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【連載企画】再生めざして―インタビュー(下)

(2010年7月29日付)

■消費意欲喚起目指す

県商工会議所連合会会頭職務代行 清本 英男氏


 ―口蹄疫は県内経済にも深いつめ跡を残した。

 清本 経済の循環が停滞し、日を追うごとに沈下していった。発生以降はイベントが縮小した影響などで売り上げが2、3割落ちた小規模商工業者は、全体の半数を占めると見積もっている。われわれにとっては未曾有の経験で、元に戻るまで2、3年はかかるのでは。各商工会議所で商工業者を対象にした相談窓口を設けているが、どこに相談していいのかさえ分からないという人が本当に多い。

 ―復興への具体策は。

 清本 地域活性化のために、まずは県内各商工会議所で小規模な企業から飲食店まで、すべての店舗で利用できる地域のプレミアム商品券を発行する予定。消費意欲を喚起することで突破口にしたい。各商工会議所の事情を考慮しながら順次開始していく。

 ―疲弊した小規模商工業者の立て直しのため、県に何を求めるか。

 清本 知事に、製造業は従業員20人以下、サービス業は従業員5人以下の小規模商工業者を対象とした限度額500万円の貸付制度の創設を要望した。最近1カ月の売り上げが前年同月比で3%以上減少した商工業者に対し、政府系金融機関などの協力を得て無利子、無担保、融資期間を最長10年などとして貸し付けていただきたい。商工業者の中には「金を借りても返すあてがない」といった声が多い。借金の借り換えや運転資金などに充てることで、厳しい経営状況を少しでも改善できる。

 ―復興への道のりは険しい。県民に望むことは。

 清本 非常事態宣言が解除されたからといって、本当に人を呼び戻すことができるのか。その不安を打ち消すためには、県民の皆さまにもわれわれの持つ危機感を共有していただきたい。県民総力戦で本県経済を復興するという互助の精神が必要だ。延岡では、8月に花火大会やJAと協力した焼き肉大会を計画中で、外出を控えていた方などにも足を運んでほしいと願っている。口蹄疫発生以降、日本商工会議所などをはじめ、全国の皆さまから多くの義援金をいただいた。この心温まる支援を活用し、目前の8、9月をどう乗り切って行くか。われわれ経済界にとって勝負の分かれ目になる。