確認の4月20日以降、県内の制限区域は99日目ですべて解除された。5月18日に発令し、県民生活に大きな影響を及ぼした宣言は71日目に解かれた。同時刻に合わせ、県庁前庭で会見を開いた東国原知事は「県内全域が危機的状況から脱したと判断し、非常事態宣言を全面的に解除する」と表明した。家畜約29万頭が犠牲となった国内史上最大の口蹄疫被害は、感染拡大との戦いに終止符を打ち、畜産王国と地域経済の復興へ向け、県民挙げての取り組みが始まる。
会見で知事は、農家や県民の協力、全国からの支援に感謝を述べた上で、「今後は本県畜産の再生、県内経済の復興に向けて、県民が一丸となって取り組んでいかなければならない」と呼び掛けた。
県は今後、児湯地域に積み残された大量のふん尿処理が終了する8月27日をめどに、口蹄疫の完全終息と位置付ける「終息宣言」を行いたい考え。また、県産牛・豚の安全性を県外へアピールするため、県内農家約7700戸を対象に全頭目視検査を行っており、来月11日までに終わらせる。
一方、前回2000年の発生では断定ができなかった感染源と経路について、今回は農林水産省の疫学調査チームが8月にも中間報告をまとめる方針。国、県の責任について山田正彦農相は近く、第三者委員会を設置する意向を明らかにしている。
さらに、現在の防疫は家畜伝染病予防法を根拠法としているが、制定は1951(昭和26)年と古く、現在の大規模・密集化した飼育実態との隔たりが問題視されている。政府は特措法期限切れの2012年3月末までに法改正を目指す。
本県口蹄疫問題をめぐっては、4月20日に都農町で第1例を確認。5月に爆発的な感染拡大を招き、22日には国内初となるワクチン接種に踏み切った。6月中旬には拡大の勢いは止まったが、7月4日に宮崎市で再び発生するなど一時は「県内同時多発」の様相となり、一気に緊張が高まった。
沈静化には3カ月を要し、最終的な発生自治体は5市6町。犠牲となった家畜は28万8643頭(今月12日までの集計)に上り、都農、川南、木城、高鍋、新富町の5町では家畜がゼロとなった。
非常事態宣言は、県民総力で撲滅に取り組む必要があるとして、県内全域の畜産農家と発生地域の県民に対して不要不急の外出自粛を求め、発生地域以外でも全県民にイベントや大会の延期や車両消毒への協力を求めていた。
【写真】<激務、復興の日まで>4月20日の口蹄疫第1例確認以降、深夜早朝を問わず対応に当たってきた行政の要・県畜産課。非常事態宣言解除を表明する東国原知事の会見時も、職員が忙しそうに業務をこなしていた。それは「畜産王国」復興の日まで続く=27日午前0時1分、県庁